表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドライアドさんのお茶ポーション  作者: べべ
第二章:「ドライアドさんとショタにポーション」
21/126

第19話:(可愛い(重要))

どもどもべべでございます!

年内での投稿はこれが最後かな~?

どうもお世話になりました! 来年もよろしくおねがいします!

と言うわけでご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~

 

 あれから何度かカミカミされて、ようやくゴンさんが開放してくれました。

 噛み痕から樹液的ななにがしが出てきて周囲をちょうちょが飛んでいますが、まぁ気にしないでいきましょう!

 本題は、目の前にいらっしゃる王様とのご挨拶なのですから!


「あ~……もう良いのか?」


「はいっ、お騒がせしました!」


「フンッ」


「はぁ……ノーデから報告が来たときには肝が冷えたんだがなぁ。なんか緊張が削がれちまった」


 王様は頭をガシガシとかきながらため息を1つつき、椅子からぴょんっと飛び降ります(可愛い(重要))。

 そしてそのまま私達の前に立ち、ゆっくりと片膝を床に付きました。


「改めて、お初にお目にかかります。ピット国で国王なんぞやらされてる、デノンと申します。お見知りおきを」


「あわわわっ、そんな王様が頭下げないでくださいよぉっ! あ、あ、光中心和です! こっちがゴンさんですっ」


『べアルゴンだ。貴様の付けたあだ名を広めるでないちんくしゃ』


「ゴンさんだってちんくしゃ呼びを改めないじゃないですか~っ」


 私達が変なコントしてる間も、王様……デノンさんは立ってくれません。

 でも、その顔には微妙に呆れが混ざってるの、お姉さん見逃していませんよ? まぁ当然でしょうけど~。


「……長いことうちの国を守ってくれてる森を、管理・守護してくれてる二人には、形上とはいえ国王である俺の口から国民全員の総意として感謝を送らせて欲しい……んだが?」


『ふんっ、受け取ってやらんでもない。我としては貴様らの為にしていたことではないが故、その感謝は見当違いと言いたいところだがな』


「も~ゴンさん? そんな事言わずに、素直にお礼を受け取ればいいんですよ~。あ、ちなみに私はまだまだ日が浅いのでそんなにお礼を言われるような立場では~」


「いや、アンタ……失礼、貴女にはうちのノーデを救って貰ったって恩もある。感謝させて欲しい」


 おぉ、王様に報告しにいったあの兵士さんは、そこまでお話しを聞いて報告していたんですね。ノーデさんも、本当に大事な事は一人にちゃんと伝えていたみたいです。

 あの会話の中でここまで情報のやり取りができていたんですねぇ。この国の「ホウ・レン・ソウ」はしっかりしているご様子。大変ポイント高いです。

 では、せっかくなのでその感謝はいただいておきましょうかね……うぇへへへ、なんだかくすぐったいです。


「さて……本当なら、うちのもんが厄介になった件でいろいろと礼をしたい所なんだが……その前に、聞くことを聞いてもいいですかね?」


「はい? なんでしょう。あとタメ口で良いですよ? 無理してるでしょ」


「そういう訳にもいかんでしょう……そこな守護者様にタメ口なんぞつこうもんなら、さっきのおたくみたいになるのは目に見えてますよ」


『察しが良い者は嫌いではない。そして擦り寄りよりも本題を優先する度量も良いぞチビ王』


「そりゃどうも……お墨付きを貰ったところで、聞かせていただきますよ」


 デノンさんはようやく立ち上がり、椅子にぴょんっと座り直します(可愛い(重要))。

 周囲に漂うのは、若干の緊張。ノーデさんも玉座の横に移り、王を守る騎士としての立ち位置に返り咲きました。

 王らしく振る舞う感じなのでしょうか。デノンさんは半分眠そうな瞳をやや鋭くし、私達を見定めるように見つめつつ、小さな唇を開き……質問を投げかけます。


「貴方がたが、この国に来た理由を伺いたい。観光や物見遊山じゃないのは明らかですからねぇ」


「……ノーデさん、伝令さんにそこはお伝えしなかったのですか?」


「えぇ、一番に信頼できる部下に言付けを頼み、ココナ様や守護者様の身の上だけはお話しいたしました。私がどのような恩恵を受けたかも。……ただ、本題につきましては無用な混乱を避けるべく、伝えておりませんでした」


 賢明な判断、ってやつなんですかね?

 私にはよくわかりませんが、守護者がきたーって広まったほうが混乱凄そうな気がします。その辺は私の使い魔がどうたら~って話で流れてたみたいですけど。

 でも、信頼してる部下って言うならバラしたりはしないんでしょうね~。そんな人にもこの国の危機をお伝えしてないって事は……無用な混乱を避けたっていうより、その人の心労を憂いたって線が濃厚そうです。

 でしたらば、そんなお優しいノーデさんにあれこれ詮索するのはやめておきましょうかね。私の口からお伝えいたしましょ。



「え~、では、僭越ながらワタクシ心和がお話しさせていただきますね?」


「ん、よろしくお願いしますよ」


「まずですね、ノーデさんからお土産のお茶を貰ったんですよ」


「えぇ」


「そのお茶……うん、凄く美味しかったです! 歴代の知識と経験が詰まった味で、その中に香るヤテンの風味がなんとも言えない清涼感と甘みを感じさせてくれて!」


「あぁうん、職人たちにつたえときますよ。きっと喜ぶ」


「あぁでも、せっかく綺麗な色なんですからもう少しそこをこだわったほうが良いかもしれません。あの赤とピンクな色は自然には中々出せない芸術性を感じさせてくれました! そこをもっと押していけば目でも舌でも鼻でも楽しめる最高のお茶になるはずです!」


「アドバイス痛み入りますよ。だからそろそろ本題を……」


「まだ他にも茶葉はあるんですかね? 薬草とかがいっぱい栽培してあるんですよね? 楽しみというかホント今すぐ飲みた――――」


 ガブッ


「ほわぁぁぁぁあ!? 頭から樹液がぁぁぁぁあ!?」


『本題をっ! 述べよと! 言っとるのだ! ちんくしゃ!』


 し、しまったぁ! お茶トークに意識が持ってかれてしまいました!

 デノンさんがドン引きしているのがわかります。ノーデさんと「あれいつもあぁなの?」「はい♪」って会話してるのが聞こえてきます!

 でもそれ以上に私の頭頂部から後頭部にかけての痛みが視界を『Warning!』に染め上げるぅぅ!

 あ、でもなんかこれ癖になりそ……。


『邪念を察知!』


「あっ! なんてタイミングで離すんです!? せっかく新しい扉が開きかけていたのに!」


『これ以上貴様に変な属性が盛られたらたまらんのだ! いいからさっさと報告をせんか!』


 く、くそう、くそう……わかりましたよ! お伝えいたしますよ!

 ……帰ったらちょっと噛んでもらおっと。


「え~、では改めて、ご報告いたしますね?」





    ◆  ◆  ◆





「……と、言うわけです」


 時間にして十分ほどで、報告は終了しました。

 ヤテン茶が教えてくれた、【外敵】の存在。王都の土に忍び寄る、崩壊の危機。

 このままでは、ピット国の農作物が全てダメになるかもしれないという警鐘。

 それが王都となれば、即ち国の崩壊を意味します。だから、私達が国に赴いたのだと。


「ふぅむ……」


 デノンさんも腕を組んで考え込んでいます。

 その顔は先程よりも凛々しく、しかし不安を隠し持っている感じで……あれです。肝試しで好きな子とペアになって、自分も怖いのにそいつを守らなきゃって燃えてる感じのあれに近い表情をしています。


「お二人がこの国に来た理由は理解した。……そして多分、それは嘘じゃないんだろう」


「信じてくれるんですね!?」


「そりゃお前……失礼。なんつうか、嘘をつく必要がまったくないですからね」


「そうなんですか?」


『当たり前であろう。この国をいいように操りたいと考えて赴いたのであれば、騙すのではなく我が直接出れば良いだけの話なのだからな』


 あ~、なるほど。

 最終兵器を持参して来て、わざわざミミッちく詐欺行為を行う者はいないってことですね~。


「まぁ、そういうことです。……ですが、それだと1つ解せんことがあるんですわ」


「そうですね……私も、最初このお話しを聞いた時にはありえないと思いました。ですが、ココナ様は上位のドライアド……土や植物に関しては人智を超えた理解がございます。それ故、王に直接お伝えせねばと……」


 デノンさんの言葉に、ノーデさんも乗っかってお悩み中。

 はて、いったい何がげせないのでしょう?

 教えてくれなくちゃコチラとしても打つ手がありません。ヤテン茶を守るためにも、何とか出来るのであればしたいのです。


「いやまぁ、秘密にしてるわけじゃないんでお教えしますよ」


 私の様子に気づいたのか、デノンさんは苦笑しながら腕組みを解除しました。


「この国の土壌はですね、昔っから、【精霊】によって守護されてるんですわ」


「精霊、ですか」


「はい。それも、上位の精霊様です!」


 精霊。

 私達妖精と対をなす、自然を司る存在。

 妖精が自然を【管理】する者だとするならば、精霊は自然を【育む】者だと言えるでしょう。

 似ているように思えますが、そのあり方は大きく違いまして……私達妖精は、管理した区画から魔力を抽出して自国に送る、言わば働き蜂みたいな感じなのですね?

 対して精霊は、ただそこに有るために自然を育むのです。下位の精霊ならば、本当に水とか土に溶け込んでますしね。

 そんな精霊……しかも上位の精霊が、この国にいるときましたか。


「だから、不思議だったんですよ。この国の、しかも土壌が危機に晒されてるっていう事実が」


「なるほど……」


『…………』


 ん? それって……


「……精霊の守りを抜けて被害が出てるって……事ですか?」


「……そういう事になるんです」


「やばくないですか?」


「だから、信じたくないんですよ……」


 頭をがしがしとかいた後、デノンさんはぴょんっと椅子から飛び降ります(可愛い(重要))。


「ノーデ! 俺は今から精霊様のほこらに行く! 良いな?」


「ハッ! 私は騎士団を動かし住民に不安を感じさせぬよう努めましょう」


「頼んだぞ」


 簡単なやり取り。だけど以心伝心。

 見ていてとっても爽やかなお二人です。


「ココナ様、守護者様」


「心和でいいですよ~」


「あ~……」


『構わぬ』


「……わかった。じゃあココナ」


「はいっ」


 何と言いたいかはわかりますとも!

 ゴンさんと二人で準備は万端です!


「今から、精霊様に会いに行く。ついてきてくれないか?」


「おまかせくださいよぉ~!」


 さぁ、ピット国を救いましょう!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ