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ゲートの先には

新章に入ります。

 魔導門(ゲート)を抜けた先はキャビン魔導王国に向かった時にキャス様が魔導門(ゲート)を作った場所とほぼ同じ場所だった。

 それはつまり……



 キシャー! キシャー! キシャー!


 ゼノモーフたちが距離を置いて魔導門(ゲート)の周りに集まっていて、興味津々な様子で見つめる中俺が姿を見せたという状況になった。


 最悪だ! このまま魔導門(ゲート)に入り込んで戻りでもしたら、あいつらもこぞって付いてきかねない。

 前回キャス様が魔導門(ゲート)を閉じているのを見たから、きっと自力で閉じなければ自然と消えるまでは自由に行き来できる可能性はあるし、それを学習でもされたら次からは魔導門(ゲート)を開けた直後に入ってきかねない。



 ゼノモーフたちは突然現れた俺の姿に驚くものの、 すぐに襲いかかろうとしてきた。


 この数相手にたった1人、しかも今から数秒後までは誰も来ないし来られても大変だ。


 これだけの数相手に限界領域(リミットリージョン)を使えば倒れるのは確実、最悪死ぬかもしれない。

 それでも使わなければどちらにしてもこの数相手じゃ間違いなく俺は死ぬ。 だったら託すしかないか……そう思って限界領域(リミットリージョン)を使おうと思った瞬間、ゼノモーフたちの悲鳴が聞こえはじめて動きが止まった。



「休むな! どんどん放て! 何に気を取られているのかわからないが、せっかくまとまって注意が削がれているこのチャンスを逃すな!」


 ギルガメシュさんの声が聞こえて弓で掃射しているのは間違いなさそうだった。


 体感的に魔導門(ゲート)を越えてくるまで残り5秒あるかないか……それまでに矢が打ちやむ可能性は低そうだ。



衝撃波(ショックウェーブ)!」


 真上に向かって衝撃波(ショックウェーブ)を放つ。

 こんな使い方は初めてで、自分でもどうなるかわからなかったけど、とにかくギルガメシュさんに居場所を知らせるしかなかった。



 これで分かってくれるのを期待するしかない。


 そう思いながら俺に迫ってくるゼノモーフを倒しながら魔導門(ゲート)を守っていると、少し経ってゲッコとガーゴの姿が出てきて状況がわかるやいなや耳をつんざくような声をあげた。



 ギャギャ、ギャギャギャギャギャギャッ!

(うお、囲まれているぞっ!)

 グエッグアッグオッ!

(マジかよおいっ!)


 完全武装だった2匹はたぶん驚いたんだろう声をあげた後はすぐに攻撃に転じ初めて、突いて攻撃してねじ伏せてから体液をできるだけ浴びないように戦っている。

 それでも飛び散ってきた体液は上手にゼノモーフの籠手や兜で受けたり避けていた。



「なんじゃこりゃあぁっ! 敵中真っ只中じゃぁぁぁぁ!」


 続いてトラジャが出てきてやっぱり驚きの声をあげたけど、予測していたのか手に持った棍棒(クラブ)で殴りはじめた。


 あんなもので殴ったら体液が飛び散りまくるんじゃないかと思った矢先に……



「どうじゃ痛いじゃろう? コイツは殺傷力こそないが、当たればただただ痛いぞ?」


 それじゃあ意味ないんじゃないか? と思ったけど、ゼノモーフにも痛覚はあるらしく、殴られたゼノモーフはキシャーキシャー鳴くもののトラジャに近づこうとしなくなった。



「一体なんなんですかその武器は!?」

「コイツはトーチャメイス、名前の通り拷問用の棍棒(クラブ)じゃよ!」


 ははっ……嫌すぎる……


 その後もトラジャは棍棒(クラブ)を振り回して、一度でも殴られたゼノモーフはトラジャに近づこうとしなくなった。

 ゲッコとガーゴはその怯んだゼノモーフを狙いだし倒していく。

 そこへ……



「雷撃よ! 反応を引き起こし駆け抜けろ! 連鎖雷撃(チェインライトニング)!」


 セーラムの可愛らしい声が聞こえたと思った直後、燃え立つように輝く雷光が閃いて、最初のゼノモーフに命中すると次々と枝分かれしていってゼノモーフたちを焦げ付かせていく。



「す、凄い……」

「ふふん」


 片眉を上げて勝ち誇るその顔にはこれだけのゼノモーフ相手であっても余裕そのもので、伝説の英雄と言われる強さを存分に見せつけてきた。



「ふぉ!?」


 そんな素っ頓狂な声を出しながらセドリックが続いて魔導門(ゲート)から姿を見せてくる。

 ちょうど近くにいたゼノモーフがセドリックを攻撃仕掛けてきて、危ないと思った矢先にいつの間にか手に持ったダガーでゼノモーフを突き刺して、フンッ! と声と共に強酸の体液が飛び散る前に蹴り飛ばす。


 おっとりしているように見えたセドリックの素早い反応と動きに驚いていると、リセスドとアラスカとキャス様も魔導門(ゲート)から姿を見せた。



「いやぁ、見事なまでに囲まれているねぇ!」

「キャス殿、悠長にしている場合か!」

「あはは、それじゃあ残りは僕が引き受けるよ、みんなできるだけ僕のそばに来ていてねぇ」


 まだゼノモーフはかなりいるというのにキャス様は悠長にそう言うと、パンッと両手の掌を合わせると呪文詠唱に入る。



「全ての呪文、擬似呪文、超常能力を消し去る障壁よ、我を中心に表れよ! 完全魔法障壁(アンチマジックフィールド)そして数多の火球よ流れる星のごとく降り注ぎ灰塵と化せ! 流星群(メテオスウォーム)!」


 そしてやたらと長い発動詠唱を口にした。



 少し間があってから空からいくつもの火の玉が降り注いできて地上なりゼノモーフに当たると轟音を響かせながら爆発していった。



「凄い……」

「これが【魔法の神アルトシーム】が得意とした2種混合魔法だよ」


 僕は戦士だからキャス様が使った魔法がどう凄いかはわからないけど、今まで見た魔法の中では1、2を争う魔法だった。

 もちろんもう一つの魔法はアリエル様が使った大量の雹を降らせたものだ。




 爆発が止んだ後はゼノモーフは焼け焦げているか、吹き飛んでしまったようだった。




次回更新はゴールデンウィーク最終日辺りの予定ですが、執筆が進めばゴールデンウィーク中も更新するかもしれません。

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