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特大級

 これはいったい……俺には『(オーラ)』で相手の動きが読める。 だけどそれは集中して相手の『(オーラ)』を読んでいるときに限っているのにくわえて、普段安全なところまでそんな疲れるような集中はしていない。



「なんで? どうして? いつのまに!?」

「まぁなんと言いますかな……彼女は怪しかったんですな」

「猫ちゃんが約束を破ってまた?」

「いえいえいえ、チェシャじゃなくてですな、怪しかったのはスカサハのほうなんですな」


 俺にはスカサハがそんなことをするなんて考えもつかない。 それぐらいスカサハにはいろいろ助けてもらってきた。

 ただだからと言って鍵がなくなっているのも事実、なのでとりあえずセドリックに根拠を聞く事にした。



「そう思う理由を聞かせてもらえるかな?」

「んー、実はですな……」


 セドリックはスカサハと一緒に行動を共にしているときに違和感を覚えたのだそうだ。

 それは……



「なぜ彼女はデスの事にそんなに詳しいのですかな? そりゃあデスのメンバーが揃いの刺青をしている事ぐらい知っちゃいますが、股間にというのはさすがにシーフギルドでも知られていない情報なんですな」


 少なくともセドリックのシーフギルドではそういう話を聞いた事がないらしい。

 それ以外にも不自然過ぎるほどのタイミングで俺に接触してきたこと。

 そして何よりも……



「チェシャがスカサハの事を師匠と呼んでいたようですがな、シーフはシーフギルドに加入しないでその秘術を教えるのはいかなる理由があろうと禁じられているんですな」


 シーフギルドには掟があるのだという。 しかもそれだけはどこのシーフギルドでも共通なのだという。


 そこで思いだした。 スカサハが俺たちと行動を共にするようになったのも、猫ちゃんの師匠になるという理由だったことを……



「どうしたんだい? 揃いも揃ってまさかへばってるなんて言わないだろうね?」


 そこへ治療を終えたシスターテレサが戻ってくる。

 シスターテレサにも今の話の事を話すと、呆れた様子で俺を見てきた。



「てっきり身元もちゃんとした仲間だとばかり思っていたんだけどねぇ……」

「身元だってちゃんと冒険者ギルドで紹介してもらった人でしたよ」


 シスターテレサがため息をひとつついた後、一度町に戻るか俺に聞いてきた。



「俺が見てこよう。 俺1人ならすぐに戻れる」


 その役をディルムッドが引き受けてくれる。

 確かにスカサハと同じドラウのディルムッドなら瞬間移動もできるし、間違っても遅れをとることはないだろう。 ただ……



「それでもし本当にスカサハが持っていたらどうするつもり?」

「その時はもちろん……」






 ディルムッドは単身で孤児院の方へ戻っていき、俺たちは特大級を探すのを再開する。

 居住区をあらかた捜索し終えたけど特大級の所在はつかめなかった。



「そろそろ日が落ちる」


 リセスドが口にする。

 あれからディルムッドは戻ってこないままだった。


 何かあったかもしれない不安もあったし、日ももう落ちようとしているため討伐隊全員に帰還する指示をだした。

 


 そしてそんな時に限って嫌な報告が入ってくる。

 孤児院に戻るために抜けなければならない町の中央辺りに、物凄い数のゼノモーフの集団が集まっているというものだった。



「どうしよう……さすがにあの数を相手となると被害も出ちゃうし、かといって迂回すると戻る頃は真っ暗になっちゃう」


 覗き見ると今までに見たことがないような数のゼノモーフがいて、さすがに尻込みしてしまう。



「そこはそれよりもなぜあんなに集まっているのか? が重要なところですな」


 そういってセドリックが手に持って覗いていた物を手渡してくる。

 それは貴重な望遠鏡だった。



「あそこ、あの辺りを覗いてみれば答えがわかると思いますな」


 言われた通りに手渡された望遠鏡で覗く。 初めて使うから逆に覗いてしまって慌てて反対にして見ると……納得した。



「あそこに特大級がいる……」


 なぜわざわざ姿を見せてきたのかはわからないけど、確かにゼノモーフの女王(クイーン)に酷似した姿があった。


 この事を討伐隊の全員に告げてどうするかを確認すると、声や音を立てずに全員殺ろうという意気込みを頷いて見せてきた。




 素早く各討伐隊隊長にあたるパーティリーダーに前もって特大級が見つかった時の作戦で戦うように言うと、それぞれのパーティごとに行動を開始しはじめた。


 30人、5パーティが作戦通り特大級を除くゼノモーフの誘導をするために分散して、タイミングを見計らって一斉にまずは遠距離武器による攻撃を開始した。



「特大級の周りが手薄になったら突撃する」


 確認してから俺は特大級の『(オーラ)』を感じ取ろうとした。



「チッ、数が多すぎてどれかわからない」

「まぁそんなにあっさりと倒せたら苦労はしませんな」



 徐々にゼノモーフたちが誘導されて分散していき、特大級の周りが手薄になってきた。



「今は全員ばらけてるんだからね、タイミングを見誤るんじゃないよ」


 手薄になってきても動こうとしなかった俺にシスターテレサが注意してくる。


 そうだった、今こうして特大級の周りが手薄になっているのもみんなが頑張ってくれているからだったんだ。

 なら行くなら今しかない!




次回更新は7日木曜日の予定です。


短いですが、次の話でこの章は終わります。


だんだんいろんな話が絡まりすぎてきていてわかりにくくなってきている気がしますが、たぶんちゃんと話は繋がっているはずですので……


それと明日の更新で書き溜めがピンチになってきたので更新が滞るかもしれません。

出来るだけ早く書き溜めて、またほぼ毎日更新させるのでご了承ください。

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