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寄生

まぁこいつの登場は定番ですよね。

 調査隊が先に進んでいって10分が経ち、30分が過ぎた。 待機組の人たちは辺りを警戒しながら戻ってくるのをひたすら待ち続けている。



「遅いな……」


 苛立ちながらメーデイアさんが呟いた直後、テトラさんが誰か戻ってきてると告げてきた。



「誰かって、1人だけ?」

「1人だけ、それも走ってきている」


 誰もが何かがあったんだと考えた様子だった。

 戻ってきたのはギルガメシュさんの奴隷の1人で、口では説明できないため来ていただきたいと奴隷らしく下手な口調で言ってくる。



「緊急事態なの?」

「非常に」


 メーデイアさんが僕たち全員を見てきて、ここで更に分隊するか全員で向かうか迷ったようだけど、ヘラクレスさんと6人のドワーフたちと、キャロ、テトラさんをこの場に残して向かう事になった。



「私も! マイセンの側にいたいです!」


 分けられたキャロがメーデイアさんに訴えたけど、遊びではない事とキャロはダークゾーンまでの帰り道がわかる人だからって言って残される事になった。



「マイセン……気をつけてね」

「うん」


 笑顔で返事をして穴に飛び込んだ。




今のパーティ状況はこうだ。


・待機組としてヘラクレスさんと6人のドワーフたち、キャロとテトラさん。


・調査隊で先に向かった、ハサンさんと仲間の3人。 それとディルムッドさんと3人の仲間。 ギルガメシュさんと4人の奴隷、それとリセスドさんとアレスさん。


・最後に今、調査隊の方へ向かっている僕とメーデイアさんにフレイさん、シリクさんとガラシャさん、アラスカさん、最後にギルガメシュさんの奴隷。



 先行するギルガメシュさんの奴隷は走るようにしてどんどん先へ行き、初めて入り込んだ僕たちも穴の周りを気にしている暇もなく進んでいった。




 そして辿り着いた先は広間になっていて、そこに先に向かった調査隊の姿があった。 ただし立っているのは数名で、それ以外は横にされていた。

 その倒れている1人の中にアレスさんの姿もあって、近づくと顔に何か奇妙な生き物らしいモノが張り付いていた……



「な、なんなのコレは!?」


 メーデイアさんがその顔に張り付いているおぞましい生き物の姿に顔をしかめると、リセスドさんがそに時の状況を説明しだした。




 この広間に入り込むと、奇妙な卵にようなものがあったらしい。 それは今もあるけど、4つに割れて中が空になっている。

 それを調べていると突然口が開くように4つに開いて、中から今顔にへばりついている奴が飛び出してきて、襲いかかってきたんだそう。



「1体はハサンが倒したが、その体液を浴びて重度の火傷を負った」


 ハサンさんを見ると今はガラシャさんによって治療が施されて、火傷の跡も消えている。

 無事だったのはリセスドさんと僕たちを呼びに来たギルガメシュさんの奴隷と火傷を負ったけど一命を取り留めたハサンさんのたったの3人だけだった。



「こ、これは全員死んでいるの? まるで……寄生しているみたいだわ。 フェイス(顔に)ハガー(張り付くもの)といったところだけど……」

「いや、生きている」

「気配はあるので生きています」


 アラスカさんと被って答える。


 恐る恐るアレスさんに近づいて顔にへばりついたモノを見てみると、まるで指のような8本の足がしっかりと頭を固定していて離そうとしない。 そして尻尾のような細い紐状のものが首にしっかりと巻きついている。 確かにメーデイアさんが言った通りフェイスハガーと言ったのも頷けた。



「無理に離そうとするな。 そいつらの体液は強力な酸だ」


 治療を受けて回復したハサンさんが警告してくる。 こいつもどうやらあの魔物と同じような体質らしい。

 だけどこのまま放っておいていいものだろうか? 僕がメーデイアさんに顔を向けると片眼鏡(モノクル)を弄りながら考え事をしている。



保護(プロテクション)エナジーをかけてから切り離してみてはどうかしら? 一般的な酸であるならこれで防げるはずよ」


 ガラシャさんがアレスさんを心配する僕に言ってくる。



「ならコイツで試してみてからがいい」


 未だビクビクしているハサンさんが倒した相手を指差してくる。



「誰が試すのかしら?」

「僕がやります!」


 僕は迷わず答えた。

 そしてガラシャさんに保護(プロテクション)エナジーをかけてもらってから、その体液に触れてみる。



「うっ! 痛い! 痛い痛い痛い!」


 あっという間に僕の指の肉が溶けて骨が見えてくる。 僅かだというのにとんでもなく強力な酸だ。 すぐに神聖魔法で治療されるとなんでもなかったように戻るけど、しばらく痛みは残った。



「ダメなようね。 酸のようで酸とは別物みたいだわ。 マイセンさんゴメンなさい」

「い、いえ……でもこれじゃあどうやったら助けられるんだ……」


 困っているとギルガメシュさんの奴隷が声を上げた。



(あるじ)に張り付いた奴が……」


 まるで役割を果たしたかのように力が抜けて外れた。 突いてみても動くことはなく、気配も感じなくなっているところから、死んだようだった。



次話更新はできれば今晩に、無理そうであれば明日更新します。

申し訳ないですが、明日の更新は時間指定できません。 たぶん、朝の6〜10時頃にできると思いますが……

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