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マイセンの剣技

 訓練場に着くと相変わらずアレスさんがひっくり返ってのんびりしている。



「アレスさん」

「お! おおお! マイセン! それとオーデンに……」


 慌てて体を起こしてバツが悪そうに頭を掻いた。



「戦神アレスと言われた男も今じゃ形無しだな」

「あっははは、キッツイなぁ。 誰も訓練なんか来ないんだから仕方ないだろう。 それで今日はまたマイセンか?」

「うむ、なんでも……いや、実際に目にしたほうが早いな。 俺も実際に見ていない」


 ほーってアレスさんが僕を見て言うと、早速僕の武装に気がついて、刀に目をやってくる。



「なんだか珍しい獲物をぶら下げてるじゃねぇか? まぁとりあえずどうしたらいい?」




 オーデンさんが僕に見せてみろと言ってくる。 なのでみんなに僕の後ろに立って見てもらう形で、訓練場を1番距離が取れるように陣取る。




「行きます!」


 『(オーラ)』を集中して刀を抜く。

 チンっと音色が聞こえて上段に構えた姿勢から刀に『(オーラ)』を通す感じで振り下ろす。



 ドガガガガガガガガガガガガガッ!!


 僕の前方に向かって細長い放射状に衝撃波が走って、訓練場の土がモウモウと舞い上がった。





 振り返るとオーデンさんもアレスさんもキャロも目を見開いて口をあんぐりと開いている。



「な、なんじゃ今のは!」


 アレスさんが止めていた呼吸を吐き出すように叫ぶ。

 ダンジョンで目にしていたアラスカさんはその姿を面白そうに見ていた。



「今のを僕は衝撃波(ショックウェーブ)って名付けました」

「そ、そうか……」





 そして次は刀に『(オーラ)』を凝縮させて振り下ろす。



 バカンッ!!


 僕の前方がそんな爆発したような音を立てて、今度は衝撃で地面が大きくくぼみ、僕の身体も僅かながら衝撃で宙に浮いて少し後ろに着地する。





「これはアラスカさんが名付けてくれて、剣圧(ソードプレッシャー)と呼ぶ事にしました」


 そう振り返って言うと、アラスカさん以外の3人の開いた口がずっと塞がらなくなっていて、そんな3人を他所にアラスカさんが僕にとても可愛らしくニッコリ微笑んでくれる。




 2つとも見せ終わった僕は刀を鞘に収めると、チンっと音色が響いて収めた。





「これは……7つ星の騎士に匹敵するのではないかな?」


 しばらくの沈黙の後、オーデンさんがとんでもないことを口にする。



「と、とんでもないです。 7つ星の騎士団に匹敵するなんてありえないです」

「それはここにいるアラスカ様に聞くのが1番早いな。 どう見ますか?」


 アラスカさんが今のを見て見解を示してくる。



「実際の戦いで使っているのを見たが、衝撃波(ショックウェーブ)と言ったか? そちらは見た目より威力はない。 とはいえ死に至らしめたり重傷を負うほどではないが、殺傷力は十分にある。 むしろ剣圧(ソードプレッシャー)の方が至近距離にはなるが、広範囲に剣の圧力で叩き潰されて威力も大きい」



 付け加えてアラスカさんの見解が正しければ、騎士魔法の防壁(バリア)で両方とも防げるだろうって。

 それよりもアラスカさんは『(オーラ)』で斬る一撃の方が危険な技だって言ってきた。



「マイセン、お前随分化けたなぁ。 俺の想定以上だぞ」

「まさに『(オーラ)斬りのマイセン』だな」


 キャロはさっきから驚きながら僕の事を見ているだけで、何か声をかけてきたりしてこなかった。





 一通り見せ終わると、オーデンさんがアラスカさんに話があるらしくて冒険者ギルドに戻るみたいで、僕には後で呼ぶかもしれないとだけ言って訓練場を出ていった。



「お前らも出ていけよ。 俺ゃぁこれからここを直さないといけねぇからな」

「それなら僕がやったんですから」

「良いって、良いもん見せてもらったんだ。 気にするな」



 と、そんなわけで僕とキャロは訓練場を追い出されるように出ていった。




次話更新は今晩か、更新できなかったら明日の朝6時頃の更新になります。


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