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神に見捨てられた?

 その日の夜の事だ。 突如大きな悲鳴で目がさめる。



 僕が駆けつけた時にはすでにギルガメシュさんたちもいて、被害者となった人物を囲んでいた。



「遅い」

「すいません……それで、コレは……」

「ご覧の通りバケモノの仕業だ」


 それは見ればわかるって……そうでなくて、このアイボリーハウスの中はシスターテレサの神聖魔法によって、邪悪な存在は入れなくされているはずなのに。



「それでこいつを殺したゼノモーフはどうした!」

「悲鳴を聞いて駆けつけた時にはすでにいなくなっていました」

「……という事はまだどこかに潜んでいるわけか! クソッ! 全員今すぐたたきおこせ! 今すぐだ!」


 集まっていた兵士たちが一斉に今だに寝ている人たちを起こして回りはじめた。



 それを僕はノンビリ眺めているのではなく、気配でゼノモーフが見つけられないか探っていると、徐々にアイボリーハウスにゼノモーフたちが近づいてきていることに気がつく。



「ギルガメシュさん! 外にいるゼノモーフたちが建物に近づいてきてます!」

「なんだと!? 神聖化(ハロウ)の結界はどうなってるんだ!」


 とりあえず僕の感じ取れる範囲にいるゼノモーフたちは、今もまだ中までは入り込んできていない。

 だけどなんとなくそれは時間の問題だと思えた。




 しばらくして目を覚ましてきたシスターテレサがどういう事か知って、本人が1番驚いた様子を見せる。



「朝のお祈りする時間までは効力があるはずなのに、これは一体どういうことだい……」


 シスターテレサは祈りを上げるようなポーズを取って何かを呟くのだけど、途中途中で血相を変えて何度も繰り返してたと思うとイシスさんを手招きする。



「ちょいとイシス、あんたなんでもいいから聖歌を歌ってみてごらん」

「急に何を言うかと思えば……わかったわ」


 シスターテレサの表情を見て何か感じ取れるものでもあったのか、イシスさんが目を瞑る。



「主らよ、汝らの祝福で我らを解き放ちたまえ 喜びと平穏で心を満たしたまえ 汝らの愛と救いの恵みを享受せん 我らを癒したまえ……【愛と美の神レイチェル】を讃える歌」


 綺麗な歌声が響き始めたと思った矢先に歌うのをやめてしまう。



「テレサ、これは一体!?」

「ああ、どうやら神々が私らの願いを聞き入れてもらえないようだね」


 シスターテレサとイシスさんがひどく慌てた様子を見せているけど、神官ではない僕にはその理由がわからないでいた。



「ギルガメシュ良くない知らせだよ。 神々が私らの願いを聞き入れてくれないんだ」

「どういう事だ? もっと分かりやすく言え」

「神聖魔法が使えないという事だよ」


 ギルガメシュさんだけではなく、集まっている全員が絶句する。



「一体どういう理由で使えない? 想定でいいから話してみろ。 それと他の奴は全員警戒していろ! 奴らが入ってくるかもしれんぞ」


 ホールに集まっている全員が武器を手に警戒態勢に入るのを確認すると、シスターテレサに向きなおった。



「そうだねぇ……この考えは考えたくはないけど、神々が助力出来ない状況か、そもそも助力する気がないかしか考えられないねぇ」

「そうね、テレサの信仰神と私の信仰神は違うから偶然というわけではなさそうね」


 難しい話になってきて僕には良くわからないけど、神官が神聖魔法を使うためには神への信仰度というものが必要らしい。


 でもそうなると神々が助力出来ない状況かする気がないってどういう事だろう?



「とりあえず貴様らの神聖魔法が頼りにならない事はわかった。 だが作戦を続行するのなら明朝までここを何としても凌がねばならんぞ?」

「それなら今から作戦決行したらダメなんですか?」


 ……あれ? なんかみんなが可哀想な子を見るような目で見ているような?



「マイセン良くお聞き、今は夜中だよ、わかるね?」

「はい。 闇夜に乗じた方が警備もたぶん手薄なんじゃないですか?」

「あのバケモノは真っ黒い姿で、闇夜に紛れられたら発見も接近にも気づきにくいだろう?」

「ええ、だから今から先に孤児院だけ全員でと思ったんですけど……」


 今度は驚いた顔で見られてる。



「はっは! コイツは驚きだ! 貴様はどうやら策士泣かせの直感型らしいな!」


 またまた良くわからない事を言われるけど、町は夜中は危ないのは当たり前なんだしもとより明朝予定だったのなら、その間に孤児院だけ取り戻せばいいだけだと思っただけなんだけどね。



「よし! 今から直ちに奪還に向かうぞ」


 僕の背中をバンバン叩きながらギルガメシュさんが珍しく難しそうな顔が笑顔になっている。



「いや、それはちょいと問題があるね」


 シスターテレサが本来明朝に孤児院に忍び込む場所は秘密の通路を使う予定だったらしいのだけど、さすがにこの人数では行動に移しにくいらしい。



「その通路は人1人通れる幅ぐらいしかないからねぇ、もし後ろからバケモノが襲ってきたら1対1で延々と相手をしないといけないんだよ」


 しかも外からとなればこの闇夜の中でゼノモーフたちを蹴ちらさなければならず、音を聞かれれば奇襲にもならなくなる……っていうんだけど。



「その方が秘密の通路を行く僕たちに気づかれにくいからいいんじゃないですか?」

「……確かにマイセンの言う事に一理あるか」


 ギルガメシュさんが少し考えたあと、声を張り上げて全員に聞こえるように叫んだ。



「これより町へ救出に向かう者は外に出て孤児院を目指す!」


 一斉に兵士たちの顔が締まる。 それは危険極まりないゼノモーフとの夜間戦闘になるからだった。




次話更新は明日の予定です。

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