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ゼノモーフの女神?

あと数話で完結です。

“マイセン危ない!”


 キャロの叫ぶ声が聞こえる。


 狙いはこの魂抜きの籠手、または僕のどちらかなのだろう。


 どうする? 腕を放り投げて……ダメだ、放り投げたって僕に寄生しに来るだけだ。

 腕を捨てて(キャロン)を取って斬る……それだと腕を取られてしまう。

 ならば腕をディアさんに向かって投げる……これも投げた後に(キャロン)を振るだけの余裕がなさそうだ。

 万事休すのか……



(時に武器は剣だけとは限らない)


 直後、僕は思いきりフェイスハガーに叩きつけた。

 もちろん魂抜きの籠手をつけた自分自身の腕でだ。



 ウギョオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!


 気色の悪い悲鳴をあげてフェイスハガーが吹き飛んでいった。




“まさか……そんな手が!”

「腕だけに、なんてね」

「ふざけるのはその辺にしてくださいね」


 怒られてしまった。

 本当は僕だって切り落とした腕なんかで殴り飛ばしたりなんかしたくはなかったですよ。



 それはそうとフェイスハガーはどうなったのかというと……


 なんと寄生もしてもいないのにチェストバスターに体を変えて、更にメキメキ音を立てて大きくなっていっている。


 もちろんそれを指をくわえて見ているだけではなく、【守護の神ディア】様は率先して攻撃を加えているけど簡単に避けられていた。

 そして僕は魂抜きの籠手を奪われないようにしないといけないため、(キャロン)すら握れない。 出来るとすれば、また腕を叩きつけるぐらいしかない……



 キャロが魔法矢(マジックアロー)を放ったけど、命中する寸前でかき消されてしまった。



「魔法がかき消された!?」

“スペルキャンセリングだわ”

「スペルキャンセリング?」

“高位魔物の一部に最初からある防衛能力で、下位魔法なんかを無力化させる力の事よ”



 【守護の神ディア】様は魔法を使っている様子がないところから気に求めてない様子だけど、いかんせん攻撃が当たっていない。

 【守護の神ディア】様に僕の腕……というか魂抜きの籠手を持って貰えば、僕も(キャロン)で戦えるようにはなる。

 でも片腕のない今の僕がどこまで通用するかもわからない。



「【守護の神ディア】様! 魂抜きの籠手をお願いします!」


 今のままではとにかく僕は無力だ。 いや、一応籠手で殴りつければ戦えない事もないけど、(キャロン)を手放しているのが嫌だ。


 一旦下がって腕を受け取りに来てくれた【守護の神ディア】様に手渡す。

 剣を収めて受け取ったため、これでは今度は【守護の神ディア】様が攻撃に加われなくなる。



「私の役割はもともと神々の盾です。 残念ながら7つ星の騎士の貴方よりも戦いは苦手なんです」


 兜で表情はわからないけど、きっと歯がゆい思いだろう。

 それと……



「僕は7つ星の騎士ではありません」

「では何故貴方は神の力を行使できるんですか?」

“マイセンは史上最強と言われたセッターの転生者だからみたいですよ”

「そうみたいです。 時折危機に陥るとセッター様が助言をくれたりします」

「そういう事でしたか」



『お喋りはいつ終わるのだ? いい加減待ってやってる方の身にもなって欲しいものよ』


 先ほどまで【守護の神ディア】様が発していた、老婆と子供が入り混じったような声が聞こえてきて振り返る。

 そこにはゼノモーフのように細身ではなく、そしてゼノモーフの女王(クイーン)のような無駄に大きくなく2メートル程の筋肉質なゼノモーフが立っていた。



『そこの雄は種の繁殖の為生かしてやるが、後は……殺す!』


 いい加減呆れてしまう。



「お前と繁殖するぐらいなら、さっきの姿のときのほうが100倍マシだ!」


 思わず叫んでしまい、慌てて【守護の神ディア】様とキャロの顔を見る。



“マイセンってそんな風に見てたんだぁ”

「えっとそうじゃなくて……ディアさんの時は顔が元のままだったし、ゼノモーフの肌とはいえプロポーションだってディアさんのままだったから……」

“うわぁ……アラスカさんに後で言っちゃおう”


 グハァ! 墓穴を掘ったぁぁぁ。

 ディアさん、【守護の神ディア】様の反応は!?


 ……兜で表情はわからないけど、何も言ってくれない。



『貴様の意思など関係ないわ!』


 ゼノモーフの女神? が飛びかかってきてくれたため、2人の意識もそちらに集中してくれる。

 正直このまま続けられるのに比べたらマシだ。



 飛びかかってきた攻撃を【守護の神ディア】様が盾で受け止める。

 耳をつんざくような音が聞こえた。



「私の盾に傷が!?」

『オノレ、ウザったい盾だ!』


 今の物凄い爪の切り裂きの攻撃で、傷だけで済んでるのは凄いと思うんだけど、おそらく【守護の神ディア】様の盾に傷着くのはそれだけあり得ない事なのかもしれない。


 でも【守護の神ディア】様のおかげで、僕も攻撃のチャンスができた。

 本来斬りつけるためにはあと数歩足りない距離から腕めがけて振り下ろす。


 ゼノモーフの女神? の片腕が綺麗に切断されて地面に落ちた。



『驚いたわ、人間如きが妾の腕を斬り落とすとはな』


 腕を斬り落とされたにもかかわらずゼノモーフの女神? は余裕の表情を見せている……とはいっても眼の部分はゼノモーフ同様黒いフィルターの様なもののせいで薄っすらとしか見えないけど。


 シュルシュルと切断された腕とゼノモーフの女神の切断面から管の様なものが伸びてきて、それがくっつくと元どおりに接着される。

 くっついた腕を見せつける様にグーパーさせると、僕に向けて手を伸ばしてきた。




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