第88話:スペシャルゲスト
どもどもべべでございます!
今回もまたご投稿! どうぞ、お楽しみあれー!
そこからは、軽い談笑を挟みながらのティーブレイクでした。
ねーちゃんはえっちゃんにべったりでしたし、デノンさんはノーデさんと話に華を咲かせています。
私とゴンさんはのんびりお茶の一杯一杯を楽しんでましたし、キースさんはどうやってこの場から抜け出そうかって目をしてドアをチラチラしてましたね。
もはや先程キースさんが言ったとおり、これがお茶会なんじゃ? って思えますが、それはちょっと違います。
だって、皆さんそれぞれ違ったペアを作って、全く他と干渉しようとしないんですもの。女子高生のグループかって話です。
ねーちゃんなんかはかなり露骨で、ゴンさんとは目を合わせようともしない始末。ゴンさんはゴンさんで、お茶だけ飲んで誰とも話そうとしませんし……うぅん、私の考えてるより、根っこの方で皆さんが繋がってないんだなってのがわかってしまう光景です。
ふと横を見てみれば、こういう時場をまとめるのが得意なノーデさんが、お茶のお代わりを準備しに部屋を出て行かれた様子。皆さんのお茶の分量を把握して即座にお代わりを足しに行くなんて、流石は出来る男の子! でも今のタイミングはその優秀さが憎い!
うぅん、こうなると、誰かしらが口火を切らねば場面が進展しません。しかし誰もそれをしようとしない。
いくら確執があるとはいえ、これから未来の展望を話し合おうという個々人がこんな調子で、本当に大丈夫なのでしょうか?
……いいえ、良い訳がありません。ここは、やはり私が一肌脱がなくてはなりますまい!
「ところで! ゴンさんとねーちゃんはすんごく久しぶりに会ったらしいですけど、何か積もる話があったりしません?」
「そうですね、エルフの生活区域を奪った謝罪が欲しいとかでしょうか?」
『ふはっ、せっかく我が塵芥と会話してやろうというに、くだらん話を持ち出されてはその気も失せるというものよな』
「は?」
『あ?』
ノォォォォウ!? 一瞬で空気が再度一触即発に!?
ウェイト、お二人ともウェェェイト!
「すげぇなお前。よくそんなピンポイントで地雷踏み抜けるよな」
「見合いの席とかで絶対横に立っててほしくない保護者タイプだな……」
「あらあらまぁまぁ、ココナちゃんったら本当に無自覚なんだからぁ」
お黙りなさい! 好きでこんな空気にした訳じゃありませんことよ!
えぇと、えぇと、そうだ話題、話題を変えましょう!
「あ~、あ~、まぁそれは置いときまして! 私この前キノコ栽培に手を出したんですけど、なんかこうどうにも上手くいかなくてですね~HAHAHA!」
「あら、その話題は丁度いいですね。キノコについては管理者さんに、きつぅく問い詰めたい事がたくさんあるんですよ」
はぅあ~ぁ!?
しまった! しまった! そうでした!
キノコの話題は、今ねーちゃんの前ではしてはいけないランキング上位の案件でございましたぁ!
「お前すげぇよ……よくそこまで盛大に自爆できるよな」
「なかなかできる事じゃないよな。流石は管理者様(笑)だ」
「んもぅココナちゃんたら! 本当に無自覚でカワイイわぁっ!」
お黙りなさい! 好きで自爆したんじゃありませんことよ!
というかキースさん、貴方も片棒担いでるんですから他人事みたいに言わないでいただきたい!
「えぇと、えぇと、それはその~」
あわわわわまずいまずい、このままじゃ一杯怒られる。
なにかありませんか? この空気をババンバァン! と解消してくれる黄金の札はありませんか!?
神様仏様オベロン様! どうかこのドライアドを御救いくださいませ~ぇ!
「失礼いたします、皆様」
お……
「どうしたノーデ?」
「は、先ほど他の騎士から連絡がありまして、森の管理者様から呼ばれて来たという方々が入国なされたとの事でございます。管理者様に心当たりがございましたら、こちらまで出向いていただこうと思いますが」
「……管理者様、誰か呼んでたのか?」
おぉぉぉ……!
救いは、ノーデさんの形をしていたのですね……!
しかも、ナイスなタイミングでゲストさんが来てくれてるじゃないですかぁ~!
「はいはいはいハハイは~い! 私呼びました~!」
「……え、俺聞いてないんだけど。この人数分しか料理配分とか準備してないんだけど」
「あれ? この前会った時言ってませんでしたっけ?」
「言ってないんだけど!?」
おやぁ?
そう言えば、ノーデさん頂戴の後に口論になって、それきりだったような気がします。
うぅん、私ったらうっかりさんっ☆
「ごめんなさいね?」
「おいノーデ。その人1人か?」
「は、2人ですっ」
「仕方ねぇ、俺と管理者様の分の料理その2人に回しておけ」
「はっ」
え、私美味しいご飯食べたかったんですけど。
……でも、今抗議したら全力で蔑むってデノンさんの視線が物語ってます。ここは何も言わないのが吉でしょう!
「なぁ、管理者様」
「は、はい?」
「キノコの件で、ネグノッテ女王と沢山お話ししておけよ?」
「はぐぅ!?」
まさかのぶり返し!?
ねーちゃんが「ナイスっ!」と話題の軌道修正を喜んでくれています。まさか、デノンさんからそんな話題が出るだなんて……!
「ふふふ、ではこちらにお通しいたしますね」
ノーデさんも空気をしっかり読んでくれました。私のフォローは一切せず、淡々と笑顔でゲストさんを呼びにいきましたとも。
私が悪いって、笑顔で物語っていましたね……恐ろしくも可愛らしい。
と、いう訳で。私達は互いに空気を悪くしながらも、新たなゲストさんの到着を待ちわびるのでありました。
……んで、大体時間にして、10分くらいでしたかね?
私達のいる部屋のドアが、ノックの後に開きます。
そこにいるのは、ノーデさん。そして、2人の男女。
「皆さま、お連れいたしました」
「……あの、普通に祭りを見に来ただけ、のつもりだったんだが……」
「会頭。もう無理そうです」
若いはずなのに老けて見える、白髪混じりの20代。
そして、そんな彼を支えるクールビューティー。
「グラハムさん! サエナさん! お待ちしてましたよ~!」
「えぇ……! なんで各国の上位者がここに集結してるんだよ!」
「はぁ、もはや呪いでしょうかね」
そう、ヒュリンで初めて仲良くなった、コーヒー作ってくれる素敵なお方。
グラハムさんと、サエナさんが、そこにいたのでありました!