表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
239/285

後方の憂いを断つ

新章です。

 鍵を手に入れたからキャビン魔道王国に向かう事になるのだけど、ここで1つ大統領……というかシスターテレサがディルムッドとリセスドから聞いた事で俺たちに頼みごとをしてきた。



「世界が優先なのはもちろんわかっているつもりだよ、でもねここもこれだけの大所帯になってくると食料やらの限界もくるんだよ」


 シスターテレサは俺たちにこの霊峰の町にいるであろうゼノモーフの女王(クイーン)のような存在を討伐して欲しいと頼んできた。

 確かにゼノモーフの女王(クイーン)のような奴を倒せば、ゼノモーフたちも指揮系統が狂って四散するからだ。

 しかもギルガメシュさんたちが実際に宿場町を確認しに行ったところ、あちこちにゼノモーフたちの死体が転がっていたという。 まだ生きているゼノモーフもいたようだけど、丸くなってもはや戦意を失い死を待っているような状態だったそうだ。



 この判断を勝手にできない俺はキャス様に顔を向ける。



「ん〜、想定外だったとはいえ確かにそれで一時的にでもゼノモーフたちがいなくなるなら先に倒しておくべきかもね」

「一時的なんですか?」

「たぶんね〜」


 キャス様はディアさんがいる限りいずれはまた同じ事が起こりえると言ってくる。



「ねぇ、それなら私の方も自分の国の奴を倒してきたいんだけど?」


 今のを聞いてセーラムが口を出してくる。

 国の事は他人(ひと)に任せっきりと言っていたけれど、やっぱりそういうところは国のトップなんだと思った。


 それに対してセドリックやリセスドたちは別に王族でもなんでもないからどうでも良さそうだ。



「セーラムは魔法でパーッと行き来できるし、霊峰(ここ)だけ特別扱いはできないかぁ。 うん、わかったよ。 じゃあセーラムは自国の後方の憂いを断ってきて」

「はーい。 それじゃあマイセン、ちょっとだけ行ってくるね」

「うん、まぁ余計なお世話かもしれないけど……気をつけてね」


 にっこり笑って手をパタパタさせるとセーラムはテレポートしていった。



「じゃあ僕も1度キャビン魔道王国に戻ってウェラさんとキャビン女王に伝えてくるよ」


 じゃね〜と言うとキャス様もテレポートして消えていく。






「それじゃあ俺らも討伐隊を組まないといけないんだけど……セドリックとリセスドは今後の事もあるから当然一緒に来てもらうとして……」


 ここでゲッコとガーゴがグアグア何かを言いだす。 これはさすがに言葉のわからない俺でも一緒に行くと言ってるんだろうとわかった。



「わかったよ、ゲッコとガーゴも頼むよ」


 グアッと2匹が揃って返事を返してきた。



「言い出しっぺが行かないわけにはいかんだろう?」

「シスターテレサ!?」

「なんだい、私じゃ役に立たないとでも言うのかい?」


 だってシスターテレサは今、神聖魔法が使えないんじゃ……



「その顔からすると私が使い物にならないとでも思ってるんだろうよ?」

「んふふ、そこは私がサポートするから問題ないわよ、ん?」


 ひょこっと【愛と美の神レイチェル】様が現れてくる。

 今まで神様という存在は凄く偉大というか、雲も上の存在というか、とにかくとてつもない存在だとばかり思っていた。 でもとてもフレンドリーに接してくる【愛と美の神レイチェル】様を見て、神様というのを忘れて妙な親近感を覚えてしまう。



「という事は……今、シスターテレサは神聖魔法が使えるって事ですか?」

「まぁそういう事だねぇ。 というか【愛と美の神レイチェル】様がお前さんたちと行くなんて言い出されたらこうでもしないと引き下がってはもらえないだろうよ」

「うわわ! それってまるで私があなたの事を脅迫したみたいじゃない? ね、あなたもそう思うわよね?」


 ここで俺は初めてあのシスターテレサが必死になってごまかす様を見た。

 まぁいつもの調子で言ったつもりだったのだろうけど、今回の場合は相手が【愛と美の神レイチェル】様だったのを忘れていたようだ。



「さすがのシスターテレサも【愛と美の神レイチェル】様の前だとうろたえちゃうんですね?」

「当たり前だろうこのバカタレが!」

「シスターテレサ? マイセンは怒られるような事言ってないと私は思うよ、ん?」

「はっ! お、お許しくださいませ……」


 とそんな訳で、【愛と美の神レイチェル】様の手前タジタジになっているけれど、神聖魔法が使えるシスターテレサが加わってくれたのは大きい。

 何よりシスターテレサと一緒に戦う日が来るなんて思っても見なかった。


 ちなみにイシスさんも同じように【愛と美の神レイチェル】様のサポートで神聖魔法が一時的に使えるようになっているけれど、より集団戦に効果を発揮する聖歌の力があるため残ってもらう事に。



 となれば当然……



「私も行くぞあなた!」

「アラスカはだーめ! そんな事言うならサポートしないわよ、ん?」


 アラスカも【愛と美の神レイチェル】様のサポートで騎士魔法が使えるようになったため一緒について来ようとしたけど、【愛と美の神レイチェル】様により本当にいざという時のために残るようにいわれて、俺からもお願いしてなんとか諦めてくれた。



「【愛と美の神レイチェル】様、くれぐれもアラスカの事をお願いします」

「私に任せておいてもらえればバッチリ大丈夫、うん!」


 ……不安は残るけど【愛と美の神レイチェル】様を信じよう。



 これで俺とセドリックとリセスド、ゲッコとガーゴにシスターテレサになった。

 前衛だらけな俺たちを見て、キャビン魔導王国の魔導騎士が助力を申し出てくれたけど、シスターテレサが丁重にお断りをする。


 あとで理由を聞いたら、ホープ合衆国がこんな状況だというのにあとで対価を求められたら困るからなんだそうだ。

 いくらなんでもキャビン女王はそんな事はしないだろうって思ったけど、要求されなくても些細な頼みごとであっても無視する事は出来なくなるという事らしい。



「それが国と国というものなんだよ」




次回更新は3日の夜の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ