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第58話:いざキノコ茶

どもどもべべでございます!

最近少しずつ更新速度が伸びてきてますねぇ。これは少々気を引き締めていかねば!

頑張っていきますぞ~! よろしくお願いいたします!

 

 モスマッシュ茶。一体どんな味わいなのでしょうか。

 私、気になります!


「では皆さん、早速いただこうではないですかっ」


「完全に話の流れを忘れてやがる……お茶しか頭に残ってねぇ!」


「流石ねぇココナちゃん。これほどまでにすっぱりと他の事をぶった切ってお茶しか眼中に無いなんて」


「おや? 褒められてます?」


「少なくとも褒めてはいねぇ……!」


 おかしいですね。お茶に対する想いの強さを肯定して貰えた気がしたのですが。

 まぁ、いいです。今大事なのはキノコ茶ですとも。

 キノコ茶はですねぇ、やってみたいと思ってはいたのですが、中々難しかったのですよ。ほら、キノコって菌類であって、植物じゃないじゃないですか。

 だもんだから、私の管理下からは離れちゃってたんですよね。私の影響範囲は、あくまで森の植物と、魔力ですから。


「ふむふむ……やはり良い香りですね。なんというか、スープっぽい?」


 キノコ茶は種類にもよりますが、基本的に乾燥させたキノコを浸して成分を抽出するものです。ものによっては、30分くらい時間をかけるのもあるらしいのですよ。

 そんなに時間をかけるなら、水の状態から抽出して後から温めるのかしらん。それならば、お出汁って意味合いでスープっぽいのは頷けます。


「はぁ……すまないな、ネグノッテ女王」


「いえいえ、噂通りの方で安心しました」


 2人が何か言ってる間に、一口。

 その瞬間、口内に旨味がぶわっと広がってきました。


「これは……!」


 モスマッシュの風味はとても豊かです。動物性だから多少の臭みは覚悟していましたが、そんな事はありません。

 この旨味は、植物性のお茶では中々出せませんね……バターとかくわえたらよりまろやかになりますよこれ。


「おいしい……」


 ですが、植物性のお茶やコーヒーと比べると、吸収率は少し落ちますか。やはり、お茶といえど別種の何かから養分を吸収してる扱いなのでしょう。

 ま、そんな事は美味しいお茶の前には関係ないんですけどね!


「今日はモスマッシュですが、日によっては鬼茸おにたけ乳茸ミルクマッシュなどの種類で作られ、その都度味も変わりますよ。飽きを感じないのがキノコ茶の最大の利点と言えますね?」


「素晴らしいです。キノコは毒が多いから、それだけの種類を集め栽培するのにかなり時間がかかったでしょうね」


「えぇ、先祖代々の知識でございます。エルフは他の種族と比べて寿命が長いようなので、特に先祖と言っても何代か前なのですがね?」


 うん、うん……このお茶が毎日飲めたら、それはもう幸せでしょうねぇ。

 やはり、フィルボとエルフは同盟してもらわなくてはなりませんね……!


「ん、うまかった。ご馳走様」


「ありがとね、ネグちゃん♪」


「い、いえいえっ」


「んじゃ、話戻していいか?」


 そこからデノンさん達は、何やら難しい話を始めました。

 何を話してたかは、私お茶飲んでたので覚えてません。

 けど、私が森の管理者として、世界に領土的なものを発信するっていう点は話題に上がったみたいです。女王様がびっくりしているのが見えましたから。


「あ、お代わり良いですか?」


「は、はいっ」


「いやぁ美味しいですねぇ」


「あ、ありがとうございます!」


 メイドちゃん可愛いですねぇ。私と彼女の間には、不思議な仲間意識が芽生え始めていますとも。

 こう……身体構造上の類似? 的な意味合いで。


「ふむ……お話しは理解できました。確かに、大陸の情勢は大きく変動するでしょうね。鬼共や獣も勇んで行動してくるでしょう」


「だろう? 正直、俺らは戦いとなるとあいつらに勝てる自信がない。遠慮なく精霊様や守護者様に頼らせてもらうつもりだ」


「そして、私達にもですか?」


「おんぶに抱っこになるつもりはないけど、頼れたら嬉しい。肩を並べて、いざという時に協力できれば、鬼にも負けない……と思うぞ?」


「ふむ……」


 女王は少し考えた後、私に視線を向けました。

 二杯目のモスマッシュを堪能している私ですが、お話しをしないわけにはいきません。カップを置いて聞く構えです。


「管理者さん。お伺いしたいしたいことがあります」


「なんでしょう?」


「【封印】は、どのような状態ですか?」


「…………」


 ホワイ?


「おい、なんてつぶらな瞳をしてんだよ……」


 デノンさんのツッコミも仕方ないでしょうね。だって訳わかりませんもん。

 封印? なんの封印でしょうね?


「……やはり、あの熊は何も語っていないのですね」


 はぁ、と女王様はため息をつき、立ち上がります。

 私に対する視線が、少々冷ややかなものになっているのは、気のせいではないでしょう。


「申し訳ございませんが、今の情報量で、貴方を森の支配者と認める訳にはいきません」


「あう……」


「世界に己を知らしめるならば、己の領土の事くらいは知っておいてしかるべきでしょう。それを疎かにしている間は、エルフは貴女に恭順するつもりはない、というのは結論です」


 うぅん……ゴンさんが私に対して知らせていない事、ですか。

 ゴンさんの幼馴染ポジションらしいえっちゃんに視線を向けますが、苦笑の後にお茶を飲んでますね。教えてはくれないご様子。


「その上で、貴女がご勝手に宣言するのは良しとします。その時は、愚か者を粛清すべくエルフは牙を剥くでしょう」


「おいおい、穏やかじゃねぇな……」


「あくまで勝手な行動を取ったら、ですよ。仲間として認識するには、管理者さんはまだ未熟だということです」


 つまり、今のままならば率先して事を荒立てるつもりはない、と。

 ……でもなぁ。せっかく美味しいキノコ茶を貰える機会、逃したくないなぁ。


「しばらくはこちらに滞在するのでしょう? 今の内に、見分を広めるのも手だと思いますよ。エルフの文献は最古の物も取り扱っています。己の枠内で完結させるでなく、外に目を向けてみてくださいね」


 女王様は、それだけ言って立ち上がりました。

 デノンさん達に一礼して、しずしずと部屋を出ていきます。


「んふふ、まぁ、仕方ないわよねぇ」


 えっちゃんが訳知り顔なのが、なんか変な感じなのでした。

 

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[気になる点] 気のせいでなければ二度ほど『立ち上がる』と言う表現があったような……?
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