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ドライアドさんのお茶ポーション  作者: べべ
第二章:「ドライアドさんとショタにポーション」
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第8話:プロジェクト:S(植林)

どもどもべべでございます!

次の日曜は福岡でTRPG~、楽しみだ~!

というわけでご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~

 

 ……これは……。

 ……傷ついた森に、新しい命を吹き込む為に……。

 ……奔走した……一匹の、ドライアドの……物語である……。



 プロジェクト:S  S  s  s…………!(エコー)



 はい、まぁそんなネタは遥か彼方に砲丸投げの要領で遠投しつつですね、進めていきましょう!

 今回私が足を運んだのはここ、世間樹から西に進んだエリアです。

 前にゴンさんが言ってたんですが、ここも結構手痛いダメージをうけている場所なんですよね……今は深刻な状況ではないらしいので、今まで置いときましたが。


 なんでも、森にとって最悪の存在……疫病に悩まされた区画だというのです。

 疫病は、樹の一本でも感染すると、そこからズルズルと広がっていく悪魔的存在。森を満遍なく食いつぶすことすら起こりうる、まさに災厄です。

 ゴンさんいわく、もう心配はないとのことでしたが……おっと、見えてきましたね。


「……うぅん……なるほどぉ」


 そこにあったのは、まさに凄惨の一言でした。

 まず、1区画を丸々と覆うように展開された結界。これは、ゴンさんの張ったもので間違いないでしょう。

 そして、結界の中でパチパチと燃える、青色の炎。

 炎の向こうは完全に漆黒の土壌とかしています。全てが炭になり、まさにこの世の地獄といった感じです。

 青い炎はまるで生きているかのように蠢き、地面に生えた状態のまま木炭と化している木々を撫で続けています。結界内は無酸素状態なのでしょうが、ゴンさんの炎は酸素とかそういうの関係無しに燃え続けるのでこのような有様なのでしょう……。


「確かに、疫病を完全に死滅させるには有効なんでしょうが……これ、私が来なかったらどうするつもりだったんでしょう……?」


 明らかに疫病オーバーキル過ぎて、不憫ですらあるんですけど……いや、疫病は敵だからやっぱ無しです。

 それにしたって、この状況のままでは植物すら育たないんですよねぇ……。

 例えるならあれです。もう治ってるのに傷口に絆創膏貼り続けてるのと一緒ですよ。


「仕方ありません。これは本気でいくしかないですねっ」


 ひとまずは、結界と炎の排除。そして土壌の安定化と木炭の除去。安定したら植林って感じですかね?

 ふふふ、やってやろうではないですか。

 見ていなさいゴンさん。貴方の特訓の成果、見せて差し上げます!

 こんな結界や炎、恐るるに足らないってことを証明してあげますとも――――!!



 プロジェクト:S  s  ェェス………!(CMカットエコー)




    ◆  ◆  ◆




『で、結界の解除すら出来ずに、こうして我に土下座しに来たと』


「どうかあの結界と炎を消していただけませんでしょ~ぅか!」


 なんなんですかあれ! なんなんですかあれ!

 ハッキングみたいに魔力流して消そうとしても、のらりくらりと鍵穴が逃げていく感覚しかありませんでしたよ!

 鍵穴を魔力で全方位して抑え込もうとしても、ファイアウォールに弾かれましたし!

 あんな結界消せるわけありませんって!?


『修行が足らんわちんくしゃ。貴様の魔力量ならば本来、あっさりと消せるはずの結界ぞあれは』


「えぇぇぇ……そう言われましても……」


『大方、我の構築した妨害術式に翻弄されたのだろう? つまるところ、その妨害を突破できる程の魔力操作が出来ておらんということだ』


「おぅふ……!」


『あの結界は課題として残しておく事とする。今の貴様は宝の持ち腐れの最たる線を行っておるからな。もっと老獪さを身に付け、突破できるよう励むがいい』


 見事に言い当てられてしまいました……うぅ、情けないやら悔しいやら……。

 ですが、これもゴンさんからの授業と思えば嬉しい宿題です。あの結界を突破できれば、ゴンさんに認められるくらいの魔力操作ができるようになった証拠ですからね!

 特訓に特訓を重ねて、いつか絶対プロジェクト:Sを完遂させてやりますとも!


「……ですが、それはそれとして炎は消しておきません? あのまま燃え続けても地面が死んじゃいますって」


『ふむ……』


 いやまぁ、日本では野焼のやきなんていうやり方で自然環境を調節する手段もあるみたいですけども……あれはですね、野焼きじゃなくて野滅のめっしなんですよねぇ。


『よかろう、炎は消しといてやる。貴様の見立てでも疫病はもうあの中におらんのだな?』


「はいっ。周囲にも感染した植物はいませんでしたっ!」


『ならば問題ないな。正直、どのタイミングで消せば良いか決めあぐねていたからな』


 あぁ、そういう……まぁ、ゴンさんが疫病の樹を見つけられたこと自体が奇跡みたいなもんでしょうしねぇ。植物の健康診断とかできないですし。

 これによって、あの区画は私の修行のための場所……みたいな感じになるわけですかぁ。

 うぅん……少し予定と違いますねぇ。あそこにはお茶の苗を植えるための畑になっていただく予定だったのですが……。


 最初から開けていて、少し整地すれば使えそうな場所だと思っていたので、意気揚々とプロジェクト:S発動しちゃいましたよ。

 実際のところは、地面に生えた巨大木炭をどうにかしないといけない場所でしたし……うまくいきませんねぇ、人生って。


『炎は消しておいてやる。故に、課題を疾く済ませよちんくしゃ』


「うぅ、わかりましたよぅ……ゴンさんは厳しすぎます……」


『貴様が管理者として一人前にならねば、我が安心できんからな。当然よ』


 くそぅ、ゴンさんだってお茶は飲みたいでしょうに。こういう所妥協しませんねこの人。

 私、もう頭から生やした茶葉じゃなくて、次のステップに進みたいんですけど!

 楽しい楽しいお茶っ葉栽培したいんですけどぉ!


『邪念が漏れ出ておるぞうつけ。そのような状態で我の結界を破ろうなど片腹大激痛と知れ!』


「むぅ~! ぜ~ったいさっさと消し去って私の畑を作ってあげるんですからね! 覚えておくことですね!」


『ふははは! 一から茶葉を作るという点は応援してやろう! だがそれはそれ、これはこれよ!』


 発令したプロジェクト:S! しかし、その進行を阻むのが、まさか味方であるゴンさんだったとは!

 困惑するスタッフ(1人)! 絶望するディレクター(1人)! はたしてプロジェクト:Sは無事に完遂できるのか!?

 今ここに、メンバー(1人)と地主との壮大な大一番が幕を開けたのであった――――!



 プロジェクト:S  s  ェェス……!(使い回しエコー)



「……ちなみに、今日はコカトリスのチキン南蛮の予定なんですけど、腹いせにちょっと減らしちゃったりしても……」


『何が望みだ? 結界の開放か? それもやむなしか……』


「ちょぉ! あっさりシすぎぃ!? もうちょっと手順を大事にしましょう! 消さなくていいですからー!」


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