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嘘がバレる

 その日はもう遅くて冒険者ギルドには寄らずに下宿している建物に入った。


 中に入るとヴェルさん、ウルドさん、スクルドさんが待っていて、僕が戻ってきたことを喜ばれて、どこで何をしていたのか聞かれて答えると今度は怒られた。

 なんでそんな事をしたのか聞かれて、麓で仲間はずれにあったからなんて事は言えるわけもなく、早く強くなりたかったって適当に答えて誤魔化した。



「とにかく朝食代も取りに来ないからと思って、見に行ったらいないじゃない? 私すごく心配したのよ!」

「私も仕事にも集中できなくて、ミスしっぱなしだったんだぞ、どうしてくれる少年」

「ウルド先輩、それはいつものことじゃないですか? って、いひゃい、いひゃいれふ、ひゃへへふだひゃい」



 僕は3人に心配をかけてしまったみたいだった。



「でもなんで皆さん、そんなに僕の事を心配してくれるんですか?」



 ………………あれ? 急に黙り込んじゃった?



「……私、明日早いんだった、おやすみマイセン君」

「私も朝からミスの修正作業しないといけなかったな」


 なんだか急にそそくさと部屋に戻っていっちゃった……



「あはは、先輩たち素直じゃないですよね? 私たちみんな、マイセン君の事が好きなんですよ。 それじゃあね、ちゃお」


 えーと……?




 僕も部屋に戻ってベッドに横になる。


 ……あ、お腹すいたなぁ、携帯食半分しか食べ……て……ない……や…………







 目がさめると太陽の位置からお昼に近い。



「寝過ごしたぁぁぁぁぁ……って今日は昨日のこともあったし、のんびりしようと思ってたんだったっけ……」


 昨日1人で竜角山に入って迷子になったこと、特にオーガと死闘を繰り広げたことを思い出して思わず身震いする。


 そうだ……昨日倒した奴から漁ったの冒険者ギルドに持っていって見てもらおう。




 武器も防具も必要ないから、背負袋(バックパック)だけを持って冒険者ギルドに向かう。


 さすがに時間もお昼に近いせいか、冒険者ギルドの中に冒険者はほとんどいない。



「ちょっと、ちょっと!」

「あ、ヴェルさんおはようございます」


 慌てた様子で僕の側まで駆け寄ってくる。



「おはよう……じゃなくて、ちょっとあの子とはどういうお知り合いかしら?」


 そう言ってくるヴェルさんの目がちょっと怖い。

 あの子? そう思いながらヴェルさんが顎で示す方角を見ると、女性が1人、ギルドにある椅子に鼻歌を歌いながら座っている。

 でも後ろ姿で誰だかさっぱりわからない。



「さぁ? 僕を訪ねてくる可能性のある女性っていったらシスターテレサとヴェルさんたちと、〔ヒヨコ亭〕のソティスさんぐらいですよ?

一体なんて言ってきたんですか?」

「そうなのね、あ、うううん、今のはこっちの話で、えっとマイセン君と同じ冒険者で……」


 ヴェルさんが僕の名前を言うと鼻歌が止まって振り返って、僕の顔を確認すると頭をペコッと下げてから近づいてくる。


 なんとなく見覚えがある気がするような?



「昨日はありがとう。 私、ちゃんとお礼言うの忘れてた」

「昨日?」


 昨日誰か女の人と会ったっけ? もしかしたら朝の携帯食を買ったところ……違う、言い途中だったけどヴェルさんは冒険者って言ってた。


 そこでツンツンと僕を突いてきて、着ていたローブのフードをかぶってみせてくる。



「——————————あっ!!」


 僕が声をあげるとフードをまた後ろに戻してニッコリ笑顔を見せてきた。



「私の名前はキャロン、昨日は助けてくれてありがとう」

「え! じゃあキャロンさんが昨日言っていた、道に迷ったマイセン君を助けてくれたって言ってた人!?」


 僕がキャロンさんに言葉を発するより先に、僕の横にいるヴェルさんが返した。



「あー、えっとぉ……」


 僕は昨日は道に迷ったと報告したけど、死にかけたことは言ってない。 だけど、ヴェルさんはキャロンさんからきっと報告を受けているはず……



「マ、イ、セ、ン、く〜ん? 私たちが昨日聞いたのとは随分と話が違うと思うわよね?」



 その後、騒ぎを聞きつけたウルドさんとスクルドさんが何事かと話を聞きに来ると、他にいるギルド職員さんたちに混みだす時間まで休憩するっていって、隣の下宿先に連れて行かれて3人に延々と説教をされる羽目になってしまった……



 言うまでもなく、僕のお腹は空腹状態のままで、お腹と背中がくっつきそうだった。




次話更新は、明日6時頃を予定しています。


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