危険な気配
本日2話目です。 今日は後でもう1話更新します。
大広間の調査で各隊ごとにわかれて調査が開始される。
「念のために隊列を組むわよ」
言われてさっきのように隊列を組もうとしたら、メーデイアさんに違うと言われて組み直しになる。
「さっきは他の隊がいたからで、今度はシリクでしたか? あなたが先頭で罠などを気をつけながら進みなさい。 次にアラスカ殿にフレイが続いて、テトラとキャロンとガラシャ、最後に私とマイセンがしんがりを務めるわ」
そこでアラスカさんとキャロが声を上げた。
「マイセンが最後尾なら私もついたほうがいいのではないか?」
「私、マイセンの側がいいです」
それを一喝するようにこの隊列の理由を説明すると2人とも諦めたみたいだった。 調査が開始されると、隣を歩くメーデイアさんが僕の事をチラチラ見てくる。
「えっと、どうかしましたか?」
「……虫に詳しいと書かれていた通りと思っただけよ。 あなたはここを見てどう感じている?」
「えっと……」
色々聞かれながら考えられる可能性の話をする。 それをウンウン頷きながらメーデイアさんが聞いていて、ちょっと前よりも親しみが感じられる。 僕は同じ隊って言ったのを聞き入れてくれたんだなって思った。
慎重に先を進むシリクさんの後をついていきながら大広間を移動するけど、とにかく本当に広い。 まるで町一つはあるんじゃないかと思うほどで、これだけ広いとダークゾーンの場所もわからなくなりそうだ。
……それだ。
「あの!」
僕が声を上げてパーティの足を止める。
「マイセンどうした? 何か見つけたのか?」
先頭を歩くシリクさんが声をかけてくる。 なので1度みんなに集まってもらって、僕が気がついたダークゾーンの位置の事を話すと、みんなもグルリと辺りを見回し始めた。
「確かに……広間と言っても途中途中に柱のような壁もある……」
「そういえばダークゾーンの降りた場所も柱じゃなかったかしら?」
ここに来て似たような地形続きの広間に気がついて、方向感覚までおかしくなりそうだ。
「大丈夫よマイセン。 私が魔法でダークゾーンの座標は調べてあるから」
「さすがだね、キャロ! 頼りになるよ」
僕がそう言うと嬉しそうに笑みを浮かべてきたのだけど……
「なるほど、確かに報告にある通り機転が利くようね。 上出来よキャロン」
「それはどうもありがとうございます」
メーデイアさんに対してはトゲがあるような返事で返していた……
なんだかパーティとしては不安はあるけど、これで僕たちはダークゾーンまで戻れそうだ。
そこで他の隊は大丈夫か不安になって、メーデイアさんに兵士たちももし隊を分けたのだとしたら、僕たちも同じような捜索方法は危険じゃないか尋ねてみる。
「なるほど……ここまで広いとは思いませんでしたし仕方がありません。 他の隊と合流して1度ダークゾーンに戻るとします」
どうやって? は愚問で、テトラさんの鼻を利用して近い順に探す事になる。 最初に合流したのはアレスさんとリセスドさんのいるギルガメシュさんの隊で、今のところ何か見つけたりというのはないみたいだった。
「……という事で1度ダークゾーンに戻って作戦を変更する事にしたわ」
「はっは。 たかだかそんな事で連邦捜査局(FBI)ともあろうものが臆したのか? それとも……そこの小僧に感化させられたか?」
「だとしたらどうだというのかしら? くだらない余計な考えを口にする暇があるなら言われた通りに動きなさい!」
メーデイアさんが多少ヒステリックに怒るんだけど、ギルガメシュさんはそれを笑い飛ばしていた。
「助かったぜマイセン。 正直俺の危険感知がここはめちゃくちゃ働いてやがる」
「ああ、確かにここは人が立ち入っていい場所ではないように俺も思う」
アレスさんとリセスドさんが2人して落ち着きがなく見える。
よくよく見回せば、みんなもなんだか落ち着いていないように見えた。 違って見えるのはギルガメシュさんだけで、今も口元をニヤつかせながら余裕の表情のままだった。
「感知に反応はない。 にもかかわらずまるでずっと監視されているような気がする。 マイセンは『気』で何か感じたりはしないか?」
「そうですね……」
『気』をできる限り集中して気配を探ってみる……次の瞬間、ゾクっとするような感覚が襲ってきて慌てて気配を探るのをやめた。
「あっちの方角にいる隊がわかりますか!?」
「あっちからはドワーフ、先生とヘラクレスの匂いがする。 どうしてマイセン、リーダーわかった?」
テトラさんが驚きながらどの隊がいるか教えてくれて、それを聞いた僕は一目散に走り出した。
「全員マイセンに続け!」
後からメーデイアさんのそんな声が聞こえるなか、さっき感じた気配より先に間に合うように祈りながら走った。
次の話でゼノモーフ、いわゆるエイリアンが登場します。




