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ドライアドさんのお茶ポーション  作者: べべ
第二章:「ドライアドさんとショタにポーション」
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第26話:帰省

どもどもべべでございます!

これにてピット国編は終了! 次からは、一話完結の短編をちょこちょこ上げていきましょうかね~。

というわけでご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~

 

 あれから。

 私達は、魔力の籠もったヤテンが茶葉として加工されても効果を発揮するかを確認したりしていました。

 茶葉の加工にはかなりの時間を必要とします。それ故に、結構な期間を滞在する事になりました。

 その間、森の管理は大丈夫だったかって?

 ご安心ください、何も考えずに滞在する私ではありませんよ! こんな事もあろうかと、しっかりと対策は練っておりましたとも。


 なんとですねぇ、今回魔力を籠めていたあのご近樹と、私の寝床である世間樹。あの二本をチャチャッと繋げてみたんです。どっちにも私の魔力が練り込まれてるんだから、上手くいくかなぁって思って。

 そしたら狙い通り! ちょっとしたワープ感覚で行き来できるようになりました~。ちょちょいと戻って森の様子を見て、また戻ってお茶の勉強って感じで事なきをえましたとも。


 んふふ、これならいつでもピット国にお使いにくることができますね。

 まぁ、ゴンさん達は相変わらず微妙な顔してましたけどね~。今回に関しては、私もどうかと思います。

 あの距離を、寝床に転がったままリモコン取る感覚で行き来できちゃうんですもんねぇ。申し訳ないと思いますが、自重はしない今日このごろ。

 いつの日か、仲良くなった国全部にご近樹生やして、実家から簡単に世界旅行できるようになったらいいな~なんて考えていますとも。


 まぁそれはそれとして、重要なのはヤテン茶です。

 結論からいいますと~……魔力の籠もり具合に関しては、微妙な感じですね。

 最初はイキイキしてるんですけども、加工の段階でやはり魔力が抜け出て行くみたいで、茶葉になった時には私が1から作った時の10分の1くらいしか効果が無かったです。私が作る時は最初から最後まで魔力漬けのままコネコネしますから、そこんとこの違いが如実に現れた感じですかねぇ。

 でも、えっちゃんが少しずつ貯め込む分には丁度いい量みたいですし、結果としては万々歳だと言えるでしょう。デノンさんもお茶で傷や魔力が回復するのがそもそもオカシイとか言ってましたしね。


 それにですねぇ……ヤテン茶としては、非常に出来が良くなっていたんですよ! 魔力のコーティングが茶葉の保存に大変効果的らしく、風味も増して色持ちも良くなっていたんです! 時間と手間暇をかけて作られたお茶に、魔力コーティングを施す事で更に品質を向上させる事が可能……やはり大切なのは時間をかけて育てることなのですね。

 うんうん、むしろ回復効果なんぞより、こっちの方が重要だと断言できますねぇ。

 お茶の質も向上した。えっちゃんも助かる。いつでも行き来できるから、美味しいヤテン茶がすぐに飲めるようになった。

 私達がピット国に来た結果としては、実入り充分ですとも!


「――――と、言うわけで帰りましょうか。ゴンさん!」


『そうだな。これ以上我らがこの国に居座る理由はない』


 目的を達したならば、後は麗しのわが家へ帰省するのみ。お土産を色々といただきつつ、私たちはピット国裏門へと足を運んでおりました。

 見送りは、デノンさんとノーデさんを筆頭に、主にお茶関係でお世話になった職人さん達です。

 えっちゃんも保育園のみんなを連れてきてくれています。魔力ヤテン茶を飲むようになったからか、お肌が前にも増してツヤツヤです。


「え~、では……ようやく帰ってくれるという事で……」


「あれぇ!? なんかホッとされてます!?」


「返せねぇくらいの恩を貰ったのは理解してるけどな? 国を運営しながら、何をやらかすかわからない天然娘のお守りを任された身にもなってもらおうか?」


「え、デノンさんって姪っ子さんとかいたんですか? 保育園に任せればよかったのに~」


「「「…………」」」


 え、なんですかこの空気。

 なんで誰もがため息をこらえる様な表情を浮かべているのですか?

 えっちゃんとノーデさんしか笑顔の人がいないのですがー!


『……時にチビ王よ。国の今後は、前に話した通りだろうな』


 私の困惑はどこ吹く風で、ゴンさんがデノンさんに語りかけてきます。

 なんか大人で難しい話をしていた時があったですけど、その時の話ですかね?


「あぁ、ヤテンの畑をもう1区画作って、そこで魔力の籠ってないヤテンを育てるつもりですよっと。それまではなんとか各国を誤魔化しますさ」


『うむ、頼んだぞ』


 へぇ、ヤテン増やすんですねぇ。

 それは素晴らしい計画です。色々品種とか増やすのかな?


『……この通り、こやつは何もわかっとらんからな。貴様の手腕を信用するぞ』


「わかってますよ……はぁ、仕方ない事とはいえ、面倒ごとになんなきゃいいんですけどねぇ」


「よくわかんないですけど、何かあったらいつでも頼ってくださいね! 森の管理者として、森と共に生きる貴方たちとは仲良くやっていきたいのです!」


「は、はは……うん、まぁ、そうですねぇ。何かあったらよろしくお願いしますよ」


「ココナ様に助けていただけるならば、我が国も安泰というものですね! 本当にありがたい事です!」


 デノンさんと疲れた笑顔と、ノーデさんのさわやかな笑顔。この二人はホント、いろいろ違ってて良い主従ですねぇ。

 2人と握手を交わし、今度はえっちゃんに向き直ります。


「えっちゃん、今度からはむやみに自分の身を削っちゃいけませんよ?」


「そうねぇ、あの子達にも予想以上に心配かけちゃったみたいだし、少し反省するわ?」


 そこまで言った後、えっちゃんは唇を舌で湿らせつつ、妖艶な笑みを浮かべます。なんかえっちです。


「でもぉ、貴女の魔力のおかげで力は少しずつ回復するし、無茶にならない範囲ならいいわよね?」


「ま~あのご近樹なら向こう50年くらいは大丈夫なんじゃないですかね?」


「お二人さん、そういう話しは監督役がいない所でしような? ……精霊様は後で説教な」


「いやん!」


 あらら。けどまぁ、前みたいな無茶はしないでしょうから大丈夫でしょ~。

 今後はヤテン茶で取り戻した魔力を使って、この国をさらに良くしてくれることでしょうね~。


「あ、そうそうココナちゃん?」


「はい?」


 えっちゃんは、私に少しだけ近づくと、唇を耳元に近づけてひっそりと話し始めます。


「今後も皆には、森に対して信仰を向けるように促していくから安心してね?」


「え? ……あ~、はい? わかりました?」


「うん、わかってなくて逆に安心したわ? ……あのね、信仰は想いの力をエネルギーに変換できるの。わかりやすく言うなら、魔力にだって変えられるんだから」


 へぇ、そうなんですねぇ。

 でも、それなら最初からえっちゃん自身に信仰を向けてもらっていたら、こんな事にはならなかったんじゃ……?


「うぅん、それを言われるとそうなんだけどぉ……色々と事情があってねぇ」


『おい、いつまで喋っている。さっさと行くぞ』


 あやや、ゴンさんが痺れを切らしてしまいました。


「すみません、そのお話はまた今度で~」


「……いいのよぉ、またいつでもいらっしゃい?」


 うんうん、文字通りいつでも来れますからね!

 次は御茶しながらゆっくり聞きますかね~。


『……余計な事を吹き込むでないわ』 


「あらやだ、怖いわぁ盗み聞きなんてっ」


 ん~? 仲いいですね~。


「それでは皆さん! 本当にお世話になりました~!」


「あ~、おう。またな」


「本当にありがとうねぇ?」


 私が手を振ると、みんなが笑って送り出してくれます。

 子どもたちも、「ばいばーい!」と手を振りながら大合唱です。

 うんうん、温かい国ですねぇ。私、ピット国が大好きになりました。

 今後もいっぱいお世話になりましょうっと!


「ではゴンさん、帰りましょう!」


『うむ』


「はい! ココナ様!」


「いざ、しゅっぱーつ!」


 …………ん~?


「あれぇ? ……ノーデさん?」


「はい?」


「なんで付いてくるのん?」


「私もココナ様にご同行するからですが?」


 えぇ~? そうなんです?

 私、割と初耳なのですが~。


「守護者様? お伝えになっておられないので?」


『……我が許可したから、心配するな』


「言い忘れていましたね?」


『くどいぞチビ助。そもそも我の決定だぞ。言わずとも文句は言わせん』


 いや、別にいいんですよ? ノーデさんが来てくれると色々にぎやかで楽しいので。

 でも、お国は大丈夫なのかなぁって~。


「あ~……ココナ。俺が守護者様に頼んだんだよ。ノーデを付けてくれって」


「デノンさんが? 大丈夫なんです?」


「まぁ、その方が俺らも安心なんだよ。連絡はいつでも取り合えるようにしといたからよ、連れてっちゃくれねぇか?」


 ふむん。

 断る理由は、一切ありませんねぇ。


「では、お言葉に甘えて~。ノーデさん、これからよろしくお願いします!」


「ありがとう存じますココナ様! このノーデ、粉骨砕身で励ましていただきます!」


『ふん、言ったであろう。ちんくしゃならば二つ返事だ』


 いや、そんなに気張ることでもないんですけどね? 管理者家業もそんなにつらくないですし~。

 あとゴンさん、言い忘れはダメですからね?


『……わかったから、そんな目で見るな』


「んふふ、よろしい」


『ふんっ』


 さて! それでは色々改めまして~!


「帰りましょうか! 森に~」


『貴様は何度か帰っておるだろうが』


「ゴンさんと帰るからいいんじゃないですかぁ~」


『言っておれ』


「……お似合いですねぇ」


 こうして。

 私たちはピット国の人たちと仲良くなり、ヤテン茶という素晴らしい特産をいつでも飲めるパイプを繋げることに成功したのでありました!

 ノーデさんという頼れる人材までついてきてくれることになりましたし、この二点以上に重要なことなんてありません。

 裏門を抜けると、いつもの涼やかな森の空気が私たちを包んでくれます。

 うんうん、観光でリフレッシュしましたし、森の管理も頑張りましょう!

 まさに天気明朗意気揚てんきめいろういきようよう々。私たちは三人で世間樹を目指し、歩き出したのでありました。

 

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