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僕が俺に変わる時

更新が遅くなりまして申し訳ありませんでした。

この話でこの章の終わりになります。

 話が決まって当初の予定を繰り上げて、すぐに行動に移すことになって、移動はキャス様の魔法で霊峰の町へ向かう事になる。



「誰がこのメンツのリーダーをやるんじゃあ?」

「妥当なところはアラスカさんか、リセスドさん辺りと言ったとこだと私は思いますな」

「それならアラスカだ。 俺は基本的に1人で行動する事の方が多いからリーダーなど不向きだ」


 で、4人の目がアラスカを見てくる。

 そのアラスカはと言えば、僕に支えられながら立ち上がっているまさに真っ最中だった。



「……え?」


 そんな状態の姿の時に急に4人の視線が集まったアラスカが、夫である僕に支えられながら動きが固まってしまう。



「あはははは! あの鬼教官だとか隙を見せないとか色々言われてきたアラスカも、結婚すると変わっちゃうもんだねぇ」


 長い付き合いがあるのかキャス様が大笑いするんだけど、アラスカってそんな風に見られてたんだ……



「女になったんですわね。 素敵なことじゃないのかしら?」


 キャビン女王様のトドメの言葉にみるみるうちに顔を真っ赤にさせていくアラスカは、全員の顔を見回して最後に僕の顔を見つめてくる。



「こりゃアラスカもだめそうじゃぞ?」


 このままじゃアラスカの立場が悪くなっちゃう。 今こそギルガメシュさんから教わったリーダーシップを見せるんだ!


 そう思った僕は、アラスカをぐっと抱き寄せる。



「僕が……俺がやります! 反対する人は来てもらわなくても構いません!」


 ギルガメシュさんは言った。 リーダーシップを取るのであれば、まずは自分を優位に立たせる態度で接しろと。



「マ、マイセン……」

「アラスカは黙って、俺がリーダーをやります。 時間は無駄にしたくないから一緒に来る気がある人はすぐに準備を済ませたら、ここにもう一度集合してください」


 ほぉとでも言いたげな顔で全員の視線が集まる。


 今まで僕だったから自分自身でも違和感を感じるけど、俺様よりは随分マシだよね?



「了解したマイセン」

「急いで荷物を取ってくるわい」

「私もそうするとしましょうか」


 3人がそう言って部屋を出て行く。 その際にリセスドさんは肩を叩いてきて、トラジャさんは親指を立ててウインクしていき、セドリックさんは会釈していった。



「セーラム様……セーラムは準備は良いんですか?」

「私はいつでも大丈夫だよ」


 どう見てもチュニック姿にベルトポーチだけしか持ち物がなさそうに見える。



「彼女は武器や防具をマナで紡ぐから大丈夫なんだ」

「そうなんだ……じゃなかった! 僕たちも荷物を取ってこないと!」


 キャス様とキャビン女王様が慌てる僕を見てクスクス笑う。



「誰かに統率の資質を習ったようだけど、僕が混ざってるからまだまだってとこかなぁ?」

「これからですわよ、まだまだ若いんですもの」



 まだまだまだまだ言われ放題の中、アラスカを支えながら準備のため部屋を出て行った。



「あなたが俺と言うと急に男らしく見えてくる……」

「それってなんだか今まで男らしくなかったみたいじゃん」

「べ、別にそういうわけではないんだがな……」


 最後の方はあまり聞き取れなかったけど、顔を真っ赤にしているとこから悪いことを言われたわけじゃなさそうだ。



「ゲッコとガーゴも急ぐんだよ」

「グアグア」


 了解とでも言うかのように返事をして隣の部屋に入っていった。


 そして俺たちも部屋に入って荷物をまとめる。 と言ってもそこまであるわけじゃなく鎧を身につける程度だ。

 だけなんだけど……



「ん、なに?」

「い、いや……」


 なんだか僕をちらちら見てくるアラスカの顔がさっきから締まりがなくなって見えるんだけど……



「よしっと……アラスカも準備はいい?」

「あ、ああ大丈夫」


 本当に大丈夫なのかな?

 リーダーをやると言った以上、俺がしっかりしなくちゃいけない。



「行こう、アラスカ! 俺の憧れのアラスカを見せて欲しい」


 それを聞いてアラスカが少し考え込む様なそぶりを見せた後、両手で自分の頬をピシャッと叩いた。



「……もう大丈夫だ。 あなたに恥をかかせる様な真似はしない」


 そう微笑んできたアラスカの表情はいつも通りに戻っていた。





 魔導学院から王城に戻るんだけど、完全武装をしているゲッコとガーゴを連れて歩いていれば嫌でも目立つ。



「武装は王城(あっち)に着いてからって言うべきだったかな」

「今更だ、それに私たちは怪しいものではないのだから気にする必要もない」

「そういえばアラスカは外套は着ないの?」

「もう7つ星の騎士団ではないからな、これが終わったら7つ星の剣も返上するつもりだ」


 どこの誰に7つ星の剣を返上するんだろう? やっぱり神様なのかな。




 王城に着いて魔導兵に連れられて集まった部屋に戻ると既に全員揃って待っていた。



「遅くなりました、それでは早速霊峰の町へ行きましょう。 キャス様に魔導門(ゲート)を出してもらったら最初に俺が入ります。 10秒待ってから後を続いてください」


 長々余計な事を言って謝るな、これもギルガメシュさんの教えだ。

 今思えばこうなる事をギルガメシュさんはわかっていたんじゃないかなんて思ってしまう。



「10秒? 連中がいたらどうする気じゃぁ?」

「もちろん、俺が全員の安全を確保しておきます。 そのための10秒ですから」


 キャス様とキャビン女王様が一度顔を見合わせて笑うのが見える。



「それじゃあ魔導門(ゲート)を出すよ?」

「お願いします」


 魔導門(ゲート)が出現する前に(キャロン)の鯉口を切って抜く。 そして出現と同時に飛び込んだ。




すっかりゴールデンウィークを忘れていました。

次回更新は明日2日に更新して、ゴールデンウィークはおそらくお休みさせていただきます。

もしかしたら突発で更新ができたらするかもしれませんが、執筆も休暇中は滞ってしまうので期待はしないでください。


なお、この話も終わりが見えてきているとは思いますが、マイセンの冒険はゼノモーフの女王(クイーン)で終わりを迎えます。

伏線を張ってある通り、記憶障害を起こしているサハラが次の話で主役として帰ってくる予定ですが、その前に短編的な話を書くか、同時進行で2種類書いていくか考え中です。


1つの話以外サハラストーリー1本で来ているので、たまにはと思っていますがいかがでしょうか?


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