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訓練場卒業!?

 僕もアレスさんも木剣を持って向かい合う。 練習稽古は稽古というだけで、実際に打ち合う。 なので当たれば実際に痛い。

 僕は集中に集中をして剣を構えた。



 アレスさんが木剣を振り回して握りなんかの確認をして、僕に木剣を向けるとかかってこいと空いた手で合図してくる。




 アレスさんに太刀筋がいいとは言われたけど、いざ打ちかかってみると力量の差は歴然で簡単にいなされて抑え気味に叩かれる。

 抑え気味といっても当たればやっぱり痛い。

 なので、打ちかかるけどアレスさんの攻撃を躱すことに重点をおいてみるようにした。



「お?」



 上手く躱すとアレスさんの口からそんな声が上がる。 僕はそれを内心で喜んだ直後、肩に激痛が走った。



「1回避けたぐらいで気をぬくからそうなるんだ。 魔物相手の場合は倒して動かなくなるまで気を抜いちゃあダメだ」

「はい!」

「よし、じゃあ続けるぞ!」




 こんな感じで練習稽古は続いていくと、日が傾きだした頃に僕の一撃がアレスさんにヒットする。



「やった!」

「いてーーー!」



 喜ぶ声を上げたけど構えは解かないで、慎重に身構える。



「ちょ、ちょっとタンマ! お前マジか? たった1日で仮にも俺から1本取るなんてありえないぞ!?」



 アレスさんが手を前に伸ばしてストップをかけながらそう言ってくる。

 僕はアレスさんがお世辞で言ってくれているものだとその時は思っていた。



「だいたい後半から俺の攻撃はしっかり躱すようになったし、的確に狙ってきやがるようになってきた。 まるで7つ星の騎士の予測(プレディクション)みたいな動きだったぜ」

「アレスさんの教え方が上手だからですよ。 だって僕は今日初めて剣を持ったんですから」



 僕は7つ星の騎士みたいって言われてすごく嬉しかった。 だけどアレスさんは、木剣が当たったところを摩りながら首をかしげてみせてくる。



「それだけでここまで上達はしねぇよ。 オメェさんの生まれ持った実力かもな……

よぉし、待ってろよ」



 そういうとアレスさんはどこかに行って戻ってくると僕に手紙を渡してくる。



「これは?」

「あとのお楽しみだ。 そいつを持って今すぐ冒険者ギルドに戻りな」



 とりあえず手紙を受け取った僕は、アレスさんにお礼を言って、また明日もお願いしますと言って出ていった。






 あちこち叩かれて痛むけど、なんだか最後に1本が取れてスッキリした気分になる。 きっとアレスさんはわざと僕のやる気が続くようにそうやってくれたんだろうと思いながら、冒険者ギルドに戻っていった。




「ヴェルさん」

「あらマイセン君、訓練はどうだった?」


 とりあえず手紙をヴェルさんに渡すと、受け取って中を確認している————



「えぇぇぇぇぇぇぇっ! ウソ、やだほんとに!?」


 突然ヴェルさんが叫びだした。



「あの、ヴェルさん一体どうしたんですか?」

「なによヴェル、急に大きな声出して」

「ヴェル先輩どうしたんですか? あ、マイセン君お帰りぃ」

「あ、ただいま、です」



 ヴェルさんが手紙をウルドさんに黙って手渡すんだけど……



「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? アレスのおっさんトチ狂ったか?」



 だんだん心配になってくる。 一体何が手紙に書かれているんだろう。


 そしてスクルドさんが最後に手紙を見てその理由がわかった。



「わぁ! マイセン君凄いですねぇ。 今日1日だけでアレスさんから訓練修了証出てますよぉ」




 はい? だって、今日出て行く時また明日って言ったはずで、頷いてたと思ったんだけど……


 気がつくと冒険者ギルドにいた冒険者たちも驚いた表情や声を上げて僕を見てくる。




「こ、これは何かの間違いですよね?」

「いいえ、マイセン君には素質があったに違いないわ。 おめでとう!」

「おっし! 今日はパーティーだな!」

「おー? 先輩のおごりですかぁ?」


 なんだか勝手に盛り上がりはじめちゃった……




 その日の夜、僕は3人のお姉さんにお祝いされることになる。

 でも3人とも綺麗な人だし、しかも冒険者ギルドの職員さんだから噂はすぐに流れていった。




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