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デプス7

 あれから更に先へと進みはじめたのは良いけれど、デプス6から先が以前と変わりすぎて初めてのダンジョン攻略と変わりがなくなってくる。

 そのためトラップにも気をつけなくてはならなくなって、先頭は経験豊富なディルムッドとカルラに代わってもらう事に。




 デプス7であったであろう場所に到達すると、僕は自分の目を疑いたくなるような光景を目の当たりにする。

 それはディルムッドとカルラも同じで、足を止めて驚いていた。



「どうしたのよ3人とも?」


 驚いて立ち止まった僕たちにアリエル様が声をかけてくる。



「デプス7は入り組んだダンジョンだったんです。 それは変化してもあまり変わらなかったんですけど……」


 今僕たちの目の前には一本道に変わっていた。



「迷わずに済むだけではないか。 変化するのがわかっているのなら、いちいち驚く必要は無かろう?」


 それがどういう意味かわかってないのかプリュンダラーが愚かで浅はかな事を口にしてくる。



 一本道という事は、迷いこそしないけど強制的にそこを通らなくてはならない。

 つまりこの通路にある危険全てを乗り越えなくてはならないという事になる。



「もし本気でそう思っているのであれば、ぜひ貴公に先頭を任せよう?」


 ディルムッドが挑発するとプリュンダラーはその挑発に簡単に乗って1人先へ進もうとしたところでアラスカが声をかける。



「プリュンダラー、忘れていないとは思うが、騎士魔法の予測(プレディクション)は罠には対応しないからな」


 こんな雰囲気だからか、アリエル様も呆れた顔をしながら床に腰を下ろしてしまう。



「すいません……アリエル様」

「君が謝る必要なんてないわ。 ただ面倒だしパパッと決めますか」


 言い合っているプリュンダラーとディルムッドとアラスカに顔だけ向けて、アリエル様が1度ため息をついてからいかにもやる気がなさそうに声をかける。



「ねぇ、一応代行者になるまでは冒険者やってたし、面倒だからここからは私がパーティリーダーをやるわ」


 綺麗な顔が台無しになるような仏頂面で、隊列を口にする。

 先頭は有無を言わさずプリュンダラーにさせて、その後ろにディルムッドとカルラ、その後をアリエル様、最後が僕とアラスカになった。



「とりあえずマイセンとプリュンダラーは少し距離を離しておくわ。 どうも誰かさんが妬んでいるようだから」

「なっ! 私は妬んでなんかいない!」


 プリュンダラーが即答するのをアリエル様が笑いながら、誰とは言ってないはずだけど? っていやらしく笑いながら言い返していた。




 代行者のアリエル様に決められてはさすがのプリュンダラーも文句は言えないようで、素直に先頭を行くのだけど……


 何度もトラップに引っかかって死にかけて、その度に進行速度が遅くなるから交代を言おうとすると、言い訳を口にしながら問題ないってまた進み出して……の繰り返しをしている。


 憧れていた7つ星の騎士団のこんな姿を見させられては、さすがの僕でも少しばかり幻滅してしまう。

 その度にアラスカがプリュンダラーみたいなのはそうそういないって、なんだか我が事のように必死に言い訳を僕にしていた。


 もちろんこの一本道にちょっとした広間が途中にあって魔物もいたけど、そこはさすがに7つ星の騎士としての実力を見せてはいた。



 プリュンダラーのせいで本当なら今日中には古代の町が見えるデプス8に着くはずだったけど、魔物を倒した広間で休憩する事になった。



「マイセン……いや、代行者殿よ、少しばかり先を覗いてこようと思うのだがいかがなものかな?」

「そうね、あとどれぐらいかかるか見てきてもらえると助かるわ。 ただ魔物がいたら引き返しなさいね」

「了解した」


 ディルムッドがそう言って立ち上がって1人で偵察に向かおうとする。 心配そうにカルラが見つめているのに気がつくとウインクをして返していた。



「あの2人仲が良さそうね?」

「はい、カルラはディルムッドに好意があるみたいです」

「マイセン様!」


 聞いていたカルラが顔を赤くさせている。 なのでディルムッドもカルラに好意がある事を教えてあげると、さらに赤くさせながらも私はマイセン様の奴隷ですからって言い訳のような事を口にする。



「あたしが奴隷解放してあげましょうか?」


 アリエル様がそんな事を言ってくる。 なので僕からアリエル様にお願いした。

 カルラはでもでもだって状態だったから、最後ぐらい主人らしく命じる事にした。



「カルラ、これが僕からの最後の命令だよ。 奴隷から解放されて、ディルムッドと幸せになって」

「マイセン様……いいのですか? 私なんかが」

「もうカルラは十分に頑張ってくれたよ」


 涙ぐみながら俯いて僕に感謝してきたけど、カルラは奴隷解放はこの探索が終わってからでお願いしますって言ってきた。



「カルラがそれでよければそうしよう」

「はい! ありがとうございます! この探索で私もマイセン様にできるだけの奉公させていただきます」



 そんなやり取りをアラスカは僕の横でにこやかに見つめていて、少し離れた位置からプリュンダラーは興味なさそうにしていた。




次話更新は明日の予定です。

進み具合によっては本日もう一話更新できたらいいなと思ってます。

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