メーデイアさんと仲良くなろう
新章に入りました。
ここからは第二部に近い感じですね。
ダンジョンに繋がる道を進んでいきながら、それぞれのチーム……隊の分担を決めていく。
僕たちのところは、前衛にフレイさん、アラスカさん、僕、テトラさんの順に横に並んで、後方にシリクさんメーデイアさん、キャロ、ガラシャさんの順に並ぶようにメーデイアさんに決められる……
「メーデイアさん、なぜこの順なんですか?」
「後ろには2隊あるのだから、今は前にアタッカーを集中させるのは基本中の基本じゃないのかしら?」
「はい……」
やっぱり僕、この人苦手だ……
シュンとなってる僕に、横を歩くアラスカさんがチラッと僕を見て、ウインクしながらペロッて舌を出してみせてくる。
それだけでメーデイアさんのキツイ言葉は吹き飛んだ。
「イタっ!」
「あ、ゴメンね」
後ろからキャロが足を蹴っ飛ばしてきた。 今のは絶対にワザとだ。
そこでキャロがヤキモチ妬いてるんだって気がついた。
ダンジョンに降りて間もなく、アラスカさんが反応を示す。
「……来る」
その少し後で僕も気配に気がついた。
僕たちが立ち止まって様子をうかがっていると、先生とヘラクレスさんが身構え出した。
相手はオーガーのようで、ヘラクレスさんが1人で前に出ていってオーガーを相手に蛮刀を力任せに一振りして、オーガーの持つ巨大な棍棒ごと叩き切ってしまった。
当然その圧倒的な戦いぶりに、今の戦いを見ていた人は口々に驚きの声をあげたりしている。 そんな中メーデイアさんだけは、興味なさげに何かをチェックしていた。
「今のを見て驚かれたりしないんですか?」
「君もいちいちうるさいわね。 オーガー1体程度で苦戦するようならダンジョン組のトップチームになんていないに決まっているんじゃないかしら?」
はぅ……
僕がションボリしてると、メーデイアさんが資料らしいものを見るのをやめて僕に聞いてくる。
「あなたはなぜ私に邪険にされても話しかけてくるのか? そこが私が不思議でならない」
「だって……せっかく一緒のチーム……隊になったんですから、仲良くできたら良いなって思ったんです……」
やっぱりこの人は僕たち冒険者とは違うのかな……
「……な、なるほど、少しは考慮しましょう」
片眼鏡に手を触れながら、額をピクピクさせている。 なんだか余計に怒らせちゃったみたいだった。
そしてダンジョンに入ってダークゾーンの前まで到着する。 ここでメーデイアさんは全員に少しの休憩の指示を出して、ロープで隊ごとで結ぶように言ってきた。
僕たちもそれぞれ結び終わって、メーデイアさんが最後になる。 ロープを渡そうとしたら何かを口にしていた。
「朝食まだだったんですか? あ、これロープです」
食べる手を止めて僕の顔を見てくる。
「昨晩徹夜で食べている時間もなかったのよ。 悪いけどロープを巻いてもらえるかしら?」
そう言って食事を続けるメーデイアさんの腰にロープを巻きに行く。
性格はキツイけど、メーデイアさんは近くで見るとやっぱり知的な美人だ。
「なに? あなたも食べたいの?」
食べてる姿を覗き見てたらメーデイアさんが勘違いして聞かれた。
「えっと……それ、なにを食べているんですか?」
「そう思うのなら食べてみればいいじゃない」
そう言って今食べてる途中のものを僕の口元に持ってくる。
えっと……まぁ、いいや。
一口かじると甘くてとても美味しい。
「あ、これすごく美味しいですね!」
「クレープという食べ物よ。 元々はデザートらしいけど」
そう言って僕がかじった後をメーデイアさんが普通に口にして、そしてまた僕の口元に持ってくる。 よく見るとメーデイアさんの口紅が少しついていていいのかなぁと思いつつもまた一口もらった。
結局半分ぐらいもらっちゃって、申し訳ないと思って謝ろうとしたんだけど……
「待って、口にクリームついてるわよ。 まったく子供なんだから」
指ですくいとってくれて、その指をメーデイアさんが口に入れる。
「ロープは巻いてくれたのかしら? うん、よろしい」
メーデイアさんが前後の隊に何かを言いに行くと、ぶっすぅとした顔でキャロが見てくる。
「キャロも食べてみたかったの?」
「ほんっとにマイセンって鈍感よね。 このスケコマシ」
「……え?」
周りの仲間の顔を見るとフレイさんとシリクさんがため息をついて見せて、ガラシャさんも呆れた顔をしている。
そして、アラスカさんはというと……
なんか睨んでるんですけどぉぉぉ!
次話更新は明日の朝6時頃の予定です。
あらすじのネタバレを見ていただければわかっていただけると思いますが、こういう設定のお話ですので死人はたくさん出ます。 むしろ何人生きて帰れるか? といったところでしょうか。




