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ドライアドさんのお茶ポーション  作者: べべ
第7章:「ドライアドさんとお茶会」
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第89話:首脳会談

どもどもべべでございます!

締め切りの日にちミスったぁぁぁ!

けど、発表会終わってなんとか投稿完了です!

疲れた……

 

 グラハムさん達が到着してから、わずか一時間足らずの間に、準備はあれよあれよと完了に向かっていきました。

 今私達は、冬場が近づき少々寂しくなったヤテン畑の近くに建設された、お茶会の会場に移動しています。

 なんでも、お茶会が決まってから急ピッチで建てられた場所だそうでして、各国の友好を目指したデザインになっているとか。


 基本的にはいつもの木造建築なのですが、所々に石を切り出して加工したオブジェや、草を編んで作られた飾りが見られます。

 あの飾り、サイシャリィで何度か見た事ありますねぇ。という事は、フィルボと交流がある種族の文化を取り入れた建物ってことでしょうか。

 じゃあ、あの石細工はヒュリンの技術? 各国の美を集めて平和を目指そうってことなんでしょうね!


 やはりフィルボは素晴らしい。戦乱の世において、フィルボ以上に清涼な種族はいないと私は思いますよ、本当に。

 いや、私の周りで戦争とか見た事ないんですけどね?


「……で、改めてどういうことか、説明してもらえませんかね」


 本番前に集められた一室、というかエントランスにて。

 お茶会目前となってワクワクしている私に向かって、グラハムさんが話しかけてきます。

 その顔は、とてもこれから美味しいお茶を飲めると考えている人の顔ではありません。まるで試合前にプレッシャーで押しつぶされそうなボクサーみたいです。


「どうしました? まるで試合前にプレッシャーで押しつぶされそうなボクサーみたいですよ?」


「訳の分からん事を言わないでください。この会談に俺達が呼ばれた件についてです!」


 ついてです、と言われましても。

 グラハムさんにはコーヒーの一件でお世話になったので、美味しいお茶が飲めるイベントには必ず呼ぼうと決めていただけなのですが。

 その通りにお答えすると、彼は心底からのため息を思い切り吐き出して目元を抑えていました。


「……せっかく、良い新婚旅行になると送り出してもらったのに……」


「え? 新婚旅行ですか!?」


 グラハムさんが新婚!

 つまりはケッコンしたお相手がいる! それは誰ホワイ!?

 いえ、いえいえ。考えるまでもありません。

 サエナさん! ずばり、グラハムさんのお相手はサエナさんと見ました!


「うわわぁ、おめでとうございます! 言ってくれれば小包をお送りいたしましたのにっ」


「いえ、まぁ管理者様もエルフの一件で忙しかっただろうし、祭に呼ばれたこの際にお会いできたら報告しようと思ってたんですがね……まさか、我々が2ヵ国首脳の入り混じるこの空間に引きずり込まれるとは思わなかった……」


「ままま、そんなことどうでもいいじゃないですかぁ。やっぱりお仕事のあれで仲良くなって、的な感じですか!?」


「……いや、まぁ……なんでしょうな」


 グラハムさんは少し恥ずかしそうに頬をかきつつ、声を小さくしてしまいます。


「管理者様にアオノイを救ってもらってから、いろいろと企業が波に乗りまして。豆茶もコーヒーって名前にしたら妙に売れ始め」


「ほうほう、良い事ですねぇ」


「で、まぁ……いい機会だと思いまして、思い切ってその……告白を」


 うほぉぉぉ! 見た目渋い若人が照れながら告白話するの良い!

 これは老婆心働いちゃう! お母様の目で見ちゃう!

 やはりコイバナは世界を救いますねぇ~!


「そうなると、サエナさんのご意見も気になりますねぇ」


「ちょ、あんまりアイツを刺激しないでくださいよ?」


「大丈夫大丈夫じゅるりですよっ」


「不安しかないんですが」


 聞こえませんね! コイバナが聞きたいのです!

 サエナさんは建物のデザインを興味深そうに眺めておりましたが、私達の会話が聞こえたのか静かにその場を離れようとしていました。


「サエナさん……おぉっ」


「…………なんでしょうか」


 な、なんということでしょう。

 あのクールなサエナさんが、頬を赤らめて視線を逸らしている!

 うおおおおぉ! こんな新妻さんがいてくれるだなんて、グラハムさんったら羨ましいぃぃい!


「サエナさんサエナさんっ、グラハムさんの魅力について一言!」


「……言う必要、ありますか」


「必要ですって? 後ろをごらんなさい!」


 サエナさんは、私の後ろを見て目を丸くします。

 そこには、えっちゃんとねーちゃんがキラキラした目で私達に、というかサエナさんに視線を向けておりました。

 あの2人は私を含めてコイバナ大好き3人衆の面々。何故なら常に恋する乙女だから!

 つまり今この質問に答えないと、お茶会の時にめっちゃ囲まれて美人転校生ばりに質問攻めに合うのは必然!


「ぅ……」


「さぁ、どうでしょう! グラハムさんの魅力について!」


 うぇへへへ……今の私には、ゴンさんデノンさんキースさんの冷めた視線も効きません!

 コイバナを前にした乙女は無敵なのですっ。


「……く……」


「え、なんですか!?」


「「ワクワク……」」


「……りょく……」


 あぁんじれったい!

 もっと大きい声で! リピートアフターミー!?


「……財力……ですかね」


「「「…………」」」


 ざいりょく。

 ……財力かぁ。

 そっかぁ……。


「皆さま、ついに準備が整いました。さぁ、お部屋へどうぞ」


『待ちわびたぞ。さっさと行くぞ貴様ら』


「お~、行こ行こ」


「ま、結婚なんてそんなもんだよなぁ」


「「「はぁい……」」」


 結局私達、というかコイバナ同盟は、若干のテンションを落とした状態でお部屋に向かうのでありました。

 財力……かぁ。





    ◆  ◆  ◆






「はぁ、すまんなサエナ」


「いえ……」


「さ、行こうか」


「……あの」


「ん?」


「……貴方の魅力は、私だけが……わかってれば、良いですから……ね?」


「……あぁ、わかってるよ」

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] サエナさん、グラハムさん、おめでとうございます! 首脳会談は幸先のよいスタートを切りましたねw >言ってくれれば小包をお送りいたしましたのにっ 小包……。 心和ちゃんのお祝いの言葉だけ…
[一言] 芳醇なツンデレを見た( ˘ω˘ ) これは嫉妬不可避( ˘ω˘ ) >あの2人は私を含めてコイバナ大好き3人衆の面々。何故なら常に恋する乙女だから! 約一名男交じってない?
[一言] 壁殴り代行はいずこですか?!
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