連邦捜査局(FBI)
突発の更新です……
兵士たちがダンジョンに向かって5日が過ぎたある日、僕は冒険者ギルドに呼び出される。
「あ、マイセン君。 ギルドマスターの部屋に行ってもらえるかな」
「はい?」
なんだろう……心なしか怒ってるみたいだ。
ギルドマスターの部屋に行くとオーデンさんと、もう1人知らない女性がいた。
片眼鏡をかけた知的な綺麗な人……
「あなたが『気斬りのマイセン』? まだ子供じゃない」
そしてキッツイ性格っぽい。
「えっと、勝手にそう呼ばれているだけですから……」
「そう、まぁいいわ。 あなたも加わりなさい」
加わる? どういう事?
オーデンさんを見ると片眼鏡をかけた女性を訝しげに見ている。
「返事は?」
「返事と言われても、何が何だか……それに貴女は誰なんですか?」
「はぁ……私はホープ合衆国、連邦捜査局(FBI)のメーデイア。 今回、消息を絶った兵士たちの捜査を任されたというわけ」
「しょ、消息を絶った!? だってまだ数日じゃないですか? デプスが深ければ……」
「はぁ……合衆国兵には通信兵というのがいて、必ず日に1度連絡をよこすようになってるのよ。 それが2日前を最後に連絡が途絶えた。 ここまで言えばわかってもらえたかしら?」
僕この人苦手だ……
そこで扉が開いてフレイさんとアレスさんが入ってきた。
「あ、フレイさん」
「マイセンもいたのか」
「一体なんの呼び出し……」
「馴れ合いは後で勝手にやってもらえるかしら? 2人にも協力してもらうわよ」
挨拶を交わす間もなくメーデイアさんが2人にも要件も言わずに協力だけを強要してきた。
そんなメーデイアさんにアレスさんが食ってかかろうとしたところで、扉が開いてリセスドさんや他数名の冒険者も入ってきた。
「……7、8、9。 これで全員揃ったかしら?」
そんなことをメーデイアさんがつぶやいていると、他の冒険者がオーデンさんに何の用か尋ねている。
「それでは改めて自己紹介と招集した理由を説明するわ。 まず、私はホープ合衆国、連邦捜査局(FBI)のメーデイア。 今回、消息を絶った兵士たちの捜索を任された、あなたたちのボスになるわ」
この自己紹介で後から来た冒険者たちが一斉にざわつきだす。
「来て早々いきなり何を……」
「黙りなさい! あなたたちは今、冒険者ギルド特別規約に基づいて連邦捜査局(FBI)の傘下に加わっている」
冒険者ギルド特別規約……確か冒険者になる時に、国に危険が及んだ際には尽力する旨が書いてあったと思う。 小さく……
メーデイアさんが僕にも説明した、捜索に向かった兵士たちの連絡が途絶えた事を改めて説明して、その救出及び調査を強制してくる。
「ちょ、ちょい待った。 俺はもう冒険者引退して、嫁さんと子供が居んだ。 連邦捜査局(FBI)に従う義理はないと思うぜ」
アレスさんが断りを申し出るのだけど、メーデイアさんが羊皮紙を鞄から取り出して突きつけてくる。
「訓練場における素人冒険者の訓練及び指導。 あなたはろくに何もせず、日々寝転がっているだけのようね。 それで給料を貰って生活していられたのは一体誰のおかげかしら? なんなら今すぐにでも訓練場の任を解いて無職になってもらっても構わないわよ?」
「ぐ……汚ねぇ。 でもよ、誰も来ないんだから仕方がないじゃないか!」
「自ら何も行動もせず寝転がっていれば、来る者もいないわよね? それに数名の報告では、『行ったけれど寝ていた』とあるけれど、その辺を詳しく聞かせてもらってもいいのよ?」
アレスさんが口を開いたまま立ち尽くして、小さく分かったよって答えてた。
「他に何か言いたい事がある人はいるのかしら? 納得のいく理由がないのであればこれは強制よ。 反故にする、というのであれば規約違反者とみなして刑罰または罰金が課せられるわよ」
メーデイアさんの迫力に誰しも口籠ってしまう。 そんな中リセスドさんだけは、余裕の表情を浮かべながら尋ねた。
「俺はマルボロ王国の冒険者ギルド所属だ。 断ろうと思えば断れるはずだが?」
「そのようね、あなたの事も既に調査済みよ。 パーラメント一族の名を世に知らしめる絶好の機会を与えたつもりだけど……嫌だというのでしたらあなたは退場して頂いて結構です」
「……ふ、どうしてなかなか。 抜け目のない女だ。 よかろう、手を貸そう」
「連邦捜査局(FBI)の情報網を甘く見ないでもらいたいわ」
結局誰も反対する事ができず、この連邦捜査局(FBI)の捜索に協力するしかなかった。
思った以上に先まで書き進められたので更新しちゃいました。
次話更新は当初の予定通り、明日朝6時頃にも更新します。
アクセスやブックマークも増えて感謝です!




