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【魔法の神エラウェラリエル】の頼み

 【魔法の神エラウェラリエル】様は、綺麗な金髪に紫色のローブを着ていて綺麗な(エルフ)の姿をしていた。

 そしてよく見ればそのローブの形状はサハラ様が着ていたものの色違いだとも気がつく。



「なぜ言葉を詰まらせる? エラウェラリエル」


 シンとなった部屋の中にアラスカの声が響く。

 それと同時にアラスカが【魔法の神エラウェラリエル】様を呼び捨てた事に驚いた。



「それは……神々のせいでこのような事態に陥ってしまったというのに、その後処理をあなた達に託さねばならないからです」


 魔法の神であるエラウェラリエル様が辛そうに答えて頭まで下げてくる。



「【魔法の神エラウェラリエル】様、そういったものは抜きでお願いいたしますわ。 今必要なのは過去ではなく未来の事ですから」


 ね? とまるで親しい間柄のようにキャビン女王様が【魔法の神エラウェラリエル】様に言うと、わかりましたと言葉を続けた。



「皆さんにお願いしたい事は世界各地に湧き出た魔物の女王(クイーン)の討伐です」


 部屋の中にいる全員が声も出さないで頷いた。



「……ですがその前に現状のお話しもしておきます」


 現状はかなり酷いもので、前にも聞かされたけど僕のいたホープ合衆国とメビウス連邦共和国は生存者こそいるものの人口のおおよそ8割は亡くなったそうだ。

 そしてそれ以外の場所でも5割は人口を失っている状況らしい。

 唯一ほぼ無事と言っていい国はセーラム女帝国だけで、エルフ特有の卓越した弓による戦いのおかげで白兵戦にならずに迎撃したのだそうだ。

 しかしその真逆で白兵戦を主体とする上に、当のゼノモーフの女王(クイーン)が住み着いた、ここより北に位置するドワーフの王国ロメオ・イ・フリエタは生存者が確認されないそうだった。


 この人口の減少は神々を信仰する事で得られる神威の具合かららしいので、おおよそ間違っていないそうだ。


 続いて今現在所在が確認されている神は、【魔法の神エラウェラリエル】様と【闘争の神レフィクル】様、【愛と美の神レイチェル】様、【保護の神ロルス】様だけで、【自然均衡の神スネイヴィルス】様と【死の神ルクリム】様、【旅と平和の神ルキャドナハ】様、【鍛冶の神スミス&トニー】様の所在と生存は不明らしい。



 そこで僕は創造神様の執行者にして世界(ワールド)守護者(ガーディアン)であり、【魔法の神エラウェラリエル】様の夫であるサハラ様の名前が上がらない事に疑問を抱いた。



「あの……」


 僕が声を上げると全員の顔が今度は僕に向いてきた。



「【魔法の神エラウェラリエル】様の夫で、創造神様の執行者にして世界(ワールド)守護者(ガーディアン)のサハラ様は……」


 その名前をあげた直後、【魔法の神エラウェラリエル】様が目に涙を浮かべてくる。



 まさか世界(ワールド)守護者(ガーディアン)のサハラ様が死んだ? だってあの人の側にはいつも赤帝竜(ルースミア)様もついていたはずだし、【自然均衡の神スネイヴィルス】様の代行者アリエル様だっていたじゃないか?



「ごめんなさい……」


 みんなが【魔法の神エラウェラリエル】様が落ち着くまで静かにしていると、ゆっくりとまた話しはじめる。



「サハラさんの事も踏まえてここからは創造神様などの話もします……」



 創造神様は【闇の神ラハス】の裏切りによって闇の領域に囚われ封じられてしまっているのだという。

 ここからが僕の知っていた事と少し違っていて、【闇の神ラハス】様自体も元商売の神でもあったニークアヴォに何らかの方法で操られてしまっているのだそうだ。

 そして創造神様が囚われ封じられてしまった直後、サハラ様が消息不明になってしまったのだそうだ。



赤帝竜(ルースミア)さんの話では、記憶障害を起こしていたそうです」

「ちなみに赤帝竜(ルースミア)はサハラのもう1人の奥さんで、みんなもよ〜く知っている赤帝山の赤帝竜(ルースミア)だよ」


 それを聞いても特に集まった人たちは頷くだけで、驚愕したりする人が誰1人いない事に驚いた。



「神の事はだいたいわかった。 だがそれは俺たちの招集には関係ないし、それに今はゼノモーフと呼ばれている魔物の女王(クイーン)討伐が優先なのでは?」


 その場を制したのはリセスドさんだった。

 リセスド=パーラメントさんもまた招集されていたようだ。



「彼の言う通りですね、今はゼノモーフの女王(クイーン)の事を話しましょう」


 といって本筋に入っていき、ゼノモーフの女王(クイーン)である元守護の神であったディア様のことについて話しだす。



「まだハッキリしませんが、ゼノモーフの女王(クイーン)にはまだディアの心が残っているようです。 そして……神性も感じられます」

「それはつまるところ、女王(クイーン)は神だとでも言うのか?」


 リセスドさんが聞くと【魔法の神エラウェラリエル】様が頷いて返す。 「なるほど」と戦う相手が神であろうが、今話をしている相手が【魔法の神エラウェラリエル】様だろうが口調が変わらないリセスドさんの両方に驚きつつも続く話を聞いていく。


 ……とは言ってもゼノモーフの女王(クイーン)におおよその居場所だけであって、集められたここにいる6人で倒してほしいというものだった。



「倒すというのは殺せという意味でとっていいのか、それとも【守護の神ディア】を救済するという意味なのか?」


 アラスカが尋ねると【魔法の神エラウェラリエル】様はハッキリとした答えを口にしないで、救えるのであれば助けて欲しいと曖昧な答えが返ってきた。



「ただ……最後に聞いたサハラさんの話では、女王(クイーン)が死ねばゼノモーフたちも死ぬか統率力を失うのだろうと、仮に予想が外れても増え続けるのは抑えられる、と……」

「それだと殺してって言ってるのと同じに聞こえちゃうよウェラさん」


 キャス様は【魔法の神エラウェラリエル】様の事をそう呼ぶんだ。



「そう、ですね。 私たちも過去のあの時に神界を追放されてから【守護の神ディア】は死んだものと思っていましたから、今の状態がまったくわからないんです」



 過去のあの時ってなんだろうって思ったら、今から100年以上前のララノア女王の父親であるヴォーグ王がマルボロ王国を治めていた頃に、創造神様の逆鱗に触れた神々が神界を追放された事があったんだってアラスカが教えてくれる。



「つまるところ会ってみて判断しろ、と?」


 リセスドさんの問いに頷いてきた。


 そこで話が止まるのだけど1つ重要なことが抜けている。 それは女王(クイーン)の元に行くには猫ちゃんが隠し持つある物が必要だということだった。




次話更新は明日の予定です。

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