起こりうる可能性
所用で更新できずに申し訳ありませんでした。
湖上の古城から町に戻って酒場に辿り着いて入ろうとした時にゲッコがグアグア鳴き出してゲッコとガーゴがいる事をすっかり忘れていた。
それをゲッコとガーゴが僕に教えてくれる、というなんだかおかしな状況になったけど、2匹とも少しづつ人種の社会を学んでいっているようだ。
「ゲッコとガーゴはどうしよう?」
アラスカに聞くと待っていろと言って酒場に消え、暫くすると暴れたりしないのであれば許可がおりたそうだ。
ただし、個室でという条件だ。
まぁ他の客の目も引かなくて済むから良いかな。
そういうわけで個室に案内されてそれぞれ席に着くんだけど、尻尾のあるゲッコとガーゴが座りにくそうに席に着いた。
もちろん僕が座るように言ったからだけど。
料理も運ばれて揃ったところで食事を取り始めたはいいけど、なぜかみんな黙り込んでいる。
その理由はゲッコとガーゴにあった。
グアグアガァガァと喚きながら食事にかぶりついて、皿に残った汁まで舐めとっているからだ。
「私が直訳しよう」
スカサハさんがそう言って口を開いた。
『兄貴、人種のメシってマジ美味いな! 最高だぜ!』
『ああ、そうだな』
『最初は屈服するとかありえねぇって思ってたけどよ、今は暇な住処にいるよりずっとここはマシだ』
『そう思うなら主君に捨てられないようこれからも頑張らないといけないぞ、弟よ』
『おうよ兄貴! それにしてもあの青い奴硬かったな、俺の槍が刺さりもしやがらねえ』
『俺もだ。 腕には自信がある方だったんだがな』
『ところがだ、そんな相手を主君は一撃だ! やっぱり主君は最強だぜ!』
『弟よ、主君のことが随分気に入ったようだな?』
『ああ! 主君は最高だぜ!』
『そうだな』
『ところで兄貴、さっきから俺らなんか見られてるみたいじゃないか?』
『なに!?』
と、まぁゲッコとガーゴの一面が見れた気がした。 あの2人兄弟だったんだ……それにしてもちょっぴり照れるな。
「スカサハさん、ゲッコとガーゴに食べっぷりにみんな驚いていただけって伝えてあげてください」
「了解した」
なんか僕を見る目が笑っているようにも見えなくもないスカサハさんが、ゲッコとガーゴに言われた通り伝えたようでまた食べ出し始めたけど、さっきよりは控えめに見えた。
さてと……
「えっと、コークさんたちは僕たちに何か用があったんですよね?」
切り出しにくい話かもしれないかもときっかけを作ると、コークさんが食事の手を止めて話を切り出してきた。
「実は……」
僕たちが猫ちゃんと揉めている間に、コークさんたちも仲間が3人になってしまって今後どうするか話し合っていたんだそうだ。
そうしたらガラナさんがパーティを抜けてトールさんと居たいと言いだしたらしい。
そこで今更ながらトールさんとガラナさんを見ると、しっかり隣同士に座ってることに気がついた。
そうなるとコークさんたちはペップさんの2人きりになってしまうことになる。
「……それでペップとはなしをしたんだけどね、ガラナが俺たちとパーティを組んでからこれまで不平不満はもちろん、要求も言ったことは今まで無かったんだよ」
つまり、ガラナさんの初めての要求を受け入れてあげたいんだそうだ。
そうは言われても、僕たちの迷宮捜索ももう必要がなくなってしまってて、それで今後の話をと今ここに集まっている。
「僕たちの方も今後どうするかをここで話し合おうとしているところなんですが、正直なところ迷宮捜索は完了しちゃったみたいなんです」
「それは……依頼主がそう言ったのか?」
スカサハさんが確認してきたから頷いてみせると、それなら個人的にどうなのかと聞かれる。
僕個人的には……
「正直に言えば中途半端な感じで納得してません」
ただサハラ様の言った通り、アラスカのことを思えば命に関わるような事からはもう離れて暮らしていくのがいいのかもしれない。
隣に座るアラスカを覗き見ると、表情を変えずに食事をしながら聞いていてまるで気にしていない様に見えた。
「アラスカは反対しないの?」
声をかけると食事の手を止める。
「私なりに色々考えてみたんだが……」
そう切り出してきて僕にではなく、全員に話しはじめる。
その内容とは、これから遠くないうちに大きな出来事が起こるだろうというものだった。
「おそらくどこかでのんびりと余生を過ごす、などという余裕もあるかわからない」
ゼノモーフが各地のダンジョンから湧き溢れて、恐慌をきたす可能性があるというもので、しかもそれが実験的なものだろうとアラスカは予測しているようだ。
「例の卵が各地にあると想定しているわけだな、お主は? そしてそれが一斉に湧きだすと」
「あくまで私の体験からの想定でしかないがな」
アラスカが頷いて答えてくる。
しかもここホープ合衆国とメビウス連邦共和国は各町の由来となる名所的なダンジョンなんかがある場所だけに特に危険だろうと付け加えてきた。
「じゃがここ迷宮の町に関しては儂等が食い止めたんじゃなかろうか?」
「あれが全てであればな」
そうなってくると当然神が黙ってはいないはずだとペップさんが叫んだ。
だけどその考えも、人種の神は人種の信仰によって力を得ていて、そのため爆発的に人種が死ぬと神威も失われるのだそうだ。
「なら俺たちはどうしたらいい?」
コークさんが落ち着いてアラスカに尋ねる。
確証がない以上どうしたらいいかもわからない。 なのでアラスカはまず7つ星の騎士団領に向かって相談しに向かうつもりらしい。
申し訳なさそうに僕を見ながら言ってきた。
そしてここにいるみんなには、守りたい故郷などがあるのであれば今のうちに準備する事を勧めてきた。
しばらくのあいだ、不定期になってしまうかもしれません。
楽しみにしてくれている方達には申し訳ありませんが、ご了承ください。
最低でも週1は更新していくつもりです。
次話更新は毎回後書きに書いていきます。
というわけで次話更新は明日です。
おそらく時間は夜になると思います。




