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キャビン魔導王国

 一瞬目の前が真っ暗になって目眩がしたと思ったら、次の瞬間には開けた場所だけど見た事も無いような形をした建物が目に飛び込んできた。


 後から続いて出てきたゲッコとガーゴもたぶん驚いているようで、しきりにキョロキョロ見回している。



「魔物だ!」


 そんな声が聞こえて、僕が慌ててゲッコとガーゴの前に立ちふさがって見せる。



「その物々しいリザードマン2匹は魔物だけど、そこにいるマイセンに使役されているから危険はないよ」


 遅れて出てきたキャス様が武器を構えた魔導兵に言って下がらせてくれる。



「助かりました」

「うううんいいんだ。 こんな事でもし君が参加してくれなくなったら、そっちの方が大変だからね」


 安心したのもつかの間、今度はゲッコとガーゴがグアグア騒ぎはじめて何事かと2匹が見つめる先を見ると……



「ア、アラスカ!」

「マイセン! 無事だったんだな、ホープ合衆国は酷い有様だと聞いて心配していたんだ!」


 アラスカが僕を抱きしめてきて、僕も凄く懐かしく感じるアラスカの事を抱きしめた。



「カルラが、カルラが死んだんだ」

「そうなのか……彼女はそう簡単に死ぬほど弱くはないと思っていたんだが、残念だ」

「カルラを殺したのはプリュンダラーだ! 今は捕らえられて牢屋に入れられてる……」

「なっ、なんだと! プリュンダラー……そこまで堕ちたか……」



 僕とアラスカが人目も気にしないで抱擁し合っていると、キャス様が僕の肩を叩いてくる。



「後で好きなだけ2人きりにさせてあげるから、ね?」


 外見は僕よりも若いキャス様に言われるとなんだか凄く違和感は感じたけど、アラスカも顔を真っ赤にさせて僕から離れて必死に冷静さを保とうとしている。



「とりあえず僕についてきてよ。 キャビン女王がお待ちかねだよ」






 キャス様の後についていくと謁見の間に通されて、その玉座に1人の女性が座っている。 もちろんその人こそキャビン女王様で、僕の姿を好奇の目で見てくる。

 なんて言うか、キャビン女王様というぐらいだから凄い美人かと想像していたけど、いたって普通の20代ほどの女の人が着飾っている……そんな風にしか見えない人だった。



「キャビン女王、『(オーラ)斬りのマイセン』が到着したよ」

「貴方が『(オーラ)斬りのマイセン』ですか、想像より随分違うので驚いたわ」

「どんな風に思っていたんですか?」


 僕がそう答えると、謁見の間で女王様を警護する魔導兵が陛下の御膳で無礼であるぞ! と言われてしまう。

 後ろを振り返ると、僕よりも数歩後ろでアラスカが立っていて呆れた顔を見せていた。



「あっ! 申し訳ありませんでした!」


 慌ててアラスカの立ち位置まで下がって謝ると、キャビン女王様がクスクス笑いだす。



「貴方は私が招いた客人でもあるのだからそんなにかしこまらなくてもいいわ。 それと今日は愛する人と積もる話もありそうだからゆっくりと語らいなさい。 ね?」


 キャビン女王様が僕の非礼を許してくれて、しかもしばらく離れ離れだったアラスカと話をする時間までくれると言ってくれる。

 優しい女王様だなと思っていると……



「キャビン女王、それは一体どういう意味かな?」

「あら、口に出して言った方が良かったかしら?」

「け、結構だ!」


 アラスカが赤面しながら怒っている。 何をそんなに怒っているんだろう?



「アラスカ顔が赤いけど、何をそんなに怒ってるの?」

「き……君も分かってわざとそういう事を聞くのか」

「えーっと、何が?」


 ウッと息詰まってアラスカが口ごもりだす。



「あはははっ! 魔導学院じゃ鬼教官と恐れられたアラスカのそんな顔が見られるなんて驚きだね、あはははは」


 キャス様が大笑いしだす。


 キャビン魔導王国にはキャビン魔導学院と言われる完全寮生の魔法学校がある。

 その中で時折肉体の訓練で7つ星の騎士団の人に修行をしてもらいにきているのだそうだけど、中でもアラスカの厳しさは群を抜いていて鬼教官と恐れられていたんだそう。



「笑いすぎです!」

「あははは……ごめんごめん。 ちなみに確かそこにいる2人はアラスカに修行をして貰った生徒だったよね?」


 先ほど僕に注意してきた警護の魔導兵にキャス様が言うと、すっかり驚ききった顔でうなずいてきた。



「失礼ですが、アラスカ教官とそこの……」


 今絶対コイツって言おうとしたね?



「どういった関係なのでしょうか?」

「私の夫だ」

「僕の奥さんです」


 なっ! とさらに驚いた顔を見せて、何度も僕とアラスカを見比べていた。



「じゃあキャビン女王、詳しい話は明日ってことで良いのかな?」

「そうね、1日程度で事態が悪化するようなら、すでに世界も終わっていてもおかしくはないものね」

「うん、じゃあ2人は僕が部屋に連れて行くよ。 2人ともついてきてね」


 おいで〜となんか調子の狂う軽い感じのキャス様に、本当にこの人が【魔法の神エラウェラリエル】様の代行者なのかと思えてしまう。



「マイセンはキャビン魔導王国は初めてだったよね?」

「はい、ここは随分と平和なんですね?」

「うん、この国はキャビン女王の魔法で強力な結界が貼られているからね。 国の外からは視認も出来なきゃ存在も気づかないよ」


 移動しながらキャビン魔導王国を説明して言ってくれる。

 王城を出たすぐ側に巨大な神殿があって、それが【魔法の神エラウェラリエル】様の神殿なのだという。 そしてここには正に【魔法の神エラウェラリエル】様がいらっしゃるのだそうだ。



「明日会うことになるよ」

「確かサハラ様の奥さんの1神でしたよね?」

「そそ」


 神殿にはたくさんの人が行き交っていて、その信仰の高さが伺える。 それもそのはずで、ここキャビン魔導王国の住民の9割はウィザードだからだ。



「ほらっ! あれがキャビン魔導王国が誇るキャビン魔導学院だよ」


 そういう先には王城よりも大きく立派な建物があった。



次話更新は明後日の火曜日になると思います。


お詫び

見直していて気がついたのですが、魔道王国は全て魔導王国の間違いです。

今後も気がつかないで誤って使っている場合もあるかもしれませんが、間違えてるなぁ程度でお願いしますm(._.)m

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