知ってしまった前世
僕が質問したらアリエル様が、やっぱり会いにきてたんだ。 なんて口にしている。
そして—————————
「あなたはね、隣にいるアラスカの父親、セッターの魂が輪廻転生した姿なのよ」
驚くなんてもんじゃない。 まさか僕の前世が、あれだけ憧れていた伝説の英雄、史上最強と言われたセッターだったなんて。
隣にいるアラスカさんを見ると、知らなかったようで驚いた顔を浮かべつつも、なんだか納得がいったような顔で頷いている。
「それで7つ星の剣が騒いだのか……」
「安心していいわよアラスカ、魂という器が同じだけだから貴女の父親ではないわ。 もっとも、7つ星の剣には関係ないようだけれどね」
もしかしたらそのおかげで僕は『気』が扱えたりするんだろうか? それを聞いてみたら、アラスカさんの時と同じく魂という器が同じだからと言って能力なんかは無関係らしい。
それでアリエル様の登場でだいぶ話がそれたけど、今回のダークゾーンの先にいる魔物に正体を教えてくれる。 のだけど、聞かなきゃよかった……
あの魔物の大元は創造神様が作り出した魔物なんだけど、想像した頃のものとは全くの別物に育ってしまっているんだとか。
それをアリエル様が、エイリアンとか呼んでいる。
「エイリアン? あの魔物はそういう名前なんですか?」
「ああ、ゴメンね。 それは映画の話で、ってこれも言ってもわからないわね。 あいつはゼノモーフという奴で、完全なる生命体って言われている奴と類似しているから、ゼノモーフと呼ぶわ……」
さっきからアリエル様の言っている事がさっぱりわからないんですが……
つまりあのゼノモーフという奴が地上に溢れ出ると、人種どころか生き物全てに危険が及ぶ存在という事を教えてくれる。
「まさかそれを退治しろ、とは言わないですよね? アリエル」
「それは安心して。 私の旦那さんが殲滅しに向かうから」
「マスターが来るんですか!?」
ガタッと席を立ちあがってアラスカさんが興奮気味に声を上げている。
それも驚いたけど、それ以上にあのゼノモーフを殲滅なんて聞いて驚いた。
「あいつらを殲滅だなんて一体何者なんですか、そのマスターっていう人は」
アリエル様が、改めて名前を教えてくれる。 創造神様の執行者で世界の守護者のサハラ様という人らしい。
——————————サハラ?
「マスター?」
「ん? あれ? もしかしたら前世の記憶が戻っちゃったのかしら?」
「いえ、なんとなくその名前の人をそう呼んでいたような気がしただけです」
アリエル様が、僕が僕で居たいのならそれ以上考えない方がいいって言ってくる。
そういえば確か以前アレスさんにも同じような事を言われた気がする……
それで僕たちは今日はゆっくりして、明日リセスドさんたちと交代になる。 おそらくハサンさんはあそこから出れてないはずだろうという事らしい。
「それと貴女、キャロンだったかな? 貴女にはしばらくここに残って様子を見させてもらうわ」
キャロは当然のように理由を訪ねると、僕が心配していたお腹の中にいるゼノモーフの女王のことだった。
ゼノモーフは酸にはめっぽう強いみたいらしくて消化される事がないため、今もキャロの中に存在している。 ただ気配は消えているから死んでいるはず……
キャロが僕を見てくる。 その目は嫌だと言ってるように見えた。
「貴女には拒否権はないの」
アリエル様がそれを見て一喝してきた。
「キャロ大丈夫だよ、しばらく様子を見るだけだから」
「うん……わかりました」
そういうわけで、話が決まったのを確認すると大統領がアリエル様に頭を下げていた。
そして今回のこの話はトップシークレットという事で、誰にも話さないように念を押された。
「マイセン、キャロンさんは私が責任もって見ているから、こっちは安心してお前の身を案じなさいね」
「はい、シスターテレサ!」
キャロにもしばらくの別れをしに行くと、耳元でそっと囁いてくる。
「アラスカさんと仲良くなったりしたら恨んでやるんだから」
「い! えぇぇぇぇ……」
ぶっすぅとした顔を向けられて、苦笑いをしながら一応わかったよって言っておく。
それではとアラスカさんが立ち上がって、僕に声をかけてきて応接間を出た。
次話更新は明日の予定ですが、本日中に出来ればもう1話更新したいと思っています。




