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増援、熾烈な戦い

 居合斬りは遮蔽物すら無視して『(オーラ)』を読んだ相手だけを狙いうてる。 しかし単一の相手の『(オーラ)』に集中するため、周りが見えなくなる欠点がある。

 そしてガーゴの突然の行動に『(オーラ)』が削がれてしまい集中が削がれてしまった。


 まさかガーゴが裏切った!?

 そんなはずはない。 だとすれば……


 『(オーラ)』が感じ取れる全てを感じ取ると、驚いた事に俺の真後ろから『(オーラ)』が感じられた。

 振り返った時には既にゼノモーフが口を開けてインナーマウスで攻撃しようとしているまさにその瞬間だった。


 インナーマウスが狙う先は俺の頭。

 限界領域(リミットリージョン)を使ってもわずかに髪の毛をかすり、本当にギリギリ当たるところだった。

 躱したところで距離を取って一太刀入れようと思ったところで、ガーゴが飛びかかって突き刺す体制に入っていたから任せる事にした。


 限界領域(リミットリージョン)を解いてすぐに再度ゼノモーフの女王(クイーン)の『(オーラ)』を読んで居合斬りを放つ。

 ゼノモーフの女王(クイーン)が崩れ落ちるのと同時に、背後からゼノモーフの断末魔が聞こえた。



「助かったよガーゴ!」

 グアッ!


 いつの間に覚えたのかはわからないけど、ガーゴが親指を立てて見せてくる。


「背後は頼んだよ!」

 グアッ!


 まだゼノモーフは完全には死に絶えていなかったようだ。 今のように隠れながら襲いかかられていたら、安心して居合斬りも放っていられない。



「Fuck!」


 意味のわからない声を上げたセドリックを見ると、やはり俺と同じく隠れ潜んでいたゼノモーフに不意打ちを受けたようだ。



「こいつらまだたくさん潜んでやがったぞ!」


 ディルムッドの叫ぶ声が聞こえて、もう一度辺り全体の『(オーラ)』を読むと、目視では気がつきにくかった横穴らしい場所からゼノモーフがぞろぞろ向かってきていた。



「2人共一旦戻って! 部屋のあちこちに横穴がたくさんあって、どんどんこっちに向かってきている! 」


 そうは言ったもののゼノモーフの女王(クイーン)も逃すまいと迫ってくるし、ゼノモーフも壁だと思っていた場所から這い出てきて向かってくる。


 少しするとディルムッドは瞬間移動で俺のところまで戻ってきた。 あとはセドリックだけなんだけど、どうやら足をやられた様でびっこをひきながらで徐々に囲まれつつある。



「セドリック!」


 俺の叫ぶ声に気がついて俺の方を向いて、手に何かを持ってニヤリと笑って見せてくる。


 嫌な予感がした。


 ピンッと何かが弾けるような音が聞こえて俺に向かって手で敬礼してきた。



「Good luck!!」


 意味はわからなかったけど、良くない意味だと思った。



「セドリック、ダメだー!」


 直後、セドリックを中心に爆発が起こり、セドリックの周りにいたゼノモーフやゼノモーフの女王(クイーン)が吹き飛ぶ姿が見える。


 そのあとは煙で見えなくなったけど、気配でまだまだたくさん生きている奴がいるのはわかった。



「マイセン、どうするのか早いところ決めてくれ!」


 セドリックに気を取られていて、ディルムッドとガーゴがゼノモーフと交戦しているのに気がつかないでいた。


 限界領域(リミットリージョン)を使えばこの危機的状況を打破することはできる。 だけど間違いなく俺は死ぬか意識が飛ぶはずだ。


 そんなこと言ってられる場合じゃないよな。


 (キャロン)を抜いて限界領域(リミットリージョン)を使おうとしたその時だった。


 まるで突風が吹いたかの様に何かが背後から走り抜けてきた。



「貴公が、マイセンか?」


 俺の目の前に燃える様に美しい金髪を靡かせ、貴族服を着てらんらんと赤い眼をした人物がいる。


 気配が感じられない……アンデットなのか?


 新たに現れた存在に注意を払いながら頷いてみせた。



「間に合った様で何より。 あとは我に任せて休んでいてくれたまえ」

「お前は何者だ?」

「我は不死王、我が友セーラムの援軍として参った」


 不死王……よくわからないけど、少なくともセーラムの知り合いであるのなら敵ではないんだろう。


 会話をしながらも長く伸ばした爪で、近づくゼノモーフを優雅に切り裂いていく。

 吹き出すゼノモーフの酸を浴びても瞬時に治っていた。



「おーい!」


 背後から声が聞こえて振り返ると手を振ってくるセーラムとリセスドの姿が見える。



「なんとか間に合ったのかな?」

「よかった、2人共無事だったんだ」

「うん、そっちは……あ……」


 セドリックの姿が見えないのに気がついて、セーラムが黙り込む。



「セドリックは死んだのか」

「自爆した」

「そうか……」


 ディルムッドの答えにリセスドが残念そうな顔を見せる。



「ノンビリとは言われたけど、セドリックの仇も打たないとね」

「そう、だな」

「よし! 全員で一掃しよう! セドリックの敵討ちだ!」


 1人戦う不死王の方へ俺も向かっていくと、すぐあとをガーゴが付いてくる。



 玉座の間は今もなおゼノモーフが湧き出てきていて、仲間の居場所もわからない様な混戦状態になった。

 仲間に被害が出ない様、至近技の剣圧(ソードプレッシャー)を駆使しつつ、酸を浴びない様に『(オーラ)』で斬っていく。

 仲間もそれは同じ様な状況だろう。 セーラムが攻撃魔法を使っている様子はない。



 永遠とも思えるほどの戦いが続いた。


 


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