↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/1

第1話

「両者構えて!!」

真っ白な空間に二人の男が立つ

周りには白い箱のような物が所々に置いてある

男と男は睨み合い何やら争いが始まりそうな雰囲気だ

「始め!!」

何者かの声が響く

そして、それを合図に二人は戦闘を開始する

一人の男が腰に巻いているベルトについていたレーザー銃で相手を撃つ

バキューン

バキューン

相手の男は素早く動きかわしていく

ガシッ

レーザーをかわしながら近くにあった箱を掴みこちらに向けて投げる

そのとき相手の男は念じていた

箱よ…止まれ…!

投げた箱が途中で動きを止める

バキューン

バキューン

レーザー銃を持った男は構わず撃ち続ける

相手の男は周りに置いてある箱を次々と投げていく

止まれ…!止まれ…!

箱を空中に固定しレーザーをガードしているのだ

回り込むようにレーザー銃を撃ち続ける男に近づく

「はあああ!!」

同じように腰に巻いていたベルトについていたレーザーサーベルでレーザー銃を破壊し、流れるような動きで羽交い締めにする

そして男が念じる

箱よ…動き出せ…!

するとさっきまで空中で止まっていた箱が一斉にこちらへ向かってくる

羽交い締めにされた男は突っ込んできた箱をモロに受けた

「ぐあッ!」

羽交い締めを解いてレーザーサーベルを突きつける

「俺の勝ちだ」

「勝負あり!!」

ブーン…

試合の合図をした声と同じ声が響き渡ると真っ白な空間が消えていった

すると石で出来た壁や地面、そしてガラス越しにこちらを見ている男達が現れた

ここは実験室の中

腰に巻いていたはずのベルトも消え、レーザー銃もレーザーサーベルも無くなっていた

「大丈夫か?」

試合に勝利した男が手を差しのべる

沢木 ガク

それが勝利者の男の名前

負けた男はガクの手を払いのける

この男の名前は工藤 リクト

「…」

リクトはガクを睨み付けながら立ち上がり無言で部屋から出ていった

勝負に負けた悔しさが隠しきれずに滲み出ている

そんなリクトの背中をガクはただただ見ているだけだった

「いや~ガク君!君はやっぱり優秀だ!」

部屋の外から窓越しにこちらを見ていた男の一人が口を開く

白衣が良く似合うその姿はまさに博士というイメージにぴったりな男だ

「バーチャルによる模擬戦であったが時間操作という能力を上手く使いこなしていた!」

「やはりこの世界を救えるヒーローは君しかいない!」

その男はにこやかな表情で絶賛する

だがガクは褒められているというのにも関わらず喜ぶどころか表情を全く変えずむしろ何かが心に引っかかっているかのような顔をする

「あの…リクトは…」

「なんだね?」

「リクトはどうなるんですか?」

「さあね?知らんよ。実力も何も無いような奴のことなんて聞かないでくれ、あんな奴のこれからなんて私は全く興味が無い」

その言葉を聞き、さっきまで一切表情を変えなかったガクが怒りを露にする

「彼だって人々を守りたい一心でここまで頑張ってきたんですよ!!それを…お前は!!」

「ガク!!」

白衣を着た男の隣に立っているスーツを着た男がガクの言おうとした言葉を遮るように叫ぶ

スーツの男はそれ以上のことは何も言わずただガクを見つめる

「お父さん…」

味方だと思っていた人に裏切られたようなショックを受けるガク

「こほん…さて話を元に戻すが…」

「ガク君、この地球が狙われていることは知っているな?」

白衣を着た男が問う

「はい…」

その質問に小さな声で返事をする

「では地球を狙っている者は一体何か…答えられるかな?」

「…」

この世界で生きている人間ならば誰でも分かるようなことを聞いてくるので一瞬、動揺するも答える

「ええ…悪魔です…」

「そうだ!悪魔だ!奴らはこの地球を略奪しようと別の惑星からやってくる!そして無抵抗な人達を襲い、数えきれない程の命が奪われた!」

「このことは絶対に許してはならない!奴らは我々人間の敵なのだ!いいか!これから君は時間を操る力を持ったブレスレット「タイムウォーク」を使いこの星を守る為に悪魔を一人残さず抹殺するのだ!」

白衣を着た男が徐々に乱れていく

にこやかに喋っていたときの顔とは一変、憎悪が増したような険しい顔つきになりさっきまでそこで喋っていた男とはまるで別人のようだった

喋り方も荒くなっていき声量も大きくなる

悪魔が地球にやってきて人々を襲っていることなど、当たり前だとか知っていて当然だとか最早そんなレベルの話ではない

それに言い方は多少過激だったが悪魔と戦う為に今、自分はここにいるのだから何故今さらそんな事を言い出すのか理解出来なかった

だがガクはそれ以上考えるのをやめ、とりあえず形だけの返事をした

「分かってますよ…そんなこと…」

「ふぅ…ふぅ…そうかそうか!それなら問題は無い!」

元のにこやかな表情に戻る

「はぁ…ちょっと疲れました…外の空気でも吸ってきていいですか?」

居心地の悪いこの空間からさっさと出たい気持ちでいっぱいだった

「そうだな!休憩をとるとしよう!じゃあ…1時間後に…」

まだ白衣の男が喋っている最中だったがこれ以上聞くのも面倒だったので無視して部屋から出ていく

「…」

早歩きで出ていくガクを見て少し時間を置いてから男が呟いた

「ったく…気に入らないガキだ…あんたの息子は確かに優秀だが人として大事な物が欠けてるんじゃないのか?」

愚痴をこぼしたがスーツを着た男もガク同様に白衣の男を無視して部屋から出ていく

予想外な行動にキョトンとする白衣の男

スーツの男が部屋から出ると思わず心の声が口に出た

「お前が言うな」

~~~~~

どれぐらい歩いただろうか

ガクはひたすら何も考えずに歩いていた

さっきまでいた実験室がやけに暑苦しかったのもあって外の空気は異様に旨い

目の前の公園で元気に遊ぶ子供達が見える

自分も昔はあんな感じで毎日が楽しかった

そう思いながらじっと眺めていた

「もしも…ここに悪魔がやってきたら…あの子達も…」

そんなことを考えるガク

「色々思うことはある…けど俺がなんとかしなきゃ」

決心がつき気持ちも少しスッキリしたところで元いた研究所へ戻ろうとする

ドンッ

振り返ろうとしたときに近くを通りかかった女性とぶつかってしまう

「あ…すいません!」

すぐさま謝るガク

そこで女性の顔を見る

思わずはっとなる

一目惚れだ

素敵な人 綺麗だ 美しい

色々な言葉で頭がいっぱいになる

見とれてしまっているガクだったが女性は何も言わない

その女性の表情はぶつかってきたことを怒っているという訳でもなく、じっと見つめられて不快になっているという訳でもなかった

人見知りの人が急に声をかけられたときのような、人に慣れておらず戸惑っているような表情だった

女性は結局、何も言わないまま行ってしまった

ふと我に帰るガク

そうだ、早く研究所に戻らなければ

そう思ったそのときだった

キャアアアアアッ!!!

誰かの悲鳴声が響く

悲鳴声はどんどん増えていく

状況を見なくてもそこで何が起こっているかすぐに理解出来た

悪魔がやってきた

ガクの体はすでに声のするほうへ向かっていた

急がなくては…

~~~~~

全身が赤く染まった巨体が人々を襲う

歩くたびにドスンドスンと音がし地面が僅かに揺れる

「ぐじゅじゅじゅじゅ…」

目は思いっきり見開いていて、砕けてしまうのではないかと思ってしまうほど力いっぱいに歯を噛みしめている

歯と歯の隙間からは涎がだらだらと流れ出て地面にぽたぽたと垂れる

その異様な姿は一目で悪魔と分かる

歩くスピードは遅く周りの人達は既に逃げきった状態だった

「あいつか…」

ガクがたどり着く

それと同時に一台の車が駆けつける

その車から女性が降り、スーツケースをこちらに投げた

「ガク君、これ!」

ガクがそれを受け取る

「これは…」

スーツケースの中に入っていたのはレーザー銃、レーザーサーベル、そして不思議なブレスレット

このブレスレットが「タイムウォーク」

時間を操作する力を持ったアイテム

「ブレスレットは右腕に付けて!」

「よし…」

ガクがブレスレットを付けた

そして念じる

(訓練したようにやればきっと大丈夫だ…)

(時よ…止まれ…!)

しかし

「!?…何も起こらないぞ…」

車の方に振り向く

が車に乗っている人達はこの異常事態に何も応えてはくれない

「いいんですか…あのブレスレットの使い方説明しなくて…」

助手席に乗っている女性が運転席に乗っている男性に聞く

「ああ…問題無い…」

研究所にいたスーツを着た男だ

「でもガク君、このままじゃ…」

「何だ?」

言葉が詰まる

言いづらい言葉をなんとか捻り出す

「…殺されるかもしれませんよ…」

「その程度の奴は私達には必要ない」

男の発言に驚きを隠せない

「な!?…ガク君はあなたの息子さんでしょ!?」

「だからどうした」

男は冷たく返す

女性はそれ以上何も言わなかった

「どうなってんだよ…このブレスレット付ければ時間を操作出来るんじゃなかったのかよ…!」

訓練の際に受けた説明を思い出す

~~~

「このブレスレット「タイムウォーク」は時間を操作することが出来る…だがそれにはかなりのエネルギーが必要になってくる」

「エネルギーは使用者自身の体力…」

「勿論使いすぎれば命を落とす」

「だからむやみに時間操作は使えない」

「だが「タイムウォーク」は触れた物だけの時間を操作するということが出来る」

「例えば自分の時間だけを加速させる、相手の時間だけをスローにする、弾丸の時間だけを止めるといったことが可能だ」

「今回の訓練では強く念じるだけで時間は操作出来るようになっている…この能力を上手く使いこなすといい…」

~~~

「そうか訓練のときとは違うのか…でも…じゃあこのブレスレットはどうやって時間を…は!!」

使いこなせないブレスレットに夢中で悪魔が近づいてきていることに気づかなかった

「ぐじゃあああああッ!!」

ドゴーン!!

降りおろされた悪魔の攻撃を間一髪でかわす

地面に小さめのクレーターが出来ている

冷や汗が流れる

「駄目だ…まずこいつをなんとかしないと…!」

スーツケースに入っていたレーザー銃を持ち悪魔に銃口を向け引き金を引く…が

「!?」

「レーザーが出ない…!?」

もう一方のレーザーサーベルを持ちボタンを押すが

「な!?こいつも使えない!?どうなってんだ!?」

予想外の事態に動揺する

だがこんな状況でも悪魔は決して待ってくれない

「ぐじゅじゅううぅ…」

悪魔が両手を組み頭上高くまであげたあと一気に降り下ろす

たちまち地面にひびが入りそれはまるで地を這う蛇のようにガクに向かっていった

「うおおッ!!」

ただのひびなのだが反射的にかわす

ひびは全く止まる気配が無くそのまま後ろの建物にまで入っていく

ゴゴゴゴゴ…

建物が徐々にこちらへ傾く

「うわあああッ!?」

ガッシャーンッ!!

建物はガクを下敷きにするように崩壊していった

「ガク君!!」

車の中で様子を見ていた女性が駆けつけようとするが

「待て、行くな」

男が止める

「どうして…どうしてあなたはそんなに冷たいの!!」

「…」

男は何も言わない

だがそれが逆に圧力をかける

女性はその男に逆らうことが出来なかった

「ガク君…」

瓦礫の中でなんとか息をする

「ううぅぅ…」

運良く助かったが瓦礫に挟まってしまい身動きがとれない

「くそッ!…」

目の前にあるレーザー銃に手を伸ばし、なんとか取ろうとするが…

「ぐぐぐぐ…」

悪魔がこちらに近づいてきている

ブレスレットが使えない今、このレーザー銃に頼るしかない…何とか対抗しなければ…ここで死ぬ…

悪魔はすぐそこまで来ていた

必死に手を伸ばす…

もう少し…もう少しで…

すると

シュウイイィン

手の先に突如、懐中時計のような物が現れる

「これは…!?」

「ぐじゅじゅじゅじゅ…」

悪魔が腕をあげガクを狙う

「まさか…!?」

何かに気づいたのか、ガクはその懐中時計を掴むと上部についてるボタンを押した

ガッチャーンッ

今何かが起きた

その何かはわからない、だが確実に懐中時計を手にしたとき何かが起きた

ガクは後ろを振り向いた

するとそこにはガクに当たるギリギリの所で拳を止めたまま一切動かない悪魔がいた

それを見たとき、もしやと思っていたことが事実であることを確信する

時が止まった

瓦礫をどかし、なんとか抜け出す

手放してしまったレーザー銃とレーザーサーベルを拾う

そのとき、ふとブレスレットにくぼみがあることに気づく

何か物を入れられそうなくぼみ

ガクはそこに優しく触れる

「やっぱり…こいつだ…」

ガクは懐中時計をそのブレスレットのくぼみに入れる

時計はブレスレットにぴったりはまった

そしてもう一度ボタンを押す

ガッチャーンッ

時が動きだす

ドゴーンッ!!

悪魔の拳が地面に新たなクレーターを作る

しかしそこにはガクはいない

事態を理解できない悪魔は混乱し辺りを見回す

すると目の前にある瓦礫の上に立つ人の姿があった

だがその姿はガクとは違う

「ぐぎぎ…がぎぐ…ぐごごがあ…」

「これは…変身した…?」

その姿は銀色に輝く鎧を着た戦士のようだった

それを見た女性は喜びの声をあげる

「やった!!やりましたよ!!ガク君!!」

「これぐらい当然だ」

いつも通り冷たく返す男性だったがそれを無視して応援する

「ガク君!!頑張って!!」

「がげげ…がげがが…」

悪魔が何を言っているのかは分からないがこの姿を見て驚いているのは分かる

「よし…これで戦える…」

グウウウン…

突然何かが頭の中で過る

「分かった…このブレスレット、レーザー銃、レーザーサーベルの使い方が」

レーザー銃を持つと胸の中心部分に銃口をつける

するとレーザー銃にエネルギーが入る

そして銃口を悪魔に向け引き金を引く

バキューン

バキューン

バキューン

「ぐがががが…」

レーザーが放出された

次にレーザーサーベルの柄を持ちレーザー銃と同様に胸の中心部分につける

レーザーサーベルにエネルギーが加えられボタンを押すとサーベルが現れる

俺の時間よ…加速しろ…

ガクはそう念じながらブレスレットについている時計のボタンを押す

「はああああッ!!」

ザシュウウウ

とてつもないスピードでレーザーサーベルで悪魔を切り裂く

「ぐじゃあああああ!!」

ズアアアアア

「が…がが…があ…」

どさん

巨体が地面に倒れる

「やった!悪魔を倒した!」

車の中で女性が喜ぶ

「想像以上に時間がかかったな…俺は先に研究所に戻ってる…後は任せたぞ」

そう言うと男は車を降りていった

「家まで送ってけってことね…少しぐらい褒めてあげればいいのに」

「はぁ…はぁ…このブレスレットにこれだけの力が…」

ブレスレットから時計を抜き変身を解く

時計はブレスレットから外れると消えていった

「ガク君~!」

女性がガクのところに駆けつける

「初めての戦闘、お疲れ様!よく頑張ったね!」

「さ!車に乗って!お家まで送ってくから!怪我もしてるし今日はもうゆっくり体を休めて!」

「あ…はい」

そういって車に乗っていった

車の中で他愛のない会話をする

「今日は大変だったでしょ?」

「ええ…まあ」

「辛くない?戦うの」

「覚悟したことなので」

「そっか…ガク君は偉いんだね」

「そんなんじゃないですけど…」

「そこは否定するところじゃないよ」

笑いながら女性が言う

「でもさ、皆のヒーローになるってさ」

「やっぱプレッシャーとか凄くかかると思うんだよね」

「いざ辞めたいと思っても辞めれない…とかさ」

「…」

「でももし本当に辛くなったらさ、辞めたっていいんだよ?」

「私は正直、ガク君にはもっと違うことをして欲しいなって思うの」

「だってまだ若いんだからさ、もっと色んなことをして沢山のことを知るべきだと思うの」

「いつ死ぬか分からないようなこと…無理してする必要なんて全くない」

「…」

「あ、ごめんね!変なこと言っちゃって!」

「いえ…」

「これはガク君が選んだ道なんだもんね…」

少しの間沈黙する

「あ、そうだ」

「まだ自己紹介してなかったもんね!」

「私、七戸 ツバサ」

「これから色々と関わることがあるだろうからよろしくね!」

「よろしくお願いします」

「え~と、この辺だったよね?お家」

「はい、ここで下ろして貰えれば後は大丈夫です」

「本当?ごめんね、じゃあ気をつけてね!」

ガクが下りると車は走り去っていった

太陽がギラギラと輝く

まだこの星は平和だ

ブレスレットを見つめ、改めて人々の為に戦うことを決意する

これから繰り広げることになるであろう激戦の為に

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。