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ドライアドさんのお茶ポーション  作者: べべ
第6章:「ドライアドさんと日常生活」
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第79話:猛反発

どもどもべべでございます!

小説の改稿してたから、日にちギリギリになっちまったい!

どうぞ! お楽しみあれ~!

 

「い、嫌だ! 処刑の方がまだましだ!」


「えぇ? なんで嫌がるんです?」


「わかるだろう!?」


 わかりません。

 なぜ、キースさんは涙目になって首を横に振っているのでしょう。

 彼がここに来たのは、私がゴンさんにキースさん滞在の許可を取ってから2日後でした。

 現在ピットから私達の家までは、とても平和的に行き来できるルートが確立されつつあるそうです。なので、この短時間で来れるようになったんだ、とノーデさんが説明してくれていました。


 事実、キースさんはピットの兵隊さんに護衛されて、おっかなびっくりながらもここに無傷で到着してくれていました。ゴンさんがコカトリスなどの危険な魔物を狩ってくれているお陰ですね。

 私達はキースさんを歓迎した後、自慢の日本式邸宅の中を案内した……ところまでは良かったのですが。


「この屋敷で暮らせだって!? 冗談じゃねぇよっ」


 ここに部屋を準備していると言ったとたん、こうしてキースさんがワガママを言い出したのです。

 一体何が不満なのやら、皆目見当もつきません。


「キースさん? この畳式の広間をご覧ください。若草の香り漂う、素晴らしい空間です」


「あぁ、見てる限り、かなり画期的だ。植物だけでこんな家が建てられるなんて、エルフから見てもすげぇと思うぜ」


「夏は涼しく、冬は暖かくをモットーとし、計算された造りをしています」


「そうだな。恵みの季節でも湿気が籠らねぇって言われた時は、耳を疑ったぜ」


「でしょう? 更には森の守護者と名高いゴンさんと、一緒に清める特典までついてくるのですよ!」


「そこだよぉぉ!」


 ホワイ!?

 どこ? どこだというのです!?


「森の守護者とひとつ屋根の下で暮らせとか、流刑のレベルじゃねぇ執行じゃねぇか!? 俺は生きながらに胃袋とブレイキングハートを穴だらけにしながら過ごさないといけない境遇になるんだぞ? 溜め込んだ脂肪も1週間で無くなるわ!」


「え、え? えっと……感激と緊張のあまりにうまくゴンさんと接することが叶わなくなり、恋煩いに近い感情の揺らぎで痩せてしまう、と?」


「ご都合主義な思考回路もここまで極まると害悪でしかねぇ!?」


 ま、まさかキースさんがここに来て恋のライバルポジションに収まるなんて……!

 け、消さなきゃ……!


「……管理者様。ご安心ください。キース様はおそらく、守護者様のご威光にその身を焼かれることを恐れているのです。聞けばエルフと守護者様は、犬猿ならぬ熊猿の仲。不安もあろうというものです」


「あ、あぁ、なるほど~。そういう事だったんですね!」


(……と、いう事にせねば、管理者様があらぬ誤解で御身を排そうとするやもしれません。ここはこの説明に合わせていただければ、と)


(……お、おう……最初からそう言ってたのにな……)


 なにやらノーデさんとキースさんが小声でお話ししておりますが、ストンと得心がいった私には聞き取れませんでした。

 ですが、キースさんも不安ならそう言ってくれればよかったのに~。


「ご安心ください! ゴンさんから、お茶を作る係に任命されたキースさんは特別に居ても良いと許可をとっておりますので!」


 不安ならばと、私はゴンさんがキノコ茶に興味津々であるという事を教えてあげます。

 キースさんのお茶作りスキルは、私達のプレイスにおいて唯一の技能。ならば、そんな貴重な存在を雑に扱うゴンさんではございませんとも~。


「……いや、だから、一緒にいること自体がストレスな訳でだな……」


「は?」


「真顔で顔を思い切り近づけてくんじゃねぇよ! こええんだよ!?」


「か、管理者様! このノーデ、最近また紅茶の淹れ方が上手くなったと守護者様よりお褒めの言葉をいただいてございます! 是非に味わっていただければと!」


 え? 紅茶?

 ふぅー! ノーデさんの紅茶がパワーアップしてるとあれば、これを飲まない手はありませんね!

 是非いただきます、とお伝えすると、ノーデさんはすぐに準備をしに行ってくれました。


「うぇへへへ……お茶、お茶~」


「……なんつうか、本当に茶が好きなんだな」


 そりゃそうですよ。

 私がこの森に来たのも、管理者業にいそしんでるのも、色んな国を股にかけるのも、全部お茶のためなんですからね!

 あ、半分はお茶のため、ですね? もう半分は……んふふ、ゴ・ン・さ・ん♪


「キモっ」


「は?」


「かぁぁんりしゃ様ぁ! お茶の準備が整ってございますぅ!」


「おわぁ! 速いですね!?」


「気合いは概念を超越します故!」


「なんつうか、大変だな、お前……」


「だ、誰のせいだと……」


 ひとまず、お話しは横に置いときまして、お茶タイムですね!

 うぅん、この香り、この風味……ピット産の紅茶ですか。やはり私の魔力で作ったお茶よりずっと美味しいです。


「……んで、俺にキノコを作って欲しいんだろ? 現場はあんのかよ」


 お茶の活躍によりまったりとした時間になった所で、キースさんが口を開きます。

 ノーデさんのクッキーをまふまふといただくその姿は、まるでジャンガリアンハムスターのようです。


「あ、はい。もちろんですよ~」


 私は、離れにある洞窟について説明いたしました。

 そこに原木を敷き詰め、キノコを育成していただければ、きっと素敵なキノコ園ができあがるはずです。

 うぇへへ、その暁には、キノコ茶を飲み比べしてパーリナィするんだぁ……。


「ふぅん……。現場を見てみんことにはわからんが、まぁ環境が揃ってるなら余裕で作れそうだな。楽な仕事になりそうだ」


「おぉ、流石ですねぇキースさん!」


「ただ、俺は基本、加工が専門なのは変わんねぇからな。キノコ作りはあくまで副業としてやってたんだ。そこんとこ期待しすぎんなよ?」


「わかってますって~」


「絶対わかってないな……」


「ですねぇ」


 んふふ、これで私とゴンさんのお茶ライフは、どれだけ充実したかな?

 紅茶、日本茶、ヤテン茶、キノコ茶……これでコーヒーも頻繁に飲めるようになれば、最高ですね。

 その為には、エルフとピットと私達が仲良しになる……これでヒュリンの皆さんも釣れるはず。

 このコンセプトでエルフの里に行ったんですもん。次のお茶会は必ず成功させないと!

 ……あ、そうだ。


「キースさん。原木用意したら、キノコってすぐ生えます?」


「あぁ? お前キノコ畑自分で開拓したろ?」


「専門家のご意見を~」


「はぁ……まぁ、この前みたいにちゃんと原木作ってくれて、洞窟で育てられるんなら、そこまで時間はかかんねぇな」


 おぉ、それは良い事を聞きました。

 では~


「じゃあ、お茶会にキノコ茶も出す事にしますね! よろしくお願いします!」


「は? お茶会?」


 聞いてない。そう視線が飛んできましたが、無視しました。

 キノコ茶の生産は急募ですからね。どっちにしても早々に生産してもらわないといけません。ゴンさんのために。

 ならば、お茶会に間に合わせるようにお願いしてもいいはずです。うん、そのくらい急かした方が、キースさん的にもやる気満々になれるでしょう。


「……なぁ、お茶会って……」


「えぇと、ですね」


 キースさんは、お茶会がどんな内容かを聞いた段階で顔を青ざめていました。

 その茶会に俺を呼ぶなよ。それだけを言い残し、洞窟の下見に足を運んでいきます。

 ……胃の辺りを抑えておりましたが、クッキーの食べ過ぎでしょうか?

 あとでヤテン茶を用意してあげよう。そう思いつつ、私は紅茶のお代わりをお願いしたのでした。

 

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