ダークゾーン
ワイトをターニングアンデットで退散させた道は、その先に逃げたワイトと出くわすことになるから別のルートを移動していく。
「なぁ、マイセンの言った場所ってのはそんなに近くにあったのか?」
「うん、っていうか僕は場所を覚えてないから……キャロに聞いてみてもらえるかな」
キャロが呆れた顔をして、場所をシリクさんに背後からルートを教えながら進んでいった。
そしてその場所までたどり着くと、早速シリクさんが木の棒で暗闇の先を突いてみたり叩いてみたりする。
「なんだ? 感触はあるのに音がしねぇ」
それを聞いてフレイさんがダークゾーンだって口にする。
「ダークゾーン?」
「ああ、俺も噂で知ってるだけだが、光と音が遮断される特に危険な一種の罠だ」
「つまりこの先進んだ奴はいないってことでいいんですかい?」
シリクさんもさすがにフレイさんと話す時は敬った喋り方になりながら尋ねると、フレイさんがまず間違いないって答えてくる。
「どうする? マイセン、お前がリーダーだ。 決めてくれ」
シリクさんが僕に振ってくる。 見回すとみんなの顔が僕に向いている。
そんな時ふとキャロに言われたことを思い出して聞いてみることにした。
「この先がどうなっているかはわからない。 だからみんなの状態を聞いてからにしようと思うんだ」
頷いてくるみんなを見て言葉を続ける。
まずはキャロの魔法選択は問題なさそうか、次いでもし簡単に帰れなくなった場合の対処は出来ているかを聞いてみる。
「マイセン、リーダーが、今日は連携を見るって言ってたから、あんまり準備はしてない」
テトラさんがそういうと、みんなもそう言えばとでも言う様な顔を見せた。
「じゃあここは次回にしましょ……」
「待って!」
キャロが声を上げて、もう少し調べたいって言い出した。 何をかって思ったら、このダークゾーンに入って魔法が使えるのか試したいって言ってくる。 それならとばかりにテトラさんも夜目が効くか試すって言い始めた。
早速最初にキャロがダークゾーンに入ろうとするんだけど、ここでフレイさん自身が先に入って安全か確かめるって言ってくる。
それでお願いすることになったんだけど……
結果的に言うと、フレイさんが出てくるまで何も聞こえてこなかった。
「音はダークゾーン入ると外には聞こえない様だ」
「それじゃあ次は私が魔法を試してみるわ」
そういうとキャロが入れ替わる様にダークゾーンに消えていった。
「出てくるのちょっと遅くないかしら?」
「確かに。 マイセン、リーダーどうする?」
「どうするって?」
「お前キャロンちゃん心配じゃないのか?」
心配も何もキャロはダークゾーンからしっかり気配を感じている。 でも念のために僕がダークゾーンに足を踏み入れ様とした時、キャロが出てくる気配を感じて身を引いた。
僕が避けているのを見てキャロが頷いてくる。
「魔法もダメです。 しかも使った魔法はしっかり記憶から消えてました。
でも、マイセンは私の気配を感じ取れていたみたいね」
キャロは僕が避けていたのをちゃんと見ていたみたいだった。
「うん、ずっとダークゾーンのちょっといったところにいるのはわかってたよ」
「マイセン、リーダーのそれ、なんかカッコいいな」
テトラさんに羨ましがられて、同じ様に入れ替わってダークゾーンに入……らないで、顔だけ突っ込んだ。
「なんかあれってよ、首が無くなったみたいだな」
シリクさんが怖いことを言い出す。 テトラさんはすぐに首を引っ込めて首を振ってきた。
「夜目も効果ない。 けど、匂いはわかる」
結果的にわかったことは、会話もダメで、魔法もダメ、夜目も効果ない。 そうなると頼みの綱はテトラさんの鼻と僕の気配を感じ取るぐらいしかなかった。
でもそれも、地形までわかるわけじゃないから、このダークゾーンはもっと他を探索してからにしようということで決まった。
次話更新は、明日朝6時頃を予定しています。




