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事のあらましとキャロンの心情

“私の事を心配しているのならいいよマイセン、みんなに話して”


 キャロが姿を現してしまう。


 警戒する気配を感じて振り返ったけど危害を加えようとする人はいない、それもそのはずアラスカが両手を広げて立っていたからだ。



“ありがとうアラスカさん”

「いいんだ」

「安心してください、このゴーストは……」

「確かキャロンだったな、無事だったようだな……まぁ生きてはいないようだが」


 リセスドさんがキャロの事を覚えていてくれて、キャロも頭を下げて見せる。



「どういう事じゃあコイツわぁ?」

「友好的なゴースト、と言ったとこですかね?」


 トラジャさんとセドリックさんは驚きながらも、その手はいつでも武器に手が届くようにしている。



「彼女の名前はキャロン、僕はキャロと呼んでいますが……」

「なんとなく読めてきた気がするよ。 そのゴーストの……キャロンが関わっているんだね?」

「はい……」



 そして僕はゆっくりと霊峰竜角山に突如現れたダンジョンの中にあるダークゾーンの事、捜索隊が結成されてダークゾーンの先に行った事、そこで起きた惨劇なんかを話していく。

 そしてキャロが攫われて残ったメンバーで救出に向かい発見したのはいいものの、フェイスハガーに張り付かれてフィストバスターが胸にいる状態のキャロを救いたい一心で、居合斬りでフィストバスターだけを殺した事。

 その後助かりはしたものの、半人半ゼノモーフに変化してしまった事などを話していった。


 気がつけば涙を流しながら話していて、アラスカとキャロに支えられながらキャロがゴーストになった事までを話した。



「まだ若いのに相当辛い思いをしてきたようですわね……ですがもう少しだけ頑張って続きを聞かせてちょうだい」


 はい、と返事をしてそのあとの話を続けていく。



 その後キャロは助かったものの、半人半ゼノモーフのような姿になってしまい……そしてハサンだったゼノモーフに殺された事までを話す。


 そこでその時の光景を思い出してしまい、抑えられなくなって声を出して大泣きしてしまう。



“マイセン、確かに私は死んじゃったけどここにいるから、ね?”


 僕にとってはとても辛い思い出だったけど、話を聞いている人たちからするとゴーストのキャロに僕がなだめられている姿はとてもシュールに見えたと思う。



 その後竜角山から町にゼノモーフの群れが襲いかかり、僕は単身でキャロを殺したハサンだったゼノモーフを倒しに向かった事、そのあと意識を失って助けてくれたのがニークアヴォだった事、そこで恋人のような者だと偽ってディアさんを何としても助けたい一心でキャロと同じようにして欲しいと頼まれてやってしまったところまで話した。



「きっとキャロンの事をどこかで知ったか、あるいわそれ以前に君の事を知って利用しようと思っていた矢先にキャロンの事を知ったのかもしれないね」

「でもそれだとおかしくはないかしら? 助かるとは言っても半人半ゼノモーフになってしまうんでしょう? 感覚も元の人とは違うように思えるわ。 その辺り、是非経験者に話を伺いたいところね」


 キャス様はニークアヴォの事を考え、キャビン女王様は半人半ゼノモーフの時の事をキャロに尋ねてきた。



“私が答えてもいいのですか?”

「貴女以外に誰がわかるんです?」

“そうでしたね、それでは……”


 キャロが半人半ゼノモーフ状態になっていた時の状態を話しだす。

 それは僕も初めて聞く事で、思わず聞き入ってしまうような内容だった。



“私は自分の身体が、手足がゼノモーフのようになって尻尾まで生えているのを見てもう人間ではないと思いました。

 それと同時にマイセンに凄く会いたい衝動に駆られて、探し始めて……止めようとしてくる人たちは魔物にしか見えなくなっていました……それでマイセンに会えた時、マイセンはやっぱり私のことを私としてみてくれて……”


 その後も延々とキャロのその時の気持ちを話すのを聞いていくうちに、僕の中である1つの考えが浮かんだ。



“あの時の私はたぶん……”

「オスを求めていた。 じゃない? キャロ」


 キャロが照れながら頷いてくる。



「じゃあそれってもしかして……」


 そこでキャス様が言葉を詰まらせて、咳払いをしてから言い直す。



「繁殖が目的って事だよね?」

“……はい”


 あの時のやたらとニコニコしていたのはどうやら僕の事を繁殖目的のためのオスと見られていたようだった。



“でも間違いなく他の人ではなくて、マイセンだけを求めていたの”

「好きだったからでしょうね。 ここまで聞ければ十分だわ」


 キャビン女王様はそういってここまでの話から、1つの答えを導き出す。



「だとしたら、ゼノモーフの女王(クイーン)である元【守護の神ディア】の求める相手とは誰なのか、ねぇ代行者キャス様?」

「うっわ、僕凄く言いたくないんだけど、【闇の神ラハス】って考えるのが普通だよね……」


 さすがに神々同士の恋愛まではキャス様もわからないらしく想像で答えたけど、話の流れからしてどう考えてもそうなる。



「ふーん、【守護の神ディア】って女だったんだ。 全身鎧でガッチガチだったからわからなかったな」


 セーラム様がそんな事を口にする。



「あれ、セーラムは会った事あるの?」

「うん、パパ……サハラがカレーを作った時に神様全員で食べに来てね、私はアリエルをセッターお兄ちゃんとヴァリューム観光に連れて行くとこだったから、その時にチラッと見ただけ」


 うーん……カレーは僕も話には聞いた事がある。 マルボロ王国領の町の1つ、城塞都市ヴァリュームでのみ食べられると言われている至高の食べ物らしい。

 それをまさか神様全員が食べに来た事があるなんて……



「それじゃあ今ごろ【闇の神ラハス】は……」

「もしもゼノモーフが昆虫の類のような習性があるならば、すでに手遅れである可能性も考えられるわけですわね」


 キャス様とキャビン女王様が恐ろしい事を口に出して言う。 というのも、もしかしたら僕だったかもしれないのだから。



「そうなってくると疑問が出てくる。 【闇の神ラハス】は裏切ってはいなかったとも考えられるが?」


 リセスドさんが希望的な事を言ってきた。



「どちらにせよ儂らはその元【守護の神ディア】が変貌したゼノモーフの女王(クイーン)をブッ殺せばいいだけじゃろ? いつまでグダグダやってても何にも話は進まんぞ!」

「元とは言え神を簡単に殺すなんて口に出すなんて、なんとも恐れ知らずな事ですな」

「そうだな、そのためにはまずホープ合衆国に行く必要があるわけだ」


 疑問は残るものの、キャス様とキャビン女王様は苦笑いを浮かべながら頷いて、なすべき事を優先する事が決まる。

 疑問はいずれ進んだ先に見えてくるかもしれない。



次話更新は28日の土曜を予定しています。



宣伝を兼ねて。


赤帝竜(ルースミア)は『凡人の異世界転移物語』

・【魔法の神エラウェラリエル】は『凡人の異世界転移物語』

・代行者アリエルは『TS修道女の受難〜始原の魔術師外伝〜』

・アラスカは『始原の魔術師〜時を旅する者〜』

・セーラムは『凡人の異世界転移物語』

・キャスは『始原の魔術師〜時を旅する者〜』

・トラジャは『マルボロ王国の王女ララノア〜いつか必ずステキな女王になるのを夢見て〜』

・リセスド=パーラメントは初代パーラメントが『ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜』


以上が初登場になっています。

まぁほぼ全シリーズになるんですが……

興味のある方は是非どうぞ。



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