冒険者マイセン誕生
「冒険者になろう」最終話です。
昨日は職員のお姉さんたちにお祝いをして貰って、ウルドさんに無理酒させられて途中から意識が無くなるまで飲まされた。
「うーん……」
目がさめるとベッドに寝かされている……
「おはようマイセン君」
「ふあぁぁ、おはようございます」
————————————へっ!?
ここは僕の部屋で間違ってない。 そして僕のベッドだ。 で、今僕の隣にいるのは……スクルドさん……
「うおわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「あはっ、ウブな反応ごちそうさま」
飛び起きてベッドから飛び降りる。 降りて土下座をして謝った。
「ゴメンなさい! 記憶がまったくありません!」
「えー……昨日はあんなに燃え上がったじゃないですかぁ」
「んのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
全くもって記憶にない。 僕はスクルドさんに一体何をしてしまったんだ!
と、そこにドカッと蹴り開けんばかりの勢いで扉が開いて、ヴェルさんが鬼の形相で現れた。
「こぉぉらぁぁぁぁ! 仕事サボってどこいってるかと思ったら、マイセン君を弄んでんじゃないわよ!」
「ちぇ〜見つかっちゃっいました。 じゃあねマイセン君。 ヴェル先輩も1人でマイセン君独占なんてズルイですよ」
何が何やらさっぱりわからない。 とりあえず今の僕はスクルドさんに何かしでかしてないかだけが心配だった。
「まったく……スクルドってば。 っと、マイセン君おはよう。 ん、どうしたの?」
僕は素直にスクルドさんに何かしでかしてしまったんじゃないか尋ねると、ヴェルさんがおかしそうに笑いだした。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、今朝私がギルド行く前にマイセン君の様子を覗いたら、ちゃんと1人で寝ていたから。 それに、あの子も職員の服着ていたでしょう?」
ヴェルさんの話だと、昨晩調子に乗ったウルドさんに無理酒させられて、酔い潰れてしまった僕をベッドに運んだまではいいけど、吐き戻ししてたりしていないか心配してくれたみたいだった。
「ご迷惑をおかけしました……」
「うううん、マイセン君は悪くないから。 それより今日からダンジョンに行っても大丈夫なんだよ?」
そうだった。 昨日1日で訓練場のアレスさんからお墨付きをもらった僕はダンジョンに行ける。
「それじゃあギルドで待ってるわね」
そう言ってヴェルさんは出て行く。 僕も準備を済ませてギルドに行くと、見知らぬおじさんが声をかけてきた。
「君がマイセン君だね。 私はここのギルドマスターをしているオーデンだ」
「は、はじめまして! マイセンです。 たいへんにお世話になってます!」
緊張しまくってる僕をギルドマスターがにこやかに笑って、ヴェルさんではなくギルドマスターから朝食のお金を渡される。
「これが朝食代、それとこれは私からのプレゼントだ」
そう言って渡されたのは、剣が1本と革鎧だった。
「あ、ありがとうございます!」
「中古だからあまり良いものではないが、そこは我慢してくれよ」
中古でもなんでも自分の剣と鎧に、いやでも顔がニヤつく。 早速革鎧を身につけようとしたけど、初めてで上手くつけられないでいるとギルドマスターが直々に教えてくれた。
「うんうん、マイセン君冒険者っぽくなったよ」
「馬子にも衣装とは言ったもんだけど、似合ってると思うよマイセン」
「ギルマスも中古とかケチすぎですよね。 ここは男気を見せて、新品用意してあげるところですよ」
冒険者ギルドのギルドマスターと職員の優しさに感謝しつつ深々と頭を下げた。
「んじゃあ、あとはこいつを頼むぞ」
そう言って1枚の羊皮紙を渡してきた。 中には依頼と書かれていて、取ってくるものが書かれている。
「これは?」
「これは? じゃない。 お前さんの初仕事だ。 働かざるもの食うべからず、冒険者になって訓練も済んだのなら当然のことだ」
ハッとしてギルドマスターにお礼を言って僕は冒険者ギルドを出る。
僕の初仕事となる依頼内容は苔を取ってくる事だった。
「これなら戦うわけじゃないし、竜角山の入口近辺で取れるから楽勝だ!」
朝食がまだだった僕は依頼の前にお腹を満たしに〔ヒヨコ亭〕に向かった。
〔ヒヨコ亭〕に入るとソティスさんがすごく不機嫌な顔をしている。 嫌な客でもいたのかな?
カウンター席に座るとすぐに料理が運ばれてきた。
「はい! どうぞ!」
「あ、ありがとう。 なんだか機嫌悪いね」
うわっ! すごい睨んでくる。
「昨日来なかった」
「え?」
「昨日来なかったよね」
鈍感な僕でもさすがに気がつく。 すぐに訓練場を1日で修了証が出た事と、そのお祝いにギルドの職員さんたちにお祝いがあった事を話した。
「そんな事知ってるわよ!」
えぇぇっ! じゃあなんで怒ってるのぉ!?
「もう町中で噂になってる。 随分と職員さんたちと仲がいいらしいようで!」
「ソティスさん違うよ、僕がお世話になってるだけ……って、なんでソティスさんが怒ってるの?」
直後顔を真っ赤にさせて、知らないって言うとキッチンに行っちゃった……
料理を食べ終えても出てくる気配がなかったから、ついに僕は冒険者として初めて霊峰竜角山に向かう事にした。
次の章から雰囲気も変わります。