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シスターテレサ

 冒険者ギルドを出て朝食を食べにいつものように〔ヒヨコ亭〕に向かう。



「マイセンおはよう! 今日はなんだか機嫌良さそうだね」

「はい!」

「じゃあいつもの持ってくるから待っててね」


 ソティスさんが僕の顔を見ながら首を傾げてキッチンに入っていった。



 ど、ど、どうしよう……こんな大金今まで手にしたことないよ。


 どうしたらいいか考えていると、ソティスさんが料理を運んできてくれた。



「何か良いことでもあった? って訳ないよね」


 ソティスさんにそう言われてハッとなって昨日のことを思い出した。



「そうだよね……うん! ありがとうソティスさん」


 不思議そうな顔で僕を見たあと、首を傾げていた。




 朝食を済ませた僕は、ある場所に一目散に向かう。


 そうだ、僕だっていつ昨日みたいな目にまたあって、死んじゃうかわからないんだ。 そうしたらシスターテレサに約束したことが守れなくなっちゃうもんね。


 そう、僕が向かった先は僕が生まれ育った孤児院だった。






「シスターテレサ!」


 孤児院の扉を開けて名前を呼ぶと、ちょうど朝の食事のお祈りをしているところだった。



「少し待ちなさいマイセン」


 そう言われて僕も一緒に祈りを捧げる。 思えば孤児院を出てから一度もお祈りをしていなかった。



「それでいきなりどうしたのですか?」


 僕は手に持った袋をシスターテレサに手渡す。



「ちょっとまとまったお金が手に入ったから、これ寄付します!」


 中身を見たシスターテレサが驚愕の表情を浮かべる。



「こんなに大金一体どうしたんだい? まさか悪いことに手を出したりしてないよねぇ?」

「出してない、出してませんよ! ……でも」


 そこで急に僕が黙り込んだため、シスターテレサが子供達に食事を続けるように言って、奥のシスターテレサの部屋に通された。





「何かあったんだね、私に話してごらん?」


 僕は昨日あったことを隠さずに全部話した。



「こんな事を言ったらダメなんだろうけど、マイセン、お前が無事で私は良かったと思うよ。 神様に感謝しないとね」

「でも、僕のせいで3人も死んでしまったんですよ!」

「そうですね、そうだけどそれでも私はお前が生きていてくれたことが嬉しいんだよ」


 僕にはシスターテレサの言っていることがわからなかった。



「そうだね、ならもし私とマイセンの立場が逆で、もし私が死んで助けに来た人が帰ってきたのと、助けに来た人は死んだけど私が生きて帰ってきたら、お前さんならどっちが嬉しいかい?」

「……シスターテレサが生きて帰ってきた方が嬉しいです」


 シスターテレサがニッコリ微笑みながら僕の頭を撫でてくる。



「お前は私にとって可愛い子供と同じなんだよ」




 その後、シスターテレサは袋に入った金貨10枚を取る出して5枚、僕の手に返してくる。



「これはお前が持っておきなさい。 冒険者になったのなら必要でしょう?」

「剣も革鎧もあるから大丈夫です!」

「なら、いつもお世話になっている人たちにお礼をすればいいさ。 親切にしてくれる人を大切にするんだよ?」

「はいっ!」



 やっぱりここに来て良かった。 シスターテレサに話したことで、少しだけ迷っていた気持ちが晴れたような気がした。



「ちなみにシスターテレサ、お礼って何をしたら良いんですか?」

「そうだねぇ、女の子ならプレゼントとか食事に誘うのも良いだろうね」

「プレゼントって、どんなものが喜ばれるんですか?」

「普段身につけているものがあれば、自分が買うには手が出ないものとかが喜ばれるだろうよ」


 さすがシスターテレサと思いながら感謝する。

 孤児院の子供達と少し遊んだ後、僕は町の方へ戻っていった。





次話は、本日の11時半〜12時半を予定してます。



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