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圧倒的な実力差

 取り囲んできた相手は全部で13人。 おそらくこういったことには慣れた相手だろう。

 対してこちらは3人と2匹で、しかも自由に動けるのは2人だけだ。


 スカサハさんをチラッと見ると、槍の穂先とは反対側の普段覆っている石突きの布の紐を解きだす。



「ドラウに伝わる毒だ。 死にたい奴はかかってくるがいい」


 ドラウ族にだけ伝わるという毒があるのを聞いたことがある。 確か僅かでもかすっただけで死に至らしめる毒と麻痺毒だったはずだったと思う。

 ドラウの氏族によって伝わる毒は違うらしいけど、どうやらスカサハさんに伝わる毒は死に至らしめる方のようだ。



「ドラウの毒か、確かに強力なものではあると聞くがそれも一昔前の話だ。 さてそろそろ死ぬ準備は整ったか?」



 随分と余裕を見せているようだ。



「お主は儂の逆を頼むぞ!」

「わ、儂!?」


 返事を聞く前にデスの連中が僕に向かってきたから、そっちに集中することにした。


 チンと鯉口を切って上段から『(オーラ)』を圧縮させて振り下ろして手加減無しの剣圧(ソードプレッシャー)を放つ。

 この一撃で一気に5つの気配が消える。


 おそらく二段構えで攻撃しかけようとしていたのだろうけど、手加減無しの剣圧(ソードプレッシャー)は後に控えた連中も巻き込んで一網打尽にした。




「我が眼前の敵を爆せよ! 火球(ファイヤーボール)!」


 僕の背後でスカサハさんの声が聞こえたと思うと、火球(ファイヤーボール)の爆発音が聞こえた。


 3人……コッチは残り1人にスカサハさんの方は3人……ん? リーダー格の気配は……!



「ハッ!」


 頭上から急接近する気配に向けて(キャロン)を振る。



「な……んだと!?」


 そんな声と僕の足元に片腕が転がる。

 リーダー格の人物は一瞬にして僕から距離を取って、離れた位置で失った腕の止血をしながら僕を見てくる。

 そして僕も驚いたことに、そのリーダー格の人物はドラウの男だった。



「くっ……迂闊だったわ! よもや貴様がこれほどまでだとはな! だが、まぁいい、今回はコレで引いてや……」

「甘く見過ぎだよ……」


 チンと綺麗な音色が響かせながら(キャロン)を鞘に戻すのと同時に、デスのリーダー格のドラウがドサっと崩れ落ちた。


 もう少し距離を置いていれば無理だったけど、リーダー格のドラウがとった距離は居合斬りの間合いに入っていた。


 残るは3人……僕がリーダー格のドラウを倒している間にスカサハさんが1人仕留めていた。



「マイセン、1人でも取り逃がすと厄介なことになるぞ」

「了解です、ゲッコ、ガーゴ! 『アタック』だ!」


 圧倒的な数の差に余裕を見せていたはずのデスの連中は、あっという間に仲間が倒され、リーダーまでもが倒されたのを目の当たりにして呆然としていたけど、スカサハさんの声で一斉に逃げ出そうとしはじめた。


 僕は目の前にいる剣圧(ソードプレッシャー)からうまく逃れられた男に向かい、後方の2人はスカサハさんとゲッコとガーゴに任せる。


 悲鳴をあげて逃げ出そうとするデスの1人に向けて衝撃波(ショックウェーブ)を放ち、土煙を上げながらかまいたちのようになった『(オーラ)』が襲いかかり、その身をズタボロに切り裂いて気配が消えるのを確認する。


 残る後ろの2人はと振り返ると、1人はスカサハさんが仕留めたものの、もう1人は逃げられてしまう……

 そう思った瞬間、3本の槍が背中を貫いて倒れる。


 1本はスカサハさんのもので、残る2本はゲッコとガーゴのものだった。





 13体の死体を集めるようにスカサハさんに言われて街道から少し離れた場所に集めると、スカサハさんが1人1人ゴソゴソと調べ始める。



「見てみろ、デスのメンバーは全員こうやって身体のどこかしらに刺青を入れているのだ」


 確かに大半は肩にDの文字が刻まれている。

 と、不意にスカサハさんのバカにしたような笑い声が聞こえてきた。



「マイセン、来て見てみろ。 コイツはこんなところに刻んでいたぞ」


 その場所とは陰茎だった……



「なんで全員確認しているんですか?」


 そんな場所まで調べてまで確認する理由がわからなかった僕が尋ねると、おもむろに手に持ったダガーでその陰茎を切り取りだす。

 思わず自分の股間の心配したのは言うまでもない。



「デスの証を持って冒険者ギルドか兵士のところへ持っていけば褒賞金が出るのをお主は知らないのか?」


 切り取った陰茎を突きつけるようにして言ってくるんだけど、非常に生々しくてそれどころじゃない。



「そうだったんですね、知りませんでした」


 顔を背けながら返事をしておいた。


 全てのDの刺青を集め終わって、しっかり金目の物もしまいこみ終わると猫ちゃんを呼びつける。



「このバカ弟子が! 私の弟子になったからには、2度とデスに関わるんじゃないぞ!」

「わかったにゃり……」


 まぁこんなことがあった上にこんな光景を見せられたら、13歳の女の子には厳しいよね。




 襲撃を防いだ僕たちはまた街道に戻って霊峰の町に向かいだした。




次話更新は明日の土曜日に出来そうです。

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