表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
226/285

コミュニティのルールと協力者

 武器を預けるとミシェイルさんが次のルールを言いはじめる。



「さてそれでは次のルールですが……」

「待った! ちょーっと待ってくださいな。 確かに幾つかルールがあるとは言っていたと思いますがね、武器不所持(これ)以上にきっついルールだったらさすがに即刻出て行かせてもらいますよ?」


 次のルールを言いかけたところをセドリックが口を挟んでくると、ミシェイルさんは手をパタパタさせてくる。



「ご、ご安心ください、それでは残りのルールを全部言ってしまいます」




 ルールは細かいものを加えるとなんだかんだで結構あるようで、それをミシェイルさんが説明してきた。


武器の携帯は禁止、暮らしの手伝い、コミュニティに害をなす行為などなど他にも色々あったけど、要するにミシェイルさんに逆らうなというようなものだろう。



「この様な感じですが、もし納得いただけず、出て行かれるというのであれば致し方ありません」

「ん〜まぁ至極当然な感じですな」


 俺たちの役割は後で伝えに行きますと立ち去っていった。




「ここはどうも居心地が悪いわい、さっさと探すもん探してズラかるとするかのぉ?」

「それが良さそうですな、ここはどうにもカルト的な匂いがプンプンしますな」

「1つ気になるんだけど……」


 俺が気になった部分を話しだす。

 それはアレだけいた冒険者たちの姿が見当たらない事だ。

 考えられるのはゼノモーフの襲撃でヤられた辺りだろうけど、それにしたっていなさすぎると思った。



「確かにここは冒険者たちにかなり人気の場所ではありましたなぁ」

「きっとここの居心地が悪くて出て行ったんじゃろ」


 2人の意見を聞いてそれもあり得るだろうとは思った。 それに残ってる中にも冒険者らしい人も少なからずいる事はいる。



「明日まではまだ時間もあるし、ちょっと探したい人がいるんだ」


 もちろん探したい人とはトールさんの事で、一緒にガラナさんも居るはずだ。



「ふむ……では手分けをするのはいかがですかな? リーダーはその人を、こっちはチェシャの言った場所を探す」

「そうじゃの、どうせ儂らが探そうにも知らない相手じゃからな」


 手分けをする事に若干不安を覚えるものの、セーラムたちに言った制限時間は明日までだ。

 それまでに戻らないと何かあったと思われて交戦的な事をされたらマズい。



「わかった、それでお願いします」




 夕方ここで落ち合う事にして俺は2人と別れて行動を開始する。

 ここ古城のある小島は小島と言えどそこそこの広さはあって、1周するのにざっと1時間ほどはかかるだろう距離はある。


 もっとも今ここで暮らす人たちはみんな古城の正門側の広場周辺で、トラジャとセドリックが向かった古城裏手にはあまり人がいない様だ。



 まずは話を聞けそうな人を探して……


 たくさんいる中冒険者風の男性に声をかけた。



「あの、人を探しているんですが……」

「ん? ああ、さっきここに来たっていう新人か? 一体誰を探しているんだ?」

「トールという名前のドワーフなんですけど」


 トールという名前を言った直後、冒険者風の男の目つきが変わる。



「トールに何の様だ」


 その声は低く、警戒した顔を見せた。



「以前一緒に迷宮に入るときにパーティを組んだ事があって、解散する時にトールさんはガラナさんとここに残るって言っていたから探してみようと思ったんですけど……」


 そう言うと若干警戒を解いたようで、ついてきなと場所を移動しはじめた。


 ついていくと人気が少ない場所に連れて行かれ、数名いる人たちに目配せをしはじめた。



「お前の問いに答える前に幾つか質問させてもらう。 まずは……」


 いくつか質問されて答えていき、それに対して俺はほぼイエスかノーで答えた。

 こうする事でこちらの余計な情報を与えないで済むとギルガメシュさんに教わっていたためだ。



「つまりここへはトールに会いに来たというわけだな?」

「ええそうです、そろそろ俺にも質問させて貰ってもいいですか?」

「ああそうだったな」


 まずはトールさんの居場所を聞くと小島(ここ)にはいなくて、町のどこかに潜んでいるだろうと教えてくれる。

 そうなれば当然なんで潜んでなんかいるのかを尋ねる。


 すると冒険者風の男……ホークさんが今日までのこの町で起こったことを話しだした。



 迷宮から湧き出たゼノモーフの襲撃があった日、古城にいた冒険者たちが応戦したけど撤退できた人たち以外は全員やられてしまったのだという。 トールさんはガラナさんと共に冒険者ギルドのマスターと相談してある作戦を実行したそうだ。

 それはゼノモーフを町の方へおびき出している間に迷宮の入り口を封鎖し、生き残った者は小島に逃げ込んで橋を焼き払うというものだった。


 多大な犠牲を払う事になったが、なんとか成功したのだそうだ。



「それって逆の方が良かったんじゃないですか?」

「町に押し寄せてきたバケモノの中にひときわデカイ奴がいてな……」


 大量にいるゼノモーフと戦いつつゼノモーフの女王(クイーン)を倒すのは無理だったのだそうだ。


 それで最初こそは安定していたそうだけど、当然小島の物資は少なくてすぐに物資が底を尽きていく。

 選ばれた者たちが小舟を使って町へ行き、物資調達をする様になったそうだ。

 そんな中いつの間にか仲間を増やし大きな勢力になっていたミシェイルさんが支配権を握りだしたのだそうだ。

 当然反対する者も出たけど、その頃には反対する者はすでに少数しかいなく、小島(ここ)を出て行く者が出たのだという。 その中の1人がトールさんだった。



「いったいなんで対立したんですか? 見た感じじゃ平和そうじゃないですか」

「あいつ……ミシェイルはな、あのバケモノたちを崇拝してやがるカルト野郎なんだよ」


 声を低く、でも怒りの籠った声でホークさんはそういった。



「俺はあいつを絶対に許さない。 そのために俺と数名はここに残って、トールたちと連絡を取り合っているんだ」


 ミシェイルさんたちと何かあったんだろうか……

 それを聞こうとした時、不審者発見の声が上がった。



次回更新は17日木曜日を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ