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キャビン魔道王国の使者

新章に入ります。

 あれから数日が経ち、今も時折現れて襲いかかるゼノモーフを撃退する日々が続いている。

 手狭になった孤児院はそのままに、今は秘密の通路を使ってここよりも遥かに広い大統領府も使って、備蓄してある食料でなんとか生きながらえている。


 そして警戒していた猫ちゃんは今も無事で、デスから盗んだもののことも聞いたけどどれのことだかわからないという。

 そこでガイモンとプリュンダラーに盗まれたものが何か聞きに行こうとしたけれど、そもそも盗んだものは大抵寝ぐらにしていた場所に隠してあって今は持ってないと……



 孤児院の方はギルガメシュさんに一任されて兵士たちも必要数配備されて守り、僕は大統領府の方で『(オーラ)』でゼノモーフの接近がわかる力で広い大統領府の警護を任されていた。





 そんなある日のこと……


 急速に接近してくる『(オーラ)』を感じて辺りを見回すもその姿を視認できない。 距離としてはもう十分に視認できておかしくはないというのにだった。



「私はキャビン魔道王国の使者だ。 ホープ合衆国大統領は健在か! 健在であれば大至急面会を要求する!」


 上空から声が聞こえて見上げると、朧げな馬にまたがりキャビン魔道王国旗を掲げた男の姿があった。


 その姿に兵士たちが歓声があがるなか、僕が大統領は健在である事を叫ぶと朧げな馬が着地して霧のように消える。


 用心しているのが手に取るように見えるそのキャビン魔道王国の使者は、叫んだ僕の姿に驚いた顔を見せてくる。



「貴殿は……ここの指揮官か何かなのか?」

「いえ、僕はここの警護を任されているだけの冒険者です」

「冒険者? まぁいい、誰か大統領にキャビン魔道王国の使者が来たと報告してほしい」

「それなら僕の後についてきてください」


 どう見てもそのキャビン魔道王国の使者の男の人はなんでお前が? とでも言いたげな顔を向けている。



「あ、そうですよね。 僕はシスターテレサ……宮廷司祭様が育ての親なんです。それで……まぁ」

「なるほどそうだったのか、それは失礼した。 では早速で悪いが……」


 僕が周りにいる兵士たちに警戒をお願いしてアイボリーハウスに向かうと、使者の人も後からついてくる。



「その旗、重くないですか?」

「重くないといえば嘘にはなるが……この旗は使者として嘘ではないという証なのだ。 それと君たちは今起こっている世界の現状を知らないだろう?」

「そうですね、でも予想はつきます……と言うよりシスターテレサ……あ、宮廷司祭様がこれからは弱肉強食の世界になると言ってました」


 そうすると使者の人は大きく頷いてみせてくる。



「その通りだ。 今、世界は酷いもので……」


 と話だしたところで大統領のいる部屋の前までたどり着いてしまう。



「ごめんなさい、続きは大統領にお願いします」

「そうだったな」


 扉をノックして名前を言うと、要件も聞かないで入るように言われる。 もっともこれは普段からそうだからだけど、使者の人はこの対応にまた驚いた顔を見せていた。






「大統領、シスターテレサ……じゃなかった。 宮廷司祭様、キャビン魔道王国の使者の方がお見えになりました」

「キャビン魔道王国よりキャビン女王の命で参りました」


 大統領に片膝をついてそう言うと、大統領もウムと頷いてどういった用か尋ねると使者が話しはじめる。



 キャビン魔道王国はこのゼノモーフの襲撃が始まった際に、キャビン女王と【魔法の神エラウェラリエル】の代行者キャスターによって迅速に排除されて、キャビン女王の結界展開によって王国は他者の侵入を完全に防ぐ防壁で安全を確保したという。


 ちなみにキャビン女王とは伝説の英雄のうちの1人で、代がわりをしてもキャビンの血と呼ばれる能力だかで、その子孫たちも高い魔力と知性、そして記憶を受け継いでいると言われている。



「そして今現在、キャビン魔道王国には【魔法の神エラウェラリエル】様が身を寄せていて、各国の様子と他の神々の行方を探してほしいとおっしゃられたため、世界各地に使者が送られることになりました」

「なるほど……それで世界は今どのような状況なのかね?」



 使者から聞かされる限りでは酷いありさまではあったものの、壊滅的状況にあったのはダンジョン自体が王国である“ロメオ・イ・フリエタ”、そしてダンジョンが和多く存在する“メビウス連邦共和国”、最後にここ“ホープ合衆国”だった。


 その中に“7つ星の騎士団領”が含まれていなくて内心ホッとする。



 そして確認された神は、マルボロ王国には【愛と美の神レイチェル】様と【保護の神ロルス】様が身を寄せていて、ウィンストン公国に【闘争の神レフィクル】様とたったの4神だけだという。



「待ってください、神ではないですが世界(ワールド)守護者(ガーディアン)のサハラ様は見当たらないのですか!?」


 確認できた神の中に神ではないけれど、創造神様の執行者であるサハラ様の名前が上がらなかったため思わず叫ぶように聞いてしまう。



「残念ながら世界(ワールド)守護者(ガーディアン)の所在と安否は確認されていない。 ただ創造神様が【闇の神ラハス】に囚われ、その力や権限を失ったのではとキャビン女王は推測されて、もしかすると亡くなられたのではと言われている」

「嘘だ! だってサハラ様には赤帝竜(ルースミア)様という奥さんもいるし、【自然均衡の神スネイヴィルス】様の代行者で同じく奥さんのアリエル様だって付いてるはずじゃないか! それにキャビン魔道王国に身を寄せている【魔法の神エラウェラリエル】様だってサハラ様の奥さんなのに……」


 使者の人が僕がそこまで詳しく知っていることに驚いた顔をする。



「おっほん、済まんがそれはあとにしてほしい。 先に要件を聞きたい」

「あ、ごめんなさい……」

「申し訳ありませんでした。 それでは……」



 使者の人は【魔法の神エラウェラリエル】様がまずゼノモーフの女王(クイーン)である、【守護の神ディア】様をなんとかしなければならないと言われて、そのために必要な人物たちの名前をあげられて探して連れてくるように言われたそうだ。


 そしてその人物の名前が……



「この地に『(オーラ)斬りのマイセン』の二つ名を持つ人物がいると伺いました。 ぜひその者の力をお借りしたいのです!」




次話更新は明日の予定です。

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