なんで怒っているんだろう
今僕はなぜかソティスさんに怒られている……僕はお客さんではなかったのだろうか。
「だからぁ、さっき握手してたのは何なの?」
「仲間……というよりパーティに加わった挨拶みたいなものですよ」
こんな感じでいろいろと聞かれまくる。 あまつさえ、好きなのかとかまで聞かれる始末だった。
好きとか嫌いとかいうより、まだ全然キャロンさんの事なんにも知らないのに……
「そもそもソティスさんはなんでそんなに怒ってるんですか?」
「それはぁ! ……はぅ」
「はぅ?」
「もういい! なんでもないんだから!」
やっと解放されたみたいだけど、結局のところソティスさんが怒っていた理由はわからないままだった。
この後はヴェルさんたちかぁ……
そう考えただけで気が重くなってくる。 でもヴェルさんが言った、1人では行かないことは、キャロンさんが加わったことで解決しているから、案外すぐに終わるかもしれない。
下宿先に戻るとなぜかヴェルさん、ウルドさん、スクルドさん3人が揃って僕の帰りを待っていた。
「お帰りマイセン君」
「少年、待っていたよ」
「マイセン君、ガンバ!」
……はい!?
というわけで、僕は今3人に囲まれて昼の続きの説教をされている。
結局、次に1人で竜角山に行ったのがわかったら、ギルドで用意した人と一緒に行ってもらうなんて言われてしまう。
それはそれで僕の身の危険を感じるんだけどなぁ……
「大丈夫です! 仲間もできたので明日からは僕1人じゃありません」
そう言うと3人が驚いた顔をみせる。
「そう、ならいいわ」
「明日確認させてもらうぞ、少年」
「なんだか妙な胸騒ぎがするのは気のせいですよねぇ?」
これでやっと解放されて、僕は温泉に浸かって今日1日の疲れを流して部屋に戻った。
なんだろう、なんか据えたような匂いがするような?
微かな匂いのため特に気にしないで眠りについた。
朝になってだいぶ着慣れた革鎧と剣を腰に下げて、背負袋を持って冒険者ギルドに向かう。
入り口からキャロンさんの姿を探したけど見つからなかったから、先にヴェルさんのところに行って朝食代を受け取る。
「そうだ、後で取りに来るので背負袋の中身をお願いします」
「中身は全部ギルド引き取りでいいのかしら?」
はいって答えて〔ヒヨコ亭〕に向かう。
昨日のことがあってちょっと行きにくかったけど、このままなのも良くないと思う。
「おはよう!」
と思ったばかりなのにソティスさんが元気に挨拶してきたからなんだか拍子抜けしちゃう。
「おはようございます、昨日はゴメンなさい!」
「えっとマイセンさ、どうせ理由わかってないんだろうから謝らなくていいよ」
「じゃあ、理由を教えて。 そうしたらちゃんと謝れると思います」
って言ったんだけど、顔を真っ赤にするだけで答えてくれない。
「あのぉソティスさん?」
「も、もうね、怒ってないから。 だからこれ以上追求するのはやめて欲しいな」
「……はい」
うーん、なんだかわからないけど、ソティスさんがそう言うのならいいのかな……
料理を持ってきてくれて、僕が食べているとソティスさんは何も言わないで眺めている。 正直食べにくい。
「ねぇ、マイセンって好きな人とか憧れてる人……異性でいる?」
「いますよ?」
「え! ウソ!? 誰? 教えられる人?」
僕がその名前を口にするとため息をついてきた。
「そうだよね、マイセンって初めて会った時から変わらないよね」
って言うかまだ数日しか経ってないんだけどなぁ。
1人納得するソティスさんをよそに僕はわけがわからないまま冒険者ギルドに戻った。
次話更新は明日の朝6時頃を予定しています。




