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第73話:エルフとのその後

どもどもべべでございます!

お盆は意外と忙しい……保育園休みじゃないし。

台風も思った程の被害じゃなくて安心ですとも~。

ゆったりとしたペースでご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~

 

 こうして、私とねーちゃんは和解することができました。

 え? なんでねーちゃんは和解という単語に驚愕してるんでしょうか? 既に互いの間にわだかまりなんてないでしょうに。

 少なくとも、私は完全にねーちゃんを許してますからね! つまりねーちゃんも私のしたことは許すという方向で……だめ? そんなー。


 ま、まぁしかし、互いに歩み寄る事になったのは確かです。私達は結果として、同盟以上の絆を手に入れたと言ってもいいでしょう!

 え? 管理者監視同盟? そんなー。


 わ、私を通してみんなの結束が高まったのは事実ですよね! つまり私がこうしてこの地に来たのは、けして無駄ではないかと存じますが!

 え? 騎士さん達は結局3日寝込んだし、土壌が一部弱ってキノコがダメになった区画があるから、プラマイゼロどころかむしろマイナス? そんなー。


「って、皆さん私に対して少々酷評すぎませんかね!?」


「自業自得だな」


「因果応報です」


「あ、お茶のお代わりいだだけるかしらぁ?」


 ノォォォウ! 本当に残りの面子が結束硬くなってる!

 うぅん、吊り橋効果ってのは、本当にあるものなんですねぇ……。


「というか、サイシャリィに来てからもう5日経つが……管理者様、何か生産的な事したか?」


「生産的? えっと……お城を大変住みやすくしたと思います~」


「それは否定しませんが、リスクの方が大きすぎたので除外ですねぇ」


 そう、あれから5日です。

 最初にちょっとしたトラブルはあったものの、そこを乗り越えた私達は、当初の目的通り同盟に関しての色々を交渉するようになっていました。

 しかし、その会議は難航。女王様も、後日行われるお茶会でゴンさんの真意を聞いてから決めたいらしく、中々肯定的になってくれません。


 なので、後はもうデノンさんがピットとサイシャリィとの国交をお話ししてる横でお茶飲んでるくらいしかやることないんですよね~。

 下町に行くの、禁止されちゃったし。ぶー。


「ん~、でもでも~、何かやろうにも全部許可が必要で、たいてい却下されちゃうじゃないですか~」


「初日の暴走を見てますからね」


「あれをやられちゃなぁ……」


「あら、でも世界樹の葉は宝物庫に保管されたんでしょう? それを確保できただけでもココナちゃんの功績は大きいと思うわぁ」


「「む……」」


 おぉ、えっちゃんナイスアシストです!

 そう、あの時芽吹いた葉は、混ざり物でこそあれどまごう事無き世界樹の葉!

 ねーちゃん達は喉からハンドがこんにちはするくらいには欲しかったはずですよ~。


「ん~、つまり、もうあの騒ぎに関してのお詫びは葉っぱで済んだと思ってよかったんですかね?」


「私はそう思うわよぉ? もうこの大陸では手に入らないはずの世界樹の葉を提供された訳だし。それも複数枚」


「「むむ……」」


 むふふ~、じゃあ私強気に出れます?

 ちょっと性格悪いかな。……けど、5日間もお城でぐだぐだなんて根っこ生えちゃいますし、なにか行動したくもあるのです。

 ここは、葉っぱを材料にお外に出る交渉をば!


「ねーちゃんねーちゃん、私、もうお詫びしてたんですって!」


「そ、それは……そうなると言えば、そうなる気もしますが……」


「じゃあ、5日間もお城の中にいるのはちょっと警戒しすぎだと思います!」


「いや、管理者様を警戒するのは当然だと思……」


「シャラップ! ね、ね? 少しで良いから、また城下に行きたいんですよぉ。もう世間樹の葉っぱで買い物したりしませんからぁ」


 秘技、上目遣いにウルウルしてみる作戦です。

 ノーデさんとえっちゃんには実際有効なこの絶技! ここで抜いちゃいますですよっ。

 そう、今の私は、おもちゃコーナーの前で頑なに足を動かそうとしない少年少女と同義! たとえ後で雷が落ちるとわかっていても、行動せずにはいられないのです!

 ぶっちゃけ暇なのです!


「……ど、どうしましょう?」


「まぁ、監視役がいれば……いいんじゃないか? 少しくらいなら」


「絶対止めてくれる監視役、誰かいます? 私は相性的に彼女に勝てないので、ストッパーとしては役不足ですし」


「精霊様も放任主義だしなぁ……」


 ここまで言った段階で、えっちゃんとねーちゃんの視線は固定されています。

 そして、その視線に気づくデノンさん。あ、心底から嫌な顔した。心外です。


「俺は嫌だぞ……!」


「ですが、あの時唯一ココちゃんを止められたのはデノン王ですし?」


「なんのかんのうまく纏めてると思うわぁ?」


「ん? ん? デノンさんが連れてってくれるんです?」


 いやいや、と首を振るデノンさん。追いつめて行く3人。

 さぁ、私を城下に連れてって!

 そんな熱い想いが通じたのでしょうか。それとも、ねーちゃんが「この任を受けてくれたら、サイシャリィとピットの人材交流をのんでもいい」と言ってくれたのが原因でしょうか。

 私達は、数十分後には城下にいたのでありました。


「胃が……!」


「わ~、デノンさんデノンさん! お茶買いに行きましょ、お茶!」


「財布は俺が握るからな! 管理者様は絶対に余計な物出すなよ!」


 もう、私ってばそんなに甲斐性なしに見えます?

 世間樹の葉はダメってわかったから出さないにしても、お代くらい自分で出せますよ? 紅茶葉とか出せますし。


「それが余計なんだって!? 出すなよ、いいから!」


「あうあうあう、わかかかりましたたたた~」


 頭を引っ掴んでがくがくしないで~!

 がくがくされながら、私はデノンさんに約束させられてしまいました。

 でも、なんか男の人に奢ってもらうのって、いい感じの気分デスねぇ。


「うぇへへ……それじゃあ、行きましょ~!」


「はぁ……とりあえず、茶葉だな? 行くぞ」


 デノンさんは、サイシャリィとの国交が終わり次第、自分の国に帰ってゴンさん達を招待する準備を整えなければいけません。

 私もまた、ゴンさんをピットに向かわせるようにお話しせねばなりません。

 つまり、2人がこうして仲良くおでかけできる日は、これが最後のタイミングになるでしょう。

 その分、デノンさんにはしっかり楽しんでいただかなくては!

 いただか……なくては……


「……デノンさん、なんかお店が次々に閉まって行くんですけど」


「……あ~……まぁ、関わり合いには、なりたくないよな」


「デノンさん、なんか人が蜘蛛の子を散らすように逃げていくんですけど」


「あ~……まぁ、城に封印されてた魔物が逃げ出したようなもんだしな」


 あ、なんか女の子がこっちに向かって歩いてきた。


「……お姉ちゃん」


「はい?」


「私のお父さんのキノコ畑、ダメにしたのお姉ちゃんって……本当?」


 はぐぅ!?


「お父さんのキノコ……秋にはたくさんなるはずだったって……なのに、原木がほとんどダメになったって……」


 おぶふぇぁ!?


「おやめナエカ! すみません、すみません! 失礼します!」


「返して! お父さんのキノコ、返してぇ……!」


 ぐぁばぁ!?


「……行っちまったな」


 幼子の恨み節を受け、私はその場から墜落しました。

 なんという……なんという切れ味。自分がしたことの罪深さが、今にして自覚できましたとも。

 あぁ、しかしどうしましょう。キノコは私の管轄外ですし、罪滅ぼししようにも……。


「……あ~……どうする?」


「……デノンさん」


「あ?」


 ……決めました。

 私、最期の一仕事、します。

 ここに憂いを残していては、エルフとの同盟なんて絵に描いたお茶!


「少し、頼みがあるのです……!」


 私にキノコをどうこうする力がないのなら!

 堂々と人を頼らせていただきますとも!

 

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