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裏切り者とタイムリミット

この章の最終話になります。

 来た道を走りながらダークゾーン目指して走っていく。 いつでも対処が出来るように僕の横を走るキャロの側にはガラシャさんがついていてくれた。


 大広間まで戻ってキャロがダークゾーンまでの道のりを教えながら順調に進んでいく。



「止まれ!」


 不意にアラスカさんがみんなを立ち止まらせた。



「やはり7つ星の騎士は面倒な存在だな」


 姿を見せたのはハサンさんで、何をアラスカさんがそんなに警戒しているのかと思った次の瞬間、突然悲鳴が聞こえる。


 悲鳴をあげたのはガラシャさんで、首元を抑えて苦しみだしたと思う間もなくその場に倒れてしまった。



「何を!」

「その女をこちらへよこしてもらう」


 僕が叫ぶのと同時にハサンさんがそう言ってくる。



「渡せば我が同胞が助けてやるぞ」


 そう言うとブロウガンを手にしたハサンさんの仲間が姿を見せてくる。



「なるほど、それが狙いだったか。 どこの手のものだ? 暗殺者(アサシン)


 メーデイアさんが尋ねた。



「そんな悠長にしていていいのか? アレが来るか、その女の胸が……」


 胸の辺りで握った拳を開いて見せてくる。

 それを見たキャロが怯えた顔を僕に向けてきた。



「っは! なら貴様らをさっさと殺して地上に戻ればいいだけよ。 俺の弓はすでに貴様らを捕捉(ロックオン)している。 逃げても無駄だぞ」

「好きにするがいい。 神官も盗賊(シーフ)もいない貴様らが、無事に帰れるのであればな」



 こうしている間もいつキャロの胸からチェストバスターが飛び出してくるかわからない。 そう思った瞬間、ギルガメシュさんが容赦なく2人に向かって弓を引いた。



「バカめ! 俺様も罠程度見抜けるわ!」


 ハサンさんの仲間が爆発する矢が命中して倒れて、ハサンさんは一瞬ブレて見えるような速さで移動して回避した……と同時にキャロ目掛けて向かってくる。



「させるかよっ!」


 フレイさんが近づくハサンさんに向かって剣を振った—————



「カハッ!」


 ドサッ……


 音を立てて倒れたのはフレイさんの方で、首の急所に的確に漆黒のダガーが突き立っていた。

 更にキャロに迫るハサンさんの前にアラスカさんが立ちふさがって、7つ星の剣が振るわれる。

 ここでもブレて見えるような速度で立ちふさがるアラスカさんに攻撃を仕掛けたけれど、予測(プレディクション)で相手の行動がわかるアラスカさんの相手ではなかったようだ。



「ぐぅ……」


 手首から先が切り落とされたハサンさんが唸り声をあげたかと思うと、アラスカさんとキャロを睨みつけて一目散に逃走していった……





「私たちも急ぐわよ! 息の続く限り走りなさい!」



 メーデイアさんが叫んでキャロにダークゾーンまでの道を急がせる。

 キャロがフェイスハガーにやられてもうかなり経っていて、いつ飛び出してきてもおかしくはない。


 残る仲間はメーデイアさんにアラスカさん、ギルガメシュさん、リセスドさん、奴隷の女の子に僕とキャロだけになってしまった。


 フレイさんとガラシャさん、シリクさん、テトラさんのドッグタグを回収してから、みんなの後を追いかける。 心の中で【死の神ルクリム】にフレイさん、ガラシャさんたちの事を祈りながら……





 ダークゾーンの前まで辿り着いたところで、ついに恐れていた事が起きてしまう。

 キャロが胸を押さえて苦しみだした……



「キャロ!!」

「ご、めんね……ダメだったみたい……っ!」

「ダメだ! 出てくるな! やめろ! やめてくれ!」


 しかし無情にもキャロの胸のあたりが僅かに盛り上がり出す。



「マイセン! お願い私を殺して! こんな奴に胸を突き破られて死にたくない! お願い!」


 痛みで絶叫するように訴えてくる。

 無駄なあがきとわかりつつも、アラスカさんが手で出てこないようにキャロの胸を押さえる。



「……それも優しさだ」


 迷う僕にギルガメシュさんが言ってくる。 その表情には哀れみと悔しさが感じられた。



「ぐ……うぅぅ……お、お願……い」




 苦しむキャロが僕を見つめてくる————




「……わかった。 今すぐに楽にしてあげる」


 柄を掴んで身構え、目を閉じて気配をしっかりと集中して感じとる。 この一太刀で全てが決まる……


 アラスカさんが手を退けた気配を感じて覚悟を決めた。



「はっ!」


 チンっと鯉口を切って一振りして『(オーラ)』を放ってまた鞘に戻す。

 チンっと音色を奏で鞘に収めて、気配が消えたのを確認してから僕の意識は遠のいていった————————



次話更新は明日の予定です。

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