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大統領府にて

 すごく広い応接間に通された僕たちは、その広さと豪華さに驚かされる。 奴隷の女の子なんかは身分から入ろうとすらしなかった。



「君も関係者なんだから入って」


 でも僕の一言であっさり入ってきて、席に座るんだけど、僕の後ろに控えるようにたったままいる。



「君も座ろう?」

「私は奴隷ですので」

「じゃあ命令で……」

「はい」


 つ、疲れる……


 僕の隣に座り、先に反対側の隣にアラスカさんが座ったため、キャロが1つ離れてしまう。 キャロが奴隷の女の子に変わるように要求したけど、主様の側に奴隷はいなくてはいけないのでと断られてしまった。


 その様子を苦笑いを浮かべながら見ていた僕に、アラスカさんが突いてくる。



「君だって奴隷ぐらい当然わかっているんだろう?」

「ええ、でも……」


 僕だってこの子と大差無い孤児院育ちだ。 そんな子を奴隷だからと奴隷扱いはできないし、したくない。

 そんな事を思ってるとアラスカさんが僕の事をじっと見つめていた。



「君は本当に優しいな」

「い、いえ! 全部シスターテレサからそう躾けられてきただけですから!」


 慌てて否定してみせる。



「マイセン、お前のその優しさはお前の元々からのものだよ。 ただね、お前の優しさは時に凶器になっている事を忘れるんじゃないよ」


 特に女性のね、と言われたけどよく意味がわからなくて首を傾げながら頷いて、アラスカさんを見るとウンウン頷いている。




 ちなみに今この部屋に入るには、シスターテレサにメーデイアさん、アラスカさん、僕とキャロと奴隷の女の子だけだ。

 リセスドさんとギルガメシュさんの姿はなかった。




 そこに1人の男性が入ってくる。

 この人こそ今この国の全てを任されている大統領で、これから僕たちに大事な話をしてくる。


 まずこの場にいないリセスドさんとギルガメシュさんだけど、2人は先にもう会って話を済ませてダークゾーンにまた向かってもらっているんだとか。

 もちろん理由は、あの魔物がダークゾーンを抜けてきた場合に備えてらしくて、なぜ2人きりなのかというとハサンさんが変装して紛れこむと危険だという理由かららしかった。

 なので2人を呼びに行くのもメーデイアさんと決めてあって、他の人だった場合は問答無用で攻撃していいことになっているんだそうだ。



「えっと、なんで封印をしないんですか?」


 この質問で帰ってきたのが、あそこを知っている人物がいる限り内側からは封印できても、外からまでは封印できないということだ。

 つまりあんな化け物を利用しようと考えている連中がいるらしかった。



「でもそれを防ぐためには全滅させるしかないんじゃないですか?」

「あるいわ知るものを殺すしかない」


 キャロの言葉にアラスカさんがもう一つの方法を上げた。



「でもおかしいですよね? メーデイアさんは入念に捜索隊は選んだはずだし、ハサンさんだって初めてあそこに向かったんだから、情報を知っているはずがないと思うんです」



 僕がそう言うとメーデイアさんが申し訳なさそうな顔を向けてくる。


 情報を精査したところ、あとでハサンさんとその仲間という人物が冒険者ギルドに登録されている人物とは別人だったそうだ。

 そしておそらく情報は先に入った兵士たちに紛れていた可能性があって、そこから情報は得ていた可能性があるということだった。



「つまりそれはララノア女王の不戦協定が破られるという事か?」

「そうだったわね、貴女はララノア女王とも面識があったのよね。 でも安心して、これは国絡みではないわ。 中央情報局(CIA)の報告で確認済みよ」

「となると、テロリストか?」



 なんだか僕にはだんだんついていけない話になってきた。

 結局僕がここに連れてこられた理由がよくわからない。




 そこへノックもなくドアを開けて1人の女性が入ってくる。

 癖っ毛のある赤毛でリボンで髪を束ねた女性だ。



「アラスカ久しぶりね? それと金竜(ゴールドドラゴン)も。 それで? あなたが噂のマイセンね?」


 突然入ってくるなり、大統領は無視するわ、アラスカさんを呼び捨てで呼ぶわで驚いていると、僕の事まで知っている。



「あなたは一体誰なんですか?」

「あたし? あたしは【自然均衡の神スネイヴィルス】の代行者アリエルよ」


 聞いた事がある。 人種では解決するのが困難と思われた時に現れると言われる神様の代理人。 それが代行者で、しかも人種の神々のトップに当たる【自然均衡の神スネイヴィルス】の代行者となると最高の代行者という事になる。


 僕がすぐに頭を下げて謝るとアリエル様が不思議そうな顔を向けてくる。



「やっぱり魂が同じだからと言っても中身は別人なのね」


 この人もまた、刀を授かったあの時僕とあった人と似たような事を言ってきた。



「失礼ですが、以前この刀を授かった時に出会った方にも魂の共って言われたんですが、アリエル様も僕の前世を知っているんですか?」


 この後アリエル様の口から驚くべく事実が告げられる事になるとは思ってもいなかった。




次話更新は明日の予定です。 もしかしたら今晩もう1話更新するかもしれません。



備考

ここで私の過去の作品に登場する人物が出てきていますが、今回はそこまで重要視しない作りにしているので、知らなければ気にしなくても問題はありません。

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