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絶倫くん1人で観光に行く

「キャロ出てきて」


 僕が呼ぶとゴーストのキャロが姿を見せる。

 キャロはアラスカの姿を見るなり大きくため息をついてきた。



“マイセンってアラスカさんの事、性処理道具にしてない?”

「そんな事ないよ。 ついアラスカが可愛くて歯止めがかからなくなっちゃうんだよね」


 呆れた顔で僕の事を見てくるけど、キャロはあの時以来生気を吸ってないからなのか、その姿は薄くなっている。



「アラスカに憑依して貰えるかな?」


 言ってる意味がよくわからないとでもいう感じで首を傾げつつも、気絶しているアラスカに憑依して起き上がる。



「それで憑依したけどどうするの?」

「これで僕もキャロに触れられるね」

「え? え! えぇぇぇぇ!?」




 そしてしばらくあと、キャロがアラスカから出てきて、もう生身なんじゃないかってほどキャロがハッキリ姿を見せている。



「この方法でも生気は取れるみたいだね!」

“あ、ありえない……ありえなさすぎる……”


 生気を糧に生きるゴーストのはずのキャロまでもが、ゴーストだから気絶こそしないもののだらしなく倒れてブツブツつぶやいている。


 ふと今のキャロになら触れる気がして、倒れているキャロに覆い被さった。





 その結果……



“マイセンのバカぁぁぁぁぁ!!”


 なんか腰を押さえながら(キャロン)に消えていってしまった……


 アラスカはそのまま寝てるし、キャロも(キャロン)に消えてから姿を見せてこなくなってしまい、孤独を感じながらその日眠りについた。




 翌朝目が覚めてアラスカを見ると頬を膨らませてなんだか怒ってらっしゃるご様子……



「あのぉ……なんか怒ってますよね?」

「当たり前だ! キャロンを憑依させて私の身体を使って抱くなんて、なんて事をしでかしてくれるんだ!」


 僕の身勝手でアラスカに許可を得ないいまま、キャロに憑依させたのがまずかったようだ……と思ったら、気絶していたわけではなく身体が動かせなかっただけだったそうで、キャロに生気を吸わせている間、アラスカはその全てを身体で受けていたらしく、腰に力が入らないくて立てないのだそうだ……あはは。



「今日ほど君をインキュバスじゃないかと思った事はないぞ!」

「あう、ごめんよアラスカ……」

「それとそれだ! 君にそう謝られると何も言えなくなるじゃないか」


 最後の方はモゴモゴとなって可愛らしい。

 思わず抱きしめてキスすると、呆れ顔を見せたあと応じてきた。



「ねぇ……」

「も、もう今からはダメだぞ!」

「ちぇ〜」

「しかし……ただでさえ子が出来にくいエルフが、更に人間とでは難しいと言うのに君とならすぐにでも妊娠してしまいそうだ」


 それはちょっとマズいかな。 せっかくアラスカと世界を旅するのに、そんなに早く子供ができちゃったら7つ星の騎士団領に行って帰る事になりかねない。



「もう少し抑えるよ」

「そうしてもらえると助かるが……その、し、しないのも寂しい」


 照れながらそんな嬉しい事を言ってくる。




 結局僕もアラスカも神聖魔法は使えないし、こんな姿を他人に見せたくないというアラスカの希望で、今日もう一泊する事になった。



「私は温泉に入って休んでいるから、迷宮のある古城でも見てくるといい」


 アラスカがそういうから、僕は1人で鎧と(キャロン)を身につけて迷宮のある古城を見に行く事にした。





 冒険者ギルドに行って古城の場所を教えてもらう。

 古城のある場所は町から2時間ほど鬱蒼と生い茂った森を抜けるとあるらしい。

 1人だと不気味なんだろうけど、周りにはたくさんの古城に向かう冒険者がいるため安心して向かえた。


 森を抜けた先にはとても澄んだ湖が見えて、そこから中央に向かって伸びる長い橋を渡れば、湖上の中心辺りにある古城に辿り着けるようだ。

 その古城はと言うと、たくさんのツタが城を包んでいて、城の壁石は歴史を感じさせていていまにも崩れそうにも見える。




 古城まで辿り着くと、そこには冒険者でごった返していて霊峰竜角山の麓のように、足りない仲間や野良パーティの募集をしている姿がたくさんある。



 あの古城の地下に迷宮の入り口があるのかと思ったけど、古城にも確かに出入りは見えるけど、どうも古城の傍にある建物の方に入っていくパーティは武装も整えてから入ってるような所からこちらが入口のようだ。



「あなた霊峰から来た冒険者かしら?」


 不意に声をかけられて振り返ると、露出の高い格好をしたドラウの女性だった。



「そうですけど、よくわかりましたね?」

「あなたの持っている獲物を見たからよ。 霊峰の町で人気らしいわね?」

「みたいですね」


 僕の事をドラウの女性特有の色っぽい瞳でジロジロ見てきて、なぜか身体を特に胸を突き出すようなポーズなんかをとってくる。


 当然、妻のいる僕にそんな色香は通用しない。 というより僕は売春婦のような人はあまり好きになれない。



「用がないのなら放っておいてもらえませんか?」


 冷たく言い放つと、今度はふむふむと頷いて身体をくねらせるのをやめた。



「試すような事をした事を謝るわ。 あなた、わたくし達とパーティを組まないかしら?」


 詳しく聞くと、仲間が女性ばかりのため身体目当てで近寄る男が多くて困っていたのだそう。

 なら女性だけでパーティを組めばいいじゃないかと思ったんだけど、1人でいる女性冒険者はそうそういないらしい。

 まぁ僕も冒険者だからわからなくもない。


 でも僕はここには観光目的みたいなものだし、明日にはこの町を離れる。

 その事を伝えると残念そうな顔を見せた。



「それなら仕方がないわね。 もし気が変わったら声をかけてちょうだい? わたくしの名前はミウオウよ」



 ミウオウさんはそういうと手を振りながら離れていった。



 今日1日ならいいけど、ここだってデプス1しかないわけじゃないだろうからね。

 でもせっかくだから、1人でちょっと中を見てくるのならいいかな?


 この軽はずみな考えが後で大事になるとはこの時は思いもしなかった。




次話更新は明日の予定です。

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