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第50話:旅路

どもどもべべでございます!

わーい! レビューいただきましたよ! 嬉しいですー!

しかし、レビューもらって最初の話が、これでいいんだろうか……ま、まぁ気にするな!

という訳でご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~!

 

「おぅえぇぇぇ……おぼろろろろ……」


「ぎゃああああああああああああ!? 濃厚な蜜が俺のズボンにぃぃぃぃぃ!?」


 皆さんごめんなさい。楽しい旅になるって言ったな……あれは嘘だ。

 今私は、妖生最大の酩酊感にガンガン頭を殴られています。

 ピットを出て、およそ3時間といった所。ガタガタの道を走っていた所で、なんとも我慢が効かずリバースしてしまいました。


 く、車酔い? これが車酔いってやつですか? 前に兎車に乗った時にはこんなことなかったんですけど……!

 あ~、乗ったっつっても王様の家から畑までで、そんなに揺られてなかったですね……つまり、私の身体は今、長時間のガタゴトに対応できずに酔いよいになってると……!

 くぅっ、出てくる体液が蜜や樹液だからいいものを、これが普通の人間なら大惨事確定な醜態です! え? もう既に大惨事? そんなー。


「ずびばぜん……酔いまじだ」


「あらら~、少し休む?」


「いやいや、このペースで休まれちゃあ何日たつかわかんねぇですって! あぁもう、上位妖精の蜜なんて高級品をぶちまけやがって、これだけでいくらになると思ってんだ……! 回収用の瓶!」


 え、ちょ、ま、回収すんの?

 やめて! それ私のゲふせじですよ!? 乙女のゲくちを保存だなんて何考えてるんですか!?

 そんな私の訴えの視線に気づいたのでしょうか。デノンさんはジト目で私を見てため息をつきます。


「あのねぇ、俺らにとっちゃ、あんたら上位の存在は体全体まんべんなく、素材の山なわけですよ。ドライアドの蜜って言えば、舐めるだけで状態異常回復や一定時間の回復効果リジェネが得られる超貴重品ですよ? 一滴でも無駄にはできんのです」


「り、倫理的かつ、衛生的な観点は……」


「あ~……文献では、自分の手首を切って分け与えたり、口付けにより一命を取り止めたりといった内容が書かれてましたねぇ……まさか車酔いで吐かれて蜜を手にするなんて、想像つかない伝説を味わいましたよ」


 の、のぉう!

 ドライアドの蜜って、文献に載るくらいの貴重品!?

 つまり、私の場合、『ガタゴト揺られて酔ってぶちまけ、蜜を回収することに成功』とか書かれるんです!?

 ノット! ノットです! そんなん夢も希望もないですよ!


「デ、デノンさん……このことは、ご内密に……!」


「あ~……まぁ、あんたには借りが山ほどありますからね。別に内緒にするくらいはいいですよ」


 よ、よかったです~。

 しかし、なんともいえませんねぇ。デノンさんの手には、瓶にて回収された私の蜜があります。

 あれが手に入った経緯を考えると……うん、も、もういいですね!

 不純物ゼロの蜜ですもんね! そんなんだったらハチのロイヤルゼリーだって吐しゃ物ですよHAHAHA!!

 人間と妖精の違い! アーハン? OK? パードゥン!?

 よし! もうこれ以上は触れないでおきましょう!


「ふぅ……私、ちょっと上飛んでますね……兎車と同じスピードで追走しますので、おかまいなく~」


「んふふ、それがいいわね。少し風に当ってらっしゃいな?」


「ん、いってらっしゃい……しかし、ズボンの沁みは隠せんなこれ……」


 いやぁぁぁ! 沁みとか言わないでぇ!

 私は、逃げるように車の外に身を躍らせたのでした。





    ◆  ◆  ◆





 兎車の外は、なんとも心地の良い世界でした。

 森沿いを北西に、ぐるっと周る様に走っているのですけども、森以外は透き通るような草原が広がっています。

 街道は整備されてないんですね……だからあんなに揺れたんですねぇ。飛ぶのに労力なんてかかりませんし、私は今後追走したほうがよさそうですとも。


 私たちが向かっているエルフの里は、フィルボと同じく森に面しているそうです。エルフもまた、森と共に生きている民なのですね。

 しかし、フィルボとは生き方がまた違うらしいです。フィルボは森の恩恵を受けながら森の外を開拓し、田畑を耕し生きる農業国家。

 対して、エルフは森の木々に住まい、外の草原で魔物などの食料を狩って帰るという狩猟国家です。森の外には大型の魔物が多いので、食材も豊富って感じなんですね。


 つまり、両者は生活が真逆なのです。同じ森仲間でも、こうも違うのだから面白いですよね。

 狩猟を生業にしているだけあって、エルフには戦士が多く、また魔法を使う者も多いんだとか。その戦闘力があるからこそ、この時代を生きていられるってデノンさんが言ってました。


「つまり、そのエルフさん達と仲良くなれれば……デノンさん達も大助かり、と」


 王様としては正しい判断で動いてますよねぇデノンさん。

 走る兎の上に移動し、もふんと頭を撫でながら考えます。兎はぴくんと反応しながらも、走ることをやめません。うぅん健気。

 しかし、森の中で暮らす民族……私、3~4ヵ月くらい管理者してますけど、まだお会いしてないですよねぇ。

 中心には来ない人達だったんですかねぇ……?


「……まさか、ゴンさんが怖くて来れなかった? ん~、わからなくはないですね~。盗賊とか皆殺しにしてたらしいですし」


 もしそうだったら、ゴンさんと仲が良い私がそこに行ったら、人質にでもされそうな気がしますね~。

 ……あっはっは! いやいやまさかそんな訳ないですよね~! 私大使様みたいなもんですし、わざわざゴンさんを敵に回すような事はしないでしょう!


『おい精霊様。なんか今、とてつもなく嫌な予感がしたぞ!?』


『そうねぇ、まるで兎車の上にハタでも突き刺さったような感じだわぁ?』


 兎車の中で、デノンさんとえっちゃんがよくわからないお話しをしてますね。

 しかし、私はそんなお話しを華麗にスルー。できる女はお偉い会話は聞かなかった振りができるのです。

 そんなことより、エルフの飲むお茶を楽しみにしている方が何倍も楽しいですからね~。

 かくして、私はエルフの里に向かい、ふよふよしながら胸を膨らませているのでありました~!

 

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