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第56話:彼の亡骸

どもどもべべでございます!

サイシャリィ編、なんだか長くなりそうな予感がしますねぇ!

どうぞ、お楽しみあれ~!

 

 世界樹。

 いと気高き樹木の王。

 謁見はもちろん初めてです。私が生み出す世間樹せけんじゅは、この世界樹の手前みたいな感じらしいので。


 故に、その雄大さに私は当てられました。

 既に葉は堕ち、枝も残りわずかといった枯れ木です。樹皮も剥がれているのでしょう、白ずんだ体が見て取れます。

 しかし、そんな外見では語れない程に、御身は生命力に満ちておりました。


 死した身で生命とはこれいかに? と思ってしまうかもしれません。しかし、本当にそうとしか表現できないのです。

 それが、身に纏った魔力故なのか、はたまたその身に纏う、王気故なのかはわかりません。

 わかるのはただ一つ。植物であるならば、彼に対し敬意を抱かない者はいないという事でしょう。


「……管理者様のそんな顔、初めて見た気がするな」


「そうねぇ。いつもは快楽と性欲を行ったり来たりしてるような顔してるものねぇ」


 おや? 私けなされてます? けなされてますよね?

 なんですか快楽(お茶)と性欲ゴンさんって。そんな顔なんてハイしてましたわごめんなさい。

 けどですよぉ~。私ったら超久しぶりにマジメな感じに世界樹に見入ってた感じなんですからぁ~? もう少しなにか情緒あるコメントが欲しかったです~。


「ふふ、さぁひとまずは世界樹へどうぞ。お話しはそれからで」


「はぁ……じゃあ、まぁ、行くかぁ」


「んふふ、私とココナちゃんは飛べるから、フライングフラワーはいらないわね?」


「そうですねぇ~」


 私の横で、えっちゃんがふよりと浮かび上がります。私はそもそも浮いてるので問題ありません。

 女王様もそれを見て納得したのでしょう。デノンさんと騎士さん達が乗り込んだのを見て、魔力を操りフライングフラワーを浮かせて行きました。

 空中に飛び上がり、世界樹を目指す傍ら、私はサイシャリィをちらりと振り返ります。

 そこは、森の中に広がる都市という名にふさわしいものでした。


 長年の研鑽と努力の末に生み出された、自然と生き物の調和。自然に生かされていると自覚した上での都市構造。

 つまるところ、家とかは基本枯れ木を使って、生きた樹は加工しないって感じです。世界樹に守られてるから、強度とか気にしてない感じですね~。


 私達を見上げるのは、エルフの皆さん。小さい子供は笑顔で手を振り、大人たちは少し警戒してる感じ?

 エルフが他の種族に対して警戒心が強いのは知ってますけど、少々悲しいですねぇ。なんとか仲良くなれないものか。


 ……まぁ、手段なんて一択ですよね? みんなでお茶を囲む、それだけです。

 それさえできればラブ&ピース。きっと皆さん心を開いて家族同然の在り方になってくれるはず!

 うぇへへへ……どんなお茶を飲もうか……今らか待ち遠しくて仕方ありませんよぉ。


「皆さん、もうすぐつきますよっ、着地に備えてくださいな」


「お、おう!」


 女王様の声が聞こえてきた所で、私の意識は世界樹に向かいます。

 おぉ、こうして近くで見たら、本当に大きい……けど、怖いとは感じませんね。

 なんというか、大きくて背の高い古時計の横でロッキングチェアを揺らしながら寝ているおじいさんをイメージしてしまいます。

 ドラマとかだと、奥さんがその状態で彼の死を悟って涙を流したりするんですよね。寂しいけど必要なシーン、うん。


 その世界樹の幹にはこれまた門のようなものがあり、私達を迎え入れてくれるかのように開いておりました。うん、門というか窓ですねこうしてみると。

 大きさは象が軽く入れそうな窓ですけど、世界樹の規模からしてみれば小さなものでしょう。


「ふぅ……皆さん、お疲れ様でした」


「うおぉ……やっぱ人間、地面に足つけてるのが普通な生き物なんだよ。生きた心地がしなかった」


 窓から入った皆さんは、人心地ついて気持ちを落ち着けていました。

 デノンさんったら、本当にフライングフラワーが怖いんですねぇ。ドキドキしちゃって可愛いのなんの。

 そして騎士さん達は……


「うぐ……!」


「こ、ここはいったい……!」


「我々は……ぐはっ」


 ええええええ。

 皆さんうずくまって、次々に倒れていくんですけどぉ!?

 なんかぷしゅーって感じにしぼんでって、元のフィルボに戻ってバタンキューしていきます!


「あらま、薬切れねぇ」


「まぁっ、皆さん本当にドワーフではなかったのですね?」


「う、うわぁぁ! お前たちぃぃ!」


 あらら……騎士さん、全滅。

 全員が体をピクピクさせながら、床に突っ伏しています。

 ちなみに、床はトゥルットゥルに磨かれた一枚丸太ですねえ。この空間自体がくり抜かれて出来てるらしく、樹齢がわかる感じに輪っかが見えますよ~。


「床に意識を向けてる暇があったら、こいつらを介抱してくれませんかね管理者様!?」


「あ、すみませんすみません。ゴンさん茶飲みます?」


「封印するって言ったよな!? 飲ませるかあんなもん!」


 それから数十分。

 騎士さん達は、全員仲良く寝室のベッドに寝かされて動けなくなっておりました。

 診断結果は、筋肉痛。そりゃああんだけバンプアップしてたらそうなりますよねぇ~。

 ゴンさん茶を飲むと、強烈なパワーアップの後に動けなくなってしまうのですね。効果時間は、一日くらいですか~。

 うん、とんでもない劇薬ですねぇ!


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