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第42話:カフェインショック

 どもどもべべでございます!

 筆が進むぜぇ~! フゥ~っ!

 けどクオリティは低いぜぇ~! 勉強せねば……!

 というわけでご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~

 

「突然の退室、失礼しました。どうにも魔力が抑えきれなくなりまして」


「い、いえいえ! 滅相もございません!」


 魂の咆哮からおよそ5分。

 私の興奮は冷めやらず、ノーデさんが口を押さえてくれているのを良いことに叫びっぱなしでいました。

 そんな私を見かねたゴンさんがまたゲンコツを落とし、鎮圧してグラハムさんの所に放り込んだのが事の顛末です。


 ご安心を。たんこぶはもいでますので外傷はゼロですとも!

 しかし、コーヒーの高揚が薄れたわけではありません。本当にグラハムさんの言っていた種茶がコーヒーかはわかりませんが、確認し、確保せねばなりますまい。


「その……種茶というものは、現物を見ることができるのでしょうか?」


「もちろんです。サエナ、アオノイ、俺は馬車を引いてくる」


「か、会頭……ここは俺が」


「お前は休んでいろ。ここは安全だ、緊張を解しておけ」


 アオノイさんは、「は、はぁ……」とだけ言って首元をかいています。なんとも覇気がないですねぇ。

 ゴンさんが見たら絶対イラッとしてますよこの人。


「…………」


「……えぇと、なにか?」


「いえ……」


 グラハムさんを待っている間、サエナさんと目が合ったので話しかけてみます。

 けど、サエナさん自身なんともとっつきにくい感じ。……商人さんって、もっとこう……愛想良い感じじゃないんですかね?

 私ったら、居心地の悪さで無い胃がキリキリしちゃいそうですよ?


「ふむ……お二人は、グラハムさんの部下さんなんですよね?」


「そうです。グラム商会創設から一緒にいる間柄です」


「まぁ素敵っ、長い月日を共に過ごしているんですね?」


 それから何点か、お話しついでに情報収集できましたよ~。

 グラハムさんのお店は、グラム商会という名前らしいですね。開業してから10年程の、中々波に乗ってる商会のご様子。

 商品は幅広く、かつ深めに取り扱うってのがモットーみたいです。旅商人が多いとの事なので、各地に飛んではいろんな物を仕入れてくれるらしい、と。

 ……この人たちに頼めば、各国のお茶を仕入れられる……と。是が非でも仲良くせねば……。


「……その、管理者様」


「はい、なんでしょう?」


「会頭は、管理者様に本当に感謝しております。あの人は、帰ってくるなり「死にかけた、救われた」と私たちに語っておりました」


 ほうほう。やはり私は知らず知らずの内にグラハムさんを救っていた様子。

 我ながら罪づくりな女……とか思っちゃいますねぇ。


「会頭は昔かたぎで一本気な所があります……今回お持ちした供物も、正直言って採算度外視です。場合によっては商会が傾きます」


 なんと!?

 た、確かにお茶たくさん持ってきたって言ってましたね……お茶って、そんなに高級?

 いや、そりゃ高級ですよねぇ……うぅん、そうなると、サエナさんがこんなにテンション低いのは、商会の未来を憂いているからなのですね。


「このような事、私が言うのは無礼千万かと存じます。しかし、会頭がいない今だからこそ言います。罰するのは私だけにしてください」


「え、あの、その……」


「どうか、会頭に目を向けてやってください。あの人は全てを賭けてここに来ています。管理者様の御心を……」


「ココナ様!!」


 うひぃ!?

 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいノーデさん!?

 けしてほだされてるとかそういうんじゃ! いや少しくらいなら回復するお茶あげてもいいんじゃね? って気分になってましたけどこれは違くてあのそのいやですね!?


「ココナ様! アオノイ殿が!」


「え?」


「っ、アオノイ!?」


 言われた方を見ると、アオノイさんが座った状態から力無く崩れ落ちているではありませんか!

 こ、これはいったい!?


「失礼します!」


 ノーデさんが駆け寄り、アオノイさんを寝かせると診断を始めました。

 アオノイさんは真っ青な顔で、荒く息を吐いてます。


「熱が高い……突然の脱力……アオノイさん、聞こえますか?」


「……は……はぃ……」


「意識はありますね。どこか痛い所はありますか?」


「……す、すみません……」


「大丈夫です、誰も責めません。お答えください」


「……あ、頭と……背中が……痛い、です……」


「なるほど」


 最後に、ノーデさんはアオノイさんの首筋と、細い瞳を開かせて確認します。

 そして、サエナさんに向き直りました。


「アオノイさんは、最近どこかに出向いていましたか?」


「わ、私と共に、ヴァナの里へ……」


「ふむ……それはどのくらい前ですか?」


「私たちが帰ってきてからすぐ、ここに来ていますので……大体6日前、ですね」


 ノーデさんはそこまで聞いて考え込み、私に向き直ります。

 その瞳には僅かな安堵と、絶妙な緊張。


「ココナ様。アオノイ殿は感染症などではないと存じます」


「あぁ、人には移らないって事ですね? ひとまずは安心です」


「ですが、このまま放置すれば5割の確率でお亡くなりになるでしょう。直ちに安静にして治療をしなければ……」


「そんな……!?」


 サエナさんがアオノイさんを心配そうに見つめる中、私もこそくら~っとアオノイさんを覗き込みます。

 ん~……首元が黄色っぽい? 頭とかが痛くて、熱がばーって出る?


「あ、黄熱病ってやつですか?」


「ココナ様の知識ではそう呼ばれているのですね? 私どもの間では、デッドバフ(黄土の死)と呼ばれています」


 てきぱきとアオノイさんを運ぶ手はずを整えながら、ノーデさんは口を動かしています。


「虫刺されが原因かと存じますね。今が発症と考えますと、4日程嘔吐と痛み、熱が続くでしょう。それで済めば治る見込みがありますが、重症化すると更に症状が出てきます。……守護者様! お力をお借りしたく!」


『……はぁ、まったく』


 隣の部屋で様子を見ていたゴンさんが、のそりと出てきました。

 サエナさんが隣で小さな悲鳴をあげますが、私は大丈夫ですよ~と落ち着かせてあげます。


「お、おい、どうしたんだ!?」


 と、そこへグラハムさんも到着。駆け寄りたいけどゴンさんを見て一瞬怯んでいますね。


「すみません、アオノイさんが病気なんですよっ」


「アオノイが……!?」


「すぐに寝室に運びますので、馬車をそこに置いておいてください」


「わ、わかった!」


 ゴンさんはいやいやながらもアオノイさんを背中に乗せ、寝室に運んでくれました。

 ……あれ? これってコーヒー見れないじゃないですか。

 ちょ、少しだけコーヒー見せて欲しいなーなんて……!


『ちんくしゃ……まさかこの状況で外道なことを考えてはおらぬな……?』


 うひっ!?

 ややややだなぁ、もちろん皆さんについていきますよぉ……はは、は……はぁ。

 

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