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決戦の地へ

 ゴーレムの報告に騒がしくなる。



「まず最初の敵ですな」

「いいえ、これはニークアヴォがあなた方だけで向かわせるためのものですわ。 それにしてもよりにもよってゴーレムとは……」

「ゴーレムがどうかしたんですか?」

「えっとね、ゴーレムって大抵魔法に対して強い抵抗力があるんだよねぇ」


 キャビン魔導王国の戦力はほぼ100%ウィザードだ。



「仕方がありませんわ、あなた達はゼノモーフの女王(クイーン)の元に直ちに向かってください。 ゴーレムはこちらでなんとかしますわ」


 もはや猶予はないと急がされて連れて行かれた先には、巨大な金竜(ゴールドドラゴン)が待っていた。



“僕が運ぶのは大山脈の麓までです”

「頼んだよオル君」

“それじゃあセーラムは今度こそ約束を守ってよね?”

「ウンウン」


 何か対価でも求められたのかな?


 乗り込んだ俺たちの馬車をガシッと掴む音が聞こえたかと思うとフワッと浮く感覚がして、次の瞬間、ドシュンッと急上昇した。



「セーラムは何か要求されたの?」

「まあねぇ」

「それってどんな?」

「えっと、オル君と結婚」

「ええっ! よ、良かったんですか?」

「ウンウン」


 ん? 発音がちょっとおかしいな。



「ちょっと質問いいですかな?」

「ウンウン」


 あれ? 発音が普通だ。 たまたま?



「今から口づけをする許可を頂けますかな?」

「ウンウン」


 あれ? また発音がおかしくなった。


「ふっ、なるほど……そういう事か」

「手慣れた様子だな」


 ウンウン、つまり、うううんと答えている発音だ。

 ちょっとだけオル様が可哀想に思えたのは黙っておこう。




 馬車にいるのは俺とセーラム、リセスド、セドリック、ディルムッド、そして最後まで頑なについてきたガーゴだ。



“翌日には着くと思うから休んでおいてね”


 そんな声が聞こえてくる。



「それじゃあお言葉に甘えさせてもらおうか」

「それが良さそうですな、次はいつ休めるかわかりませんからな」


 なんだかんだディルムッドはすんなりみんなに受け入れられている。



「火は使えないからこれでも食べておいて」


 セーラムがクッキーのようなものを割って全員に手渡してくる。



「これだけなのか?」

「それ以上食べたら動けなくなるよ?」

「なるほど、エルフの携帯食というヤツですな」


 そう言ってセドリックが口に放り込んで咀嚼した後飲み込むと、ふぅぅぅとお腹をさすって見せてくる。


 俺も口にすると驚く事にこれだけで満足する。



「うわっ凄いお腹が満たされた」

「んふふ」


 嬉しそうな顔でみんなの満足そうな顔をセーラムが見つめている。

 可愛らしいその笑顔からは想像できないほどの強さも持っているにも関わらず、決して偉ぶらない。



「どうかした?」

「マイセン浮気は良くないぞ?」

「ち! 違うよ! ディルムッドおかしなこと言わないでくれ」

「しかし女帝は結婚しないんですかな?」

「んー、もし結婚して子供ができたとしても、私の場合子供の方が先に亡くなっちゃうでしょ? そんな思いはしたくないの」

「なるほどな」




 到着までの間全員が横になる。


 俺の横にはセーラムが横になってて可愛らしい寝息を立てている。


 寿命で死ぬことがないっていうのもまた辛いんだなぁ……





 目がさめるとセーラムが俺にくっついて寝ていた。



「サハラ……」


 焦る俺をよそにセーラムが寝言を口にする。

 セーラムはサハラ様の事をサハラと呼ぶ時とパパと言う時がある。 なんとなくだけど、セーラムが好きな人はサハラ様なんじゃないかと思った。


 サハラ様は既に3人奥さんがいるけど、どうしてセーラムは奥さんにしなかったんだろう?

 可愛らしく眠るセーラムを見つめながらそんな疑問を考えていた。



“そろそろみんな起きて準備してね”


 頭上からオル様の声が聞こえてみんなも身体を起こしだして、伸びをしたりあくびをしたりしている。

 セーラムも特に何事もなかったように起きて、大きな口を開けてあくびをしている。


 スッ……


 パクッ


「んあ!?」

「あはは、ひっかかった」

「ぶー!」


 よく孤児院で兄弟たちにやっていた事をついやってしまう。

 ふとしでかした相手が誰だったか思いだして謝る。


 セーラムはニッコリ笑って、畏まった態度をしないで接してくれるのは嬉しいって言ってくれた。



“真下を見てみてよ”


 全員が馬車から顔を出して覗き込んでいる。

 遅れて俺も覗き込もうとしたけど、その前に目の前に広がる大山脈に目が奪われ、それから下を覗き込むと、そこは真っ黒になっていた。



「おいおい、まさかアレ全部ゼノモーフか?」

「そのようですな」

「特大級もかなりいるようだ」


 どう見ても大山脈の麓で俺たちが降りられそうな場所がないほどのゼノモーフが群れていた。


 そんな中、



「よぉっし! オル君、ドラゴンブレス行っちゃえー!」



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