キャロの元へ
メーデイアさんの手から8個の火球があちこちに飛んでいき、着弾と共にそれぞれが爆発を起こす。
床にあった卵はことごとく砕けるか燃え尽きていき、集まってきていた魔物たちも次々と吹き飛んでいく。
「はは……俺らいる必要あるのか?」
「相当数倒していますが、まだまだ気配はたくさんあります!」
どこにそんなにいたのかと思えるほどの魔物たちが次々と現れ出して、まだ潰れなかった卵からもフェイスハガーと名付けた奴が湧き出てきてこちらへ向かってき始める。
「まだよ!」
そうメーデイアさんが言うと、更に魔法を使い出した。
「雷撃よ! 反応を引き起こし駆け抜けろ! 連鎖雷撃!」
1本の電撃が迫る魔物に命中すると、そこから枝分かれして流れるように次々と魔物に電流が流れて、焦げてくすぶりだしていく。
メーデイアさんがそのあとも数回魔法を使って魔法はこれで終わりって伝えてきた。
今の魔法だけで相当倒したはずだけど、魔物の気配はまだまだたくさん感じられる。
魔法による攻撃が終わったのがわかったのか、魔物たちが一斉にこちらへ向かってき出した。
「わかってやがる」
「ふんっ! 俺様の美技に酔いしれ!」
ギルガメシュさんが矢もつがえず弓を引くと、幻覚のような矢が現れて放たれる。 迫る魔物に命中すると爆発して周りを巻き込んで倒していった。
奴隷の女の子にガラシャさんを守るようにお願いして、僕は走ってキャロの元へ向かい立ちふさがる魔物を『気』で倒していく。 飛び散る体液を躱しながら突き進んでいくけど、僕の前に5体の魔物が邪魔をするように立ちふさがってきた。
「邪魔を、するなぁぁぁあ!」
バカンッ!
猛烈な剣による圧力で魔物を纏めて叩き潰す。 飛び散ってきた体液が運よく僕の方へは飛んでこなくて、服に縫い付けたヴェルさんたちから貰ったお守りに感謝した。
「お先!」
僕が魔物と戦っている間にシリクさんが駆け抜けていく。
急いで僕もあとを追いながらキャロの元へ急ぐ。 早くしないといつキャロの胸からチェストバスターが出てくるんかわからない。 タイムリミットはキャロを救い出して、ガラシャさんの元に連れて行くまでだ。
辺りからはキシャーキシャーと魔物の叫ぶ声があちこちから聞こえてくる。 その中に紛れて誰かの悲鳴も聞こえてきた。
前方にキャロの間近までシリクさんが辿り着いた姿が見える。 僕が助けたかったから少し悔しかったけど、そんな事を言ってる場合じゃない。
だけどここで思わぬ事が起こった————
シリクさんがキャロの足元を見つめて動きが止まっていた。 その油断を突かれて魔物の尻尾に貫かれてしまう。
「シリクさん!」
一度刀を鞘に戻して、シリクさんを貫いている魔物目掛けて『気』を放って魔物の気配を絶って、急いでシリクさんの元へ駆け寄る。
「まったく……ドジっちまったぜ」
抱え起こして今もお腹を貫いている尻尾を見つめて愕然としていると、シリクさんが僕に小声で言ってくる。
「今までの奴と形が違いやがる。 お前なら何かわかる、んじゃねぇか?」
確かにキャロの足元に転がっているフェイスハガーの死体の形状が今まで見たものと少し違って見える。
「それは後でいいですから、早く治療しないと!」
「キャロンちゃんと俺2人連れては無理だ俺はおいてけ」
「何言ってんですか!!」
「いいから行けって言ってんだ! どう見たって自分がもうダメな事ぐらいわかってる。 それによ、テトラが1人で寂しく待ってんだよ。 だから行け!」
胸元の2つのドッグタグを引きちぎって僕に渡してくる。
「ガラシャにこいつを頼む。 さぁ早く言ってやれよ」
まだ僕が迷っていると、新たな魔物が近づいてきた。
「くそっ! 最後ぐらいゆっくりさせろや!」
シリクさんが立ち上がって魔物に抱きつくようにして、自分を貫いている尻尾で刺した。
直後、体液が流れてシリクさんの胸元から煙が上がっていく……
口元があばよって動いたあと、シリクさんの気配が無くなった……
次話更新は明日です。




