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ドライアドさんのお茶ポーション  作者: べべ
第三章:「ドライアドさんとスローライフ」
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第29話:心和ちゃんのお料理講座(なお手際悪し)

 どもどもべべでございます!

 いやぁ、お料理部分が長くなったので、実食は次回にします。

 二部とか言っときながら三部構成です。勉強が足りないよ!

 というわけでご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~

 

 日本家屋のキッチンと言えば?

 そう、かまどですね。もちろん、この家にも竈を導入いたしましたとも。

 ゴンさんは地属性の魔法は使えないため、1から粘土を手でコネコネして作っておりました。

 心和の記憶では普通に炊飯器でどうたらって感じの記憶ばかりで、竈に関する知識は炊き方以外ありませんでしたが……そこはそれ。現代知識で賄えないなら、現地人のお言葉を借りればいいのです。


 そう、ノーデさん! ピット国では、穀物を炊いて食す文化があったのですよ。

 流石は農業国家。ヤテンだけではなく、新鮮なお野菜やお米がしっかりと育っておりました。お米を炊くだけあって、釜もちゃんとありましたよ! ちょっと日本のと形違うけど。

 で、あるならば。当然の如くお米が炊けるわけで。今回の新築祝い、かつノーデさんの歓迎会をかねた宴には、ノーデさんのお手伝いが不可欠と判断いたしましたとも。

 あと、えっちゃんとゴンさんの仲直りもかかってますね。うん、責任はノーデさんに押し付けるに限ります。


「ココナ様から邪念を感じました!」


「ほう、ならば私を正しますかね?」


「いえいえ、ココナ様のためならばこのノーデ、この身を賭してあらゆる邪悪にも手を染めましょう!」


「あ、いや、それはやめて、その、罪悪感がですね……」


 せ、責任は分かち合うものですよね! うん!

 私の中の黒い部分はノーデさんの笑顔によって完全に浄化されました。なにこの子、ヒロインなんじゃないですかね?


「ま、まぁ何はともあれ、ノーデさん? ノーデさんの国では、お米をどんなふうに食べていました?」


「は、基本は炊いたお米を森の恵みと混ぜ、風味を分かち合いながらいただくことが多かったですね」


 ふむふむ、炊き込みご飯ですか。


「あとは、他国から買い取った海の幸などを使い、生の米と一緒に炊いて食したりした事もあります」


 ほうほう、パエリアですか。

 ていうか海の幸食ったことあるんですね。羨ましいことしてくれます。

 なんでも、ヒュリンと呼ばれる種族に大変器用な発明家が多いらしく、そういった海の幸を保存したりする道具を作って商売に出たりするんだとか。

 そんな商人から大量に買ったことがあるんだとか。デノンさんも意外と冒険心があるんですねぇ。


「まぁ、総合して考えて~……何かと混ぜて食べる事が多いって感じですか?」


「えぇ。お米を単体で食べる時もありますが……それは栽培が上手くいき、甘みや旨味が強い出来上がりになった時や、新米を食べられる時期くらいですね」


 あ~、なるほどぉ。

 基本的に、お米は大量に保存するものですからね。古くなれば当然味も落ちますし、日本と違っていつでも新しめのを買えるって訳じゃないんですね。

 それに、まだ味が安定していない感じなんですねぇ。お米の研究は一生ものだと聞きますし、建国してから100年の歴史を持つピット国でもなお、お米や農業は発展中ってわけですか。


 ……参りましたね。今回のメニュー、日本食の予定だったのに。

 私は、後ろの方でグツグツと煮えた大鍋を見つめ、ため息をつきました。

 せっかくえっちゃんにお米人数分持ってきてもらったのに、そんな事を聞かされると……なんか、使いづらい。

 ん~、私が一から新米生やしてもいいんですけど、私のは急造な分味に深みがでないんですよねぇ。

 調味料程度に使うようなものならちょちょいと生やしてしまう所ですが、メインのお米はそういう訳にもいかず……どうしたものか。


「……よし、あれにしましょう」


「あれ、ですか?」


「はい、あれです。ひとまずノーデさんは、普通にお米を炊いちゃってくださいな」


 材料はあったはずですから、多分問題ないでしょう。

 洞窟の中から持ってきた調味料は……ふむふむ、岩塩にスパイス、盗品の胡椒こしょう

 あとは、醤油と砂糖、旨味調味料がありますね。

 ふふん、後ろの三つは、帰ってきてから作った代物ですよ。どれも大豆やサトウキビを原料にしている調味料ですからね、植物からできるものであれば、私に出来ないことはありません。

 この前鳥皮のパリパリ焼き作った時、旨味調味料が欲しかったから……作りましたとも、えぇ。


 醤油に関しては、前にも言いましたが心和の知識を用いても詳しい作り方はわからなかったので、試行錯誤した結果出来上がった代物です。

 心和の知識はお茶に特化していますからねぇ……こういう調味料系も、アイアンフィストに全力疾走する某農業系アイドルの番組で取り上げられていた話を見てたくらいの知識でした。

 なので、正確にはなんちゃって醤油ですね。味に些細な違いはあるかもしれませんが、原料は一緒なのでまぁ問題ないでしょう。

 あと、出汁に使いたかったので、海藻類も無理矢理生やしてみました。昆布とかわかめを乾燥させてあります。いや~、水の中とはいえ植物ですからね。少々魔力の質が違くて戸惑いましたが、なんとかなるものです。


 さて、調味料はこれでよし。後は、材料ですね。

 ん~……日本食をイメージしていましたので、山の幸がふんだんにございますねぇ。

 あとは定番のコカトリス肉に、コカトリス卵。

 うん、やはりあれしかないですね。


「ノーデさん、お米が炊けるまでの間、お手伝いお願いしますね~」


「はい!」


 流石は家事万能騎士。見事な手際でお米を研ぎ、研ぎ汁も捨てずに取っています。

 研ぎ汁は大事な養分ですからね。後でおいしくいただきますとも。

 後はゴンさん印の消えない火種から火を貰い、竈に点火。釜を火にかけて炊いていくだけですね。

 その間に、私たちはメインを準備していきましょう。


 まずは昆布を水で戻して、出汁を取っていきます。少しだけ魔力を流して、味が染み出すのを早くしておきましょう。

 そして、コカトリスのモモ肉をいい感じのぶつ切りにしていきます。ついでに、山の幸に入ってた野生の玉ねぎもザクザク切っちゃいましょう。

 ピット国でも栽培されていましたが、これはオニオっていう植物ですね。まぁわかりやすく玉ねぎですが、種を撒く時期になると立ち上がってフィアンセを探し出すのが特徴です。野生のオニオは好戦的なので少々注意ですね。

 

 さてこの時、皮はちゃんと剥いでおきましょう。本当は切らずともいいんですが、皮があるだけでオカズが一品増えますからね。

 ノーデさんに頼んで、パリパリ焼きにしてもらいましょう。これでメインと副菜です。

 ぶつ切りにしたモモ肉は、この段階でいったん煮込みに入ります。

 が、さすがにまだ出汁は出ていないので、その間に汁物の準備。後ろの方で煮えていた鍋に向かいます。


 これは、コカトリスの骨や根菜の類、その他の旨味を含んだ植物なんかを一緒くたに煮込んだ、鶏がらスープです。

 まぁ、出汁系に代わる旨味の元として調味料にしようとも考えたのですが……今回はこれを汁物にしちゃいましょう。

 鶏がらスープを別の鍋に少し移し替え、後はまた煮込んでおきまして~。

 こっちの移し替えた方に味付けして、スープ作っちゃいます。

 本当なら味噌作って味噌汁を用意するつもりだったんですけど、大量にコカトリスの骨が余ってたんですよね。捨てるのも勿体ないですし、味噌は鶏がらスープが消費し終わってからですとも。


 移し替えたスープは、別の火にかけて煮立たせすぎないように温めつつ~、そこに下味として塩と砂糖、醤油を少々。

 後は森の幸をざく切りにしていきます。根菜は最初に乱切りにして、投入~。その後、葉物の野菜類~。

 自生野菜の鶏がら風味スープって感じですかね~。根菜に味が染みるまで煮込んで行きましょう。


 そうこうしている内に……うん、魔力で染み出しを促進していたから、昆布出汁もできあがっていますね。

 スープにも少しこの出汁を足して、後はメインに使いましょう。

 この出汁を使って、コカトリス肉とオニオを煮込んでいきますよ~。火をここで通しておけば、後々鶏肉以外の食材に注視できるので。


「ノーデさん、パリパリ焼きはどんな感じです~?」


「は、既に人数分は出来上がっております故、残りは守護者様のお代わり用を作ってございます!」


「おけおけ~。いいタイミングでできそうですね~」


 ご飯も~……まだ少しかかりそうですかね。

 出来上がった後も蓋は開けちゃだめだから、ご飯の仕上がりに完成をあわせないとだめですね~。初めちょろちょろ中パッパ、赤子泣いても蓋取るなってね。

 ん~、スープもご飯ができる頃には味が染みるですかね。他にやること……うん、卵準備しときますか。

 といっても、割ってかき混ぜるだけなんですけどね~。あ、カラザとっとこ。あの卵についてる白い筋みたいなやつ。日本食ってあれ取んないと見栄え悪いとか言われたりしますしね。


 それにしても、流石は元毒まみれのコカトリス。卵も腐食に強く、毒抜きさえすれば何か月経とうと新鮮な状態です。

 これほどまでに保存に長けた存在って、他にいないんじゃないですかね。まぁ毒を抜けれればの話ですけど。


「ココナ様、もういい感じですよ!」


「え、そうですか? カラザ取るのって時間忘れますね~」


「からざ?」


「いえいえこちらの話~」


 よしよし、鶏肉もいい感じですし、ここはラストスパート決めましょう!

 今回はゴンさん対策に、大きめの平鍋をご用意! これに鶏肉と出汁、塩に……そして卵を投入!

 あとは緑が欲しいので青葉なんぞを足していき、軽く煮込んでいきます。

 目安は卵がとろとろの半熟のタイミング! 金色の輝きとはまさにこのことですねっ。


「ノーデさん、ご飯!」


「はい!」


「「どーん!」」


 全員分用意したどんぶりに、この卵肉を乗せれば~……。


「完っ成っですっ! 【コカトリスの親子丼】!」


「ありがとうございます!」


 あんまり新鮮じゃないご飯は、丼もので味を誤魔化すに限ります!

 ならばこれ、親子丼なんていかがでしょう?

 野菜スープとパリパリ焼きも加えて、三品のご提供です!

 お代わり分もありますし、2人は喜んでくれるでしょうか……?

 

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