絶倫男マイセン
立ちあがったアラスカが自分の手足を驚きながら見つめていると、キャロが僕にそろそろ刀に戻るねって言ってきた。
そのキャロを見ると、また以前ほどではないけど薄っすら透けている。
「ありがとうキャロ、おかげで助かったよ」
“うん、いいよ。 それと後で生気貰うね?”
「いいけど……また僕が起きてる時がいいな」
“マイセンのエッチ”
照れ笑いをしながらキャロが消えていった。
視線をアラスカに戻すと、今の会話を聞いて少しだけ口を尖らせて僕を見ていた。
「ご、ごめん!」
「いや、キャロンとの約束だから構わないのだが、見せつけられたら私だってヤキモチは妬くんだぞ」
「じゃあ、身体はもう大丈夫そうだし、ちょうど都合がいい事にそこにベッドがあるよ?」
昨日ここでアラスカと愛し合った場所だというのと、破れたアシンメトリーのスカートからはパンツ……じゃないけど、丸見えになっていれば欲情してしまうのも仕方がない。 よね?
そんなわけでアラスカの手と腰を取って、とぉぅ! とでもいう勢いで倒れこむようにベッドに沈む。
抵抗はしなかったから、嫌がってはいないはずだと思う。
「はーい、そこまでぇ!」
え? と顔を声が聞こえた方に向けるとアリエル様とディルムッドとカルラがいた。
ベッドに僕と横たわっているアラスカは、3人の姿を見て慌てて身体を起こそうとするけど、僕が阻んで起こさせないようにする。
「今さっきまでアラスカを失いかけたばかりなんです! ちょっとぐらい時間くださいよ!」
「え!? どういう事? あ、うううん、わかったわ。 ま、まぁそう言う事なら特別に許してあげるから、事が済んだら町外れに集合よ」
許可されなきゃアラスカとイチャつけないってどういう暴挙かとも思ったけど、とりあえず許可は出て3人が建物を出て行く。
「それじゃあ許可も下りたし、ね?」
返事の代わりに口づけしてきた—————
「ちょっと何でまた私がアラスカさんに憑依しなくちゃいけないわけ?」
憑依したキャロが文句を言ってくる。 あの後ちょっとやりすぎたみたいで、アラスカが意識を失ってしまったのだ。
「マイセンってもしかして……う〜、女性が口にする言葉じゃないわ……」
「何が?」
「何が? 何がなんてどの口がいうかな?」
……あははははは。
襲撃までは十分時間はあるからキャロと話しながら腕を組んで歩いているんだけど、ここでふと気がついた事を聞いてみる。
「キャロって憑依してれば触ってる感覚はあるの?」
「アラスカさんの感覚を通してわかるよ?」
それがどうかしたのという顔を見せてくる。 もちろんアラスカの顔ではあるけど、アラスカだと見せない表情のため新鮮な感じがする。
「そっか!」
首を捻っているアラスカを見ながら、僕はある作戦を思いついた。
町外れまでついてアラスカの意識が戻ったとこで、キャロはアラスカから離れて消えていく。
意識の戻ったアラスカは、状況を把握したあと身体のあちこちを調べだしてパンツを見て顔を真っ赤にしながら頬を膨らませながら僕を見てくる。
「君は……少しやり過ぎだ」
「あははははは……」
さすがにもう替えがないそうだ。
なので普段開けている外套の前を閉じだした。
アリエル様たちが待つ町外れの場所まで辿り着くと、昨日も見てるからかアラスカの格好を見て苦笑いを見せてくる。
「はっはは、マイセンは絶倫だったか。 だが女にとっては至高の悦びであろう。 違うかな?」
「貴様はそれを私に答えさせる気か!」
「マイセンは聞きたいかもしれないぞ?」
「うん、僕もアラスカが嫌なら嫌だって言って欲しいよ」
女の人の中には身体の繋がりよりも精神的な繋がりを好む人もいるって聞いた事もある。
僕はやっぱり男だから好きな人と触れ合いたいと思うけど、それがもし相手が望まないなら僕の身勝手な行為になると思う。
僕は心配になって見つめると、アラスカが僕の耳元で囁いてきた。
「場所さえわきまえてもらえるのなら……私は全然嫌ではないし、もっともっと君に愛されたい」
「わかったよアラスカ!」
嬉しくてアリエル様がいるのも忘れてキスをしちゃう。
アリエル様は仏頂面になりながらも何も言わないでいてくれた。
お互いに満足して口を離したところで、アリエル様が何があったのかを聞き始めた。
「それで一体何があったのか説明して貰える?」
頷いて僕がプリュンダラーが裏切ってニークアヴォの味方になった事と、ニークアヴォにアラスカがやられた事を説明して、なんとか勝てた事を話した。
「ちょっと待って欲しい。 君は先ほどからニークアヴォと言っていたが、私の記憶にあるニークアヴォとは姿形が全く違ったのだが、本当にあの男がニークアヴォなのか?」
アラスカが対峙して無残に敗れた相手がニークアヴォとは違うと言いだす。 そしてその容姿をアリエル様に言うと、アリエル様も知っているニークアヴォとは別人だと言ってきた。
「単に姿を魔法か何かで変えていた、とかではないのか?」
「あたしもニークアヴォは話をした事もないから詳しくはないけど……サハラさんにこれは急いで確認しないといけないわね」
となると、僕が出会った人は別人だったのかというとそうではなくて、このゴーストタウンで集めた情報と一致している。
「アリエル様たちは何か見つかったんですか?」
僕たちの出来事を話し終えらから、あの隠し通路の先に向かった3人の話を聞いてみることにした。
次話更新は明日の予定です。




