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コンビ戦

新章、ダンジョンパートに入り、マイセンの力も目覚めてきます。

「さっきからどうしたの?」


 竜角山内部に入って移動しているんだけど、後ろからついてくるキャロを何度も確認していたのを気がついて声をかけられた。



「う、うん……」

「その口にしないのは良くないと思うのだけど」

「ゴメン、えっとね……仲間がいるって良いなぁって思ってさ」


 振り返って仲間になってくれたキャロを見ながら答える。



「————マイセンの口から出る言葉は、女にとって危険すぎね」

「なんで? ……っ! キャロ危ない!!」


 会話に気を取られていたキャロに向かって何かが忍び寄る気配を感じて、剣を抜いて気配を頼りに剣を振る。



 ザシュっと斬り裂いた音と感触を感じた。


 忍び寄ってきていたのは、あの時と同じくバグベアだった。



「バグベア!? なんでこんな浅いところに」

「それは後で考えよう! 今はコイツに集中するよ!」


 僕は剣を構え直してバグベアの気配に集中した。


 奇襲に失敗したバグベアはモーニングスターを身構えて、僕目掛けて振り回してくる。

 気配に集中している僕は、その攻撃をギリギリのところで躱して剣を振ったけどバグベアも後ろに飛び下がって避けられてしまう。



「まばゆき光よ! 閃光となって我が敵の視覚を奪え! 閃光(フレア)!」


 背後からキャロの魔法が使って、物凄い閃光がバグベアの眼前で炸裂した。



「Yeaaaaaaah!!」


 バグベアが叫びながらとっさに目を覆ったけど時既に遅く、視覚を奪われたようでよろめいている。



「マイセン、今!」


 キャロの声で、上段の構えから掛け声とともに振り下ろした。




 確かな感触を感じたけどいつでも対応できるように構え直して、バグベアから気配を感じなくなったのが分かってから構えを解いた。



「ふぅ〜、キャロ、今の魔法凄かったよ!」

「凄い……どうして忍び寄ってくるバグベアに気がついたの!?」


 バグベアが動かなくなったと思ったら、2人同時に口を開いちゃって、見つめ合ったまま動きが止まる。



「なんとなく気配を感じられるんだ……」

「フレアっていう目くらましの魔法なの……」


 また同時に話しちゃって、2人して笑いだした。


 慣れた手つきでキャロがバグベアの持ち物を漁りながら、改めて僕が気がついた理由を聞いてくる。



「なんて言うのかな? 集中すると生きている相手なら気配が読み取れて、次に何をしてくるかわかるんだ」


 僕がそう言うとキャロがふと手を止めて僕に近づいてきて、ジッと見つめた後、僕の口をキャロの口で塞いでくる気配を感じて慌てて避けた。



「何をいきなり!?」

「わ、本当」


 すぐに謝ってきて本当か試してみたんだって。 でももし嘘だったらどうする気だったんだろう?



「それっていつから?」

「えっと、冒険者になって訓練場で訓練した初日になんとなく、かな?」

「まるで7つ星の騎士団が使う騎士魔法みたい」

「訓練場のアレスさんにも同じことを言われたよ」


 そこで話はやめてキャロはバグベアの持っていた袋を渡してくる。 それを僕の背負袋(バックパック)に詰め込んでまた移動をはじめた。



 その後もキャロの魔法のサポートもあってかなり余裕を持って戦っていける。



「マイセンって本当に冒険者になりたてなの? あなたのその気配が読める力はとんでもないと思うの」

「そ、そうかな?」

「そうよ。 だって昨日今日の冒険者になりたての人が、たかだかゴブリンとはいっても1人で5体相手に無傷で立ち回るなんて普通じゃない」

「1人じゃないよ。 キャロがサポートしてくれたからだよ」


 そう言うとキャロは黙り込んで顔を俯かせちゃう。



「えっとね、今の実力ならもっと奥のほうとか、登頂の方ならやっていけると思うんだけど、マイセンはやっぱりダンジョンに向かうの?」


 顔を上げて聞いてくるキャロの顔がほのかに赤い。



「うーん、特に考えてなかったなぁ。 でもフレイさんの話だと、ダンジョンは登頂の比較にならないほど魔物が強いって言っていたから……」

「ちょっと待って。 今フレイって言った?」


 何かおかしいことを言ったのか頷いて返すとキャロの顔が突然緩んだように見える。



「フレイさんって言ったら、ちょっと前まで登頂組のトップチームだった人よ。 マイセンはそんな人とも知り合いだったの?」


 フレイさんとはアレスさん経由でお世話になった人ってことを話すと、キャロはなんだか上の空になっていた。

 そんなキャロを見てて、僕はなぜか気分がよくなかった。 だからつい……



「ダンジョンに行こうと思ってる」


 どうしてか僕自身わからなかった。 ただキャロが他の人にうつつを抜かしているのを見て、嫌な気分になったのは確かだった。



「そっか……うん、マイセンがダンジョン行くっていうのならそうしよう?」



 キャロが一瞬不安そうな顔を見せたけど、僕はその時は考えが甘くて、僕が守ってあげればいいって思っていた。




次話更新は深夜に更新するかもしれません。

ペース早すぎるでしょうか?

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