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目が覚めて……

PV10000人突破しました。 感謝です。

すみません、PVじゃなくてユニークでした。

 う……


 朝日が眩しく片目だけ少しだけ開ける。


 ……死んでない、のかな?


 ゆっくりと目を開けて見回すと、キャロが目を覚ました僕に気がついた。



“マイセン! やっと、やっと目が覚めた! もう一生このまま目を覚まさないんじゃないかと心配したんだから!”

「キャロ? えっと、僕はどれだけ寝ていたの?」

「今日で丸3日だよ」


 反対側から声が聞こえて、振り向くとディルムッドの姿がある。


 身体を起こすとディルムッドしか見当たらないのは、キャロがいるからかな?



「そうだ、みんなは無事?」

「孤児院の中にいた奴は全員無事だが、戦いに参加した奴は8人殺られて12人になった」


 徐々に覚醒していき、最後の光景を思い出す。



「そうだゲッコとガーゴ、それとスカサハさんたちは無事?」


 沈黙の後、ディルムッドが重々しく口を開ける。



「リザードマンの片方が殺られた。 それと……ギルガメシュもだ」

「え……う、嘘だ! ギルガメシュさんが死んだなんて……まさか生き残りがまだいた……?」


 呆然としていると扉がドカンと勢いよく開いて、ギルガメシュさんの姿を見せる。



「貴様! 何勝手に人のことを殺してやがるんだ! 死んではいないが死にかけたのは貴様の方だろう!」


 なんだ、嘘だったのか。


 ディルムッドが笑いながら謝る身振りを見せてきて、僕を驚かそうとしたようだった。



「じゃあゲッコかガーゴが死んだっていうのも……?」

「安心しろ、それも嘘だ。 片方が重症になったが無事だ」


 不謹慎かもしれないけど、仲のいい人とかが無事で良かった。


 それとあれからどうなったんだろう? 特に町の方とか大統領府にいるシスターテレサとか……



「今の状況を聞かせてもらえますか?」


 ギルガメシュさんに聞くと難しい顔をしながら、今もまだ生き残っているゼノモーフがここを見つけて襲ってきていて手薄にするわけにいかず捜索できていないらしい。

 またそこからわかる通り、他で生き延びた人がいたとしても同じように下手に身動きが取れなくなっているだろうと。



「世界は……崩壊したのかな?」

「わからん。 だが、俺様たちのように生き延びているものたちは必ずいる。 それに神々だって黙ってはいないはずだ」


 そうは言ったものの、ギルガメシュさんの最初の言葉には断定的に対して後者の言葉は希望だ。

 今回の騒動に神々が何もしてくれないのは、神々もそれを望んでいるからなのか? なんて事まで一瞬思ってしまう。



「とりあえず貴様が目覚めたとなれば喜ぶ者も多いだろう。 さっさと起きて心配する者たちの不安を取り除いてきてやれ。 それとそのゴーストの事はごく一部だけしか知らないから安心しろ」


 ベッドから降りて装備を整えて部屋を出ようとすると、「貴様にはやってもらうことがたくさんあるからな」って言われる。


 目が覚めたばかりなのに人使いが荒いなぁ。




 この時はまだ世界がどれだけ大変な事になっているか僕は全然わかっていなかった。



 部屋を出て僕の姿を見つけると早速兄弟たちが集まってきて、あとから半泣き顔のヴェルさんとウルドさん、スクルドさんも近寄ってきた。



「マイセン君目が覚めたのね!」

「少年、無事でよかったよ」

「マイセン君無事でよかったですよぉ〜」

「あはは……心配かけました。 えっと……」


 周りにいる人たちも僕に感謝の言葉をかけてきたり、英雄扱いしてきてちょっとこそばゆい。

 どうやらあの戦いでゼノモーフの大群を蹴散らしたのが、いつの間にか僕のおかげになっている。


 僕1人じゃないんだけどなぁ。



 取り囲まれている輪を抜けてなんとか孤児院の外に出ると、そこにいた共に戦った人たちが歓声を上げてきた。



「目が覚めたのねマイセン!」


 ソティスさんが目を赤くさせながら駆け寄ってきて、その先にはソティスさんのご両親が会釈だけしてきた。


 今ソティスさんたちは料理屋をやっていた事から、ここにいる人たちの料理を任せられていて備蓄の在庫なんかを調べているんだそうだ。



 そうんな話をしていると、とんでもない格好をしたゲッコとガーゴが姿を見せて片膝をついてくる。

 そのとんでもない姿とは、ゼノモーフの頭部の半透明になった部分を利用して作った兜をかぶっていて、同じく頭部を利用した手甲とすね当てを身につけている。

 リザードマンだからなのか、あまり違和感は感じないけどそれでもそれがゼノモーフの頭部だと思うと不気味だ。



「ゲッコとガーゴも無事でよかったよ。 それにしても凄い格好だね……」

「猫が作ったにゃりよ」


 ひょっこり猫ちゃんが顔を出して同じ格好をしてるのを見てギョッとする。



「うわっ! 猫ちゃん凄く不気味だ」

「仕方がないにゃりよ」

「それよりもそれって、猫ちゃんが作ったの?」

「うにゃり、猫はお針子さんも得意にゃり」


 いや、それ絶対お針子関係ないと思うよ……




 しばらくするとスカサハさんも僕のところに来て無事を喜んでくれた。




「そういえばカルラはどこ?」


 一緒に来ていたディルムッドに聞くと、妊婦は安静にしてもらっているんだとかでディルムッドとカルラの部屋で安静にしてもらっているらしい。

 なので心配しているだろうとカルラのところにも顔を出して、僕の無事な姿を見せにいく。



「マイセン様! ご無事でなによりです!」

「うん……って、え、あれ? カルラ動いて平気なの?」

「まだ初期なんで全然動けるんですけど、ディルムッドがうるさくって……」


 ディルムッドを見るとアッハッハと笑っているけど、体を起こして動くカルラを心配そうに見ている。


 僕はそういう経験は知らないからどれが正しいのかわからないけど、ディルムッドがどれだけカルラを大事に思っているかはわかった。



 ひとまず孤児院とその外壁の中にいる人たちの安否を確認できた。

 亡くなった8人に作られたお墓に冥福を祈って僕はギルガメシュさんの元に戻ることにした。



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