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異世界の武器

 セドリックが音を立てないように慎重に何かを組み立てていく。



「ふぅ……これでまずは1つ完成ですな。 あとはマガジンを取り付ければ準備完了ですな。 次は……」


 更にセドリックがバックパックから何かを取り出して組み立て始める。


 ガーゴが先ほど組み上げたものに触れようとすると、セドリックがガーゴの手を掴んでにこやかに首を振ってみせた。



「知識の無いものが不用意に触っていいものじゃないですな」

グア……


 温厚なセドリックらしからぬ殺気を含んだ言葉にガーゴもおとなしく手を引っ込める。


 よくわからない形状をしたものを次々と組み立て上げていき全部組み立て終えたようだ。



「詳しい説明は抜きにしますがな、戦術としてはまずこいつを使って一度そこを火の海にしますな。 そのあとはこいつで向かってくるやつを撃ち殺していくだけですな」

「俺たちはどうしたらいい?」

「そうですな、下手に前に出られると危険ですから……後ろで見ててもらえますかな?」


 そう言うとセドリックは1番でかいものを持ちながら、這いずりながら玉座の間に近づいていく。

 止めようとしたらセドリックにシッと黙るように合図された。



「マイセン、ここはセドリックに任せてみよう。 ララノア女王が生まれる前にあった大戦で、爆弾とかいうものを使った異世界人がいたと聞いた事がある」


 ディルムッドの話によると、その爆弾とかいうのを使うと、訓練を重ねた騎士たちでもただの村人に簡単に殺されるほどだったらしい。



 そんな話を聞いているうちに、セドリックは攻撃するのに適しているであろう場所まで移動したようだ。


 セドリックが筒のようなものを構えてから俺たちの方を向いて何やら手で身振りしてくる。



「あれは何をやってるんだろう?」

「さあな」


 ディルムッドがわからないとジェスチャーしてみせると、セドリックが苦笑いをしながら自分の目を指差したあとゼノモーフたちを指差してきた。



「見てろって事かな?」

「ふむ」


 とりあえず隠れながら玉座の間が見渡せる位置に移動するとセドリックが頷いてきたため間違いじゃなかったようだ。




 その後、突如ドシューと物凄い音が鳴ってセドリックの持つ筒が煙を噴き上げている、と思った瞬間、まるで火球(ファイヤーボール)の魔法のように爆発した。

 床一面が火の海に変わり、卵は次々と炎に包まれていく。 中にはフェイスハガーに孵化して逃げ出そうとするのもいたが、すぐに炎に飲まれていった。


 それでセドリックが筒のようなものを床に置いて、今度は別のものを構えると、バババッ!、バババッ! と音を立て始めてゼノモーフの方へ顔を向けると酸の血を撒き散らせながら次々と倒れていく。



「なんだあれは!? 音だけでゼノモーフを殺すというのか」

「ディルムッドよく見て、倒れるゼノモーフの体から酸が噴き出してるからきっと何かあそこから出てるんだよ」


 ガーゴを見てみると、その有り様を目の当たりにして口をだらしなくあんぐりと開けたままだ。


 セドリックの攻撃でゼノモーフたちはどんどん倒れていくけど、ゼノモーフの女王(クイーン)を守るようにわが身を盾にしているため、ゼノモーフの女王(クイーン)たちは無事なままで怒りの声が上がっている。


 ゼノモーフたちもセドリックの居場所がわかると一斉に飛びかかり出した。



「マズいぞ!」

「助けに……」


 立ち上がろうとした時だ。



「来るなぁぁぁぁぁぁぁ!」


 セドリックが立ち上がって攻撃をしはじめる。

 先ほどまではバババッ! という音だったのが、今度はドバババババババババババっと音が止まる気配がない。 その振動に合わせるようにセドリックの上半身も小刻みに震えている。

 それに応じて飛びかかってくるゼノモーフたちも近づけずに次々と倒れていった。



「あれが異世界の武器という奴か」

「す、凄い……ゼノモーフがどんどん倒されていってる」


 あらかたゼノモーフを倒したところで怒り狂ったゼノモーフの女王(クイーン)たちがセドリックに向かいだした。

 セドリックはなおも異世界の武器で攻撃し続けているけど、ゼノモーフと違いゼノモーフの女王(クイーン)はそう簡単には倒れてくれない。

 それでも時間がかかりながらも1体、2体とゼノモーフの女王(クイーン)すらも倒していった。



 だが……


 カチンッ! カチンカチンッ!


 突如轟音が鳴り止んだ。


 セドリックが明らかにマズいなって表情に変わり、最後に組み立てて腰に差し込んであったものを取り出すと、その場から逃げるように移動しながら今度はパンッ! パンッ! という単発音を鳴らしてゼノモーフの女王(クイーン)を攻撃している。



「あれがクロスボウのようなものだとすれば、おそらくは矢が尽きたといったところか」

「なに冷静に分析してるんだよ!」

「そりゃ決まっているだろ? あと残るはたったの8体だ。 マイセンの居合斬りがあればどうという数じゃない、違うか?」


 セドリックの異世界の武器の凄さにすっかり忘れてた……


 俺たちも隠れ見ていた場所から飛びだす。

 残る数はゼノモーフの女王(クイーン)が8体。 俺は身近なゼノモーフの女王(クイーン)の『(オーラ)』を読むと居合斬りを放った。


 ドシャっと崩れて残りは7体になる。

 ディルムッドも得意の瞬間移動を駆使して、まるでノミのように跳ね回りながら攻撃しだし、ガーゴもゼノモーフの尻尾で作った槍で俺に向かってくるゼノモーフの女王(クイーン)に突進していった。



「ガーゴは無理をしないで!」


 ガーゴが突進していくゼノモーフの女王(クイーン)を居合斬りで倒してから叫ぶ。


 グア!


 振り返ったガーゴが方向転換して俺の元に戻ってきたから、てっきりわかったのだとばかり思った。

 次のゼノモーフの女王(クイーン)の『(オーラ)』を読んで、居合斬りの体制に入って放とうとした瞬間、ガーゴが俺に向かって飛びかかってきた。




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