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新たな仲間の実力

新章に入ります。

 迷宮に入って最初の扉に辿り着く。 まだまだ最初だから中にいる魔物もたかが知れている事だろう。



「2体いるね」

「そうだな」


 僕とアラスカが口に出すとスカサハさんとトールさんがアラスカは7つ星の騎士だからわかるとして、僕が最初に中にいる魔物の数を言い当てた事に驚いている。



「マイセンのそれが『(オーラ)』を読むというやつかの? 凄いもんじゃ」

「二つ名は伊達ではない……といったとこだな」


 感心している2人をよそに扉を開けて中に入り込む。


 中に居たのは1メートル程度の背丈の痩せっぽっちな人型生物で、幅広で見苦しい頭部のせいで更に小さく見える。

 霊峰でも見かけるゴブリンだ。


 ゴブリンは僕たちの姿を見るなり、圧倒的な数の差にもかかわらず襲いかかってきた。



「ゲッコ、ガーゴ、『アタック』!」


 教えてあった言葉で攻撃を指示すると、ゲッコとガーゴがグアッって声をあげた後、槍を構えて素早い動作でゴブリンに走っていく。


 相手がゴブリンだったからなのか、それともゲッコとガーゴが僕の想像よりも強かったのか、あっさりと槍で串刺しにして倒してしまう。



「ゲッコ、ガーゴ、『フォロー』」


 グアッとまた声をあげるとちゃんと言葉を理解して戻ってきた。



「この程度なら楽勝みたいだ」


 独り言のようにゲッコとガーゴを見ている間に、スカサハさんは部屋にある宝箱に近づいて何かをしている。


 近寄ってみると奇妙な小道具で調べているようで、頷いたあと宝箱の蓋を開けた。

 中には鉄貨が数枚だけ入っていて、それを取りだすと僕に手渡してくる。



「リーダーが代表して持つのが一般的だが……どうするね?」


 今までは言わなくてもカルラが持っていてくれたから気にもしていなかった……


 ここは素直に受け取って別に用意した袋にとりあえず詰め込む。


 カルラが戦闘になった時1テンポ遅れていたのは、この荷物を置いてからだったからだった事に今更ながらに気がついて、霊峰の町に戻ったらカルラにお礼を言おうと心に決めた。




 次の扉まで移動して中に入り込むと今度は大型犬サイズの蛙がいて、僕たちを動かずに見ているようだ。



「私の力を見せよう……もっともあの程度の相手では本気は出さん」


 言うが早いかスカサハさんの姿が消えたかと思うと、巨大蛙(ジャイアントフロッグ)のそばに現れて手に持った短槍(ショートスピア)を一突きで殺してそのまま宝箱の方へ何もなかったように向かう。



「なるほど、次元扉(ディメンジョンドア)を利用した背面攻撃(バックスタブ)か。 敵には回したくない相手だな」

「あれが背面攻撃(バックスタブ)なんだ」

「正確には違うが、相手の死角から攻撃をするのは同じだ」


 ちなみに背面攻撃(バックスタブ)のより強力なものに急所攻撃(スニークアタック)というのもあるらしい。



 宝箱から持ち出したまたまたショボい金額を渡されて袋に詰めたあと先へと向かい、次の扉まで到着するとトールさんが張り切りだした。



「次は儂の番じゃな」


 背負っていた巨大槌(ジャイアントハンマー)を両手でしっかりと掴んでその重さを確かめている。


 扉の先にある気配の数は1体。 トールさんが先頭を切って扉を抜けていく。



「むふぉ!」


 意気揚々と飛び込んだまでは良かったけど、振り上げた体勢のまま動きが止まっている。



 ウニャー


「な! ね、猫じゃと!」


 なんと部屋にいたのは普通の猫。 トコトコ歩いて近づくと、振り上げている姿勢のままのトールさんの足元で体をこすりつけながらウニャアと鳴いてきた。



「うわぁ、こいつは強敵ですね」

「む、ぐぅ……儂には、できん……」

「放っておいて進んじゃえばいいじゃないですか」


 と、そんなわけでトールさんの見せ場もなく部屋を抜けていく。



「次こそ! 次こそじゃ!」


 トールさんの意気込みに笑い声が上がり、初めてわきあいあいとした雰囲気になる。

 ゲッコとガーゴは表情はわからないけど、笑っているように見えた。



 次の扉に近づいた時、部屋の中からは気配を感じない……それはつまりアンデッドがいるということだ。



「アンデッドですね。 僕には『(オーラ)』を感じられないアンデッドの気配は読めないので、数まではわかりませんけど」

「数は5体だな、アンデッドであればトールにとって最高の見せ場だな」


 さすがはアラスカ。 そして今度こそはと扉を蹴り開けて入っていくトールさん。


 ここで僕はあり得ない光景を目にする事になるとは思いもしなかった。



 部屋の中にはボゥっと立った汚れたボロ布を身につけた人型をしていて、僕たちの姿を見るとオォォォォォっとうめき声をあげながらゆっくりと腕を突っ張らせながら近寄りだしはじめる。 一歩一歩進んで来るたびに肉が骨から腐り落ちている。


 まぁ、いわゆるゾンビなんだけどね。

 そして僕はてっきりターニングアンデットをトールさんは使うものとばかり思っていた……



 トールさんは手に持った巨大槌(ジャイアントハンマー)で殴り飛ばしはじめる!



「ゾンビなんぞ頭をぶっ潰していったほうが早いわい!」


 これにはさすがに見ている全員が呆然となったのは言うまでもないと思う。



 次の扉では7つ星の剣であっさりとアラスカが倒してしまい、全員が実力を披露した事になり最後に僕の番となった。




次話更新は明日の予定です。

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